白鯨との闘い | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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ソフトな描写で描かれる、悲しくて壮絶な真実の物語。


2016年1月16日公開
監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース
ベンジャミン・ウォーカー
ベン・ウィショー 他


【賛否両論チェック】
賛:主人公達が、生きるために下す決断の数々に、深く考えさせられる。グロいシーンが極力無いように描かれているのも嬉しい。
否:後半の白鯨のくだりは、やや蛇足感があり。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・少しあり
アクションシーン・・・捕鯨シーンあり
怖シーン・・・基本的にはなし



 文学小説「白鯨」誕生の影に隠された、実際に起きた事故を描いた作品です。主演はクリス・ヘムズワース。


 1850年。作家のハーマン・メルビル(ベン・ウィショー)は、とある宿屋の夫婦の下を訪れていました。彼の目的は、30年余り前に起きた、捕鯨船「エセックス号」の座礁事件を小説にすること。宿屋の主・ニカーソンは、この事件の生き残りで、今も生存する唯一の人物でした。しかしニカーソンは、事件のことは誰にも打ち明けておらず、メルビルのことも追い返そうとします。仕方なく帰ろうとしたメルビルでしたが、彼の妻に引き留められます。妻は、事件のことを思い出して脱け殻のようになってしまった夫に、少しでも立ち直ってほしいと願っており、ニカーソンを説得。こうしてニカーソンは、その重たい口を開き、捕鯨船で起きた真実を話し出すのでした。


 時代は遡り、1819年。当時は鯨油が貴重な燃料となっており、マサチューセッツ州のナンタケット島は、捕鯨による一大産業を築いていました。父親の代から続く捕鯨漁師のオーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)は、近々出航する「エセックス号」の乗組員に抜擢されます。しかし、船主から前回の漁で、
「次の漁の時は船長にする。」
と約束されていたにも関わらず、用意されたポジションは一等航海士。しかも船長には、
「名家の出だから。」
という理由だけで、ナンタケット島で代々続く捕鯨船の名家の息子ジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)、が選ばれ、チェイスは思わず激怒してしまうのでした。


 その後、エセックス号は無事に出航を果たしますが、チェイスとポラードはお互いに敬遠し合い、ぶつかり合ってばかり。そんな2人の対立が決定的となったのは、遠くに嵐を発見した時でした。
「避けて進むべき。」
というチェイスに対し、
「予定より遅れている。」
という理由で、ポラードは全速前進を指示。結局船は、大きな被害を受けてしまうのでした。一方、まだ新米の船乗りだったニカーソンは、船酔いに苦しんでばかり。そんなニカーソンに、チェイスは厳しく接しながら、時に温かく見守るのでした。


 航海を続けたエセックス号は、やがて鯨と遭遇。チェイスの活躍もあり、見事大物を仕留めることに成功します。しかし、既に鯨はあらかた獲り尽くされており、チェイス達は太平洋へと船を進めます。途中立ち寄った国で、彼らは船と左手を失った船長に出逢います。その船長いわく、
「巨大な白い鯨に船を沈められた。」
とのこと。その話を半信半疑に聞いていたチェイス達は、すぐに自分達も、その海域へと船を出すことに決めます。しかしその後、実際に自分達がその“怪物”と対峙することになろうとは、この時はまだ誰1人想像もしていませんでした・・・。


 大海原に投げ出され、絶望の淵に立たされた男達が、それぞれの決断を下していく描写が、非常に哀しく映ります。決して正解がない中で、生きるために下す決断の一瞬一瞬に、思わず考えさせられるものがあります。


 また、〝捕鯨”というものが1つのキーワードとなってくるだけあって、鯨の描写も極めて自然で美しいです。ただ美しいだけではなくて、一種の畏怖さえ感じさせるような、荘厳な雰囲気も漂わせているのが印象的です。


 描写はソフトですが、お話自体はかなり壮絶なので、その辺りはご留意下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※ベン・ウィショー・・・本作では、後に「白鯨」を執筆する作家、メルビル役。まさに新進気鋭の俳優さんで、最近では「007」シリーズでのQ役でもお馴染みです。他にも「パディントン」の声や、独身が罪となった近未来を風刺した「ロブスター」、そして世界で初めて性別適合手術を受けた人物を描いた実話「リリーのすべて」等に出演されています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>