母と暮せば | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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親思う心にまさる親心。悲しい中にも温かい、絆の物語。


2015年12月12日公開
監督:山田洋次
出演:吉永小百合・二宮和也・黒木華 他


【賛否両論チェック】
賛:戦争を生き延びた人々の悲哀を、登場人物達が見事に醸し出している。母と子のお互いを思いやる気持ちにも感動出来る。随所に垣間見える戦争への批判も印象深い。
否:かなり説明口調のセリフが多いので、違和感を感じる人もいそう。内容的にも、同じようなシーンの繰り返しなので、好みが合わないと退屈すること必至。


ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・兄の夢枕のシーンは少し怖いかも



 山田洋次監督最新作です。原爆で死んだはずの息子が、母親の下に帰ってきます。主演は吉永小百合さんと二宮和也さん。


 始まりは1945年8月9日の長崎でした。原子爆弾を積んだアメリカ軍のB-29は、当初の投下目標だった小倉が天候不良だったため、第2目標の長崎に迫っていました。そんなこととは露知らず、小高い丘の上で母親・伸子(吉永小百合)と暮らす医大生の浩二(二宮和也)は、その日の朝も学校へと向かっていました。無事に授業にも間に合い、いつものような毎日が始まるはずでした。しかし11時2分、上空で原爆が炸裂。長崎医科大学では900人あまりが亡くなり、浩二も一瞬にして消えてなくなってしまったのでした。


 それから3年の月日が流れ、1948年の8月9日。伸子は、浩二の恋人だった町子(黒木華)と共に、浩二の墓参りへと出かけます。無事にお参りを済ませた後、伸子は町子に、
「もうあの子のことは諦めましょう・・・」
と告げるのでした。その日の夜、伸子はいつものように仏壇に夕飯を供えながら、
「陰膳はこれで最後にしようと思う。」
と、浩二への想いに一区切りをつけることを報告するのでした。すると、そんな伸子の背後に、死んだはずの浩二が姿を現すと、仏壇に話しかける伸子を、微笑ましげに眺めます。“浩二が死んだ”とようやく受け入れた伸子の下に、初めて浩二が姿を現せた瞬間でした。すぐに彼に気がついた伸子は、驚きながらも喜びを隠しきれません。幽霊ではありますが、3年ぶりにようやく再会した母と息子は、懐かしい日々のことを一緒に振り返ります。


 その後も浩二は、度々伸子の下に姿を現すと、その度に生前の思い出話に華を咲かせるのでした。しかし伸子は同時に、今でも浩二のことを一心に想い続け、自分の世話を焼いてくれる町子に、心を痛めていました。
「もう浩二のことは、忘れてくれてもいい。」
伸子はそんな想いを町子に伝えると同時に、町子のことを諦めて、彼女の幸せを願うよう、浩二を優しく諭すのでしたが・・・。


 出兵や原爆で、数え切れないほど多くの人が大切な人をなくし、悲しみに暮れていた時代。生き残ったことで自責の念に駆られたり、いけないこととは分かっていても、幸せな他人を見ると、
「代わりに自分の子供が生きていたら・・・」
と考えてしまったりする。そんな人々の苦しい胸の内を代弁するかのように、伸子や町子が織り成す人間模様が、とても儚く描かれていきます。そして、そんな伸子に優しく寄り添い、努めて明るく振る舞おうとする浩二の姿もまた、切ない中にも温かい光を照らしてくれるようです。2人のかけ合いも微笑ましく、言葉の端々に、母の愛と息子の愛がにじみ出ていて、すごくステキです。


 ただやはり、どうしても伸子と浩二が昔を回想するシーンがやたらと多いので、異常なくらいの説明セリフが続いて、違和感を感じる人もいるかと思います。展開もかなり単調かつ長いので、思わず眠くなってしまうかも知れません。


 好みは極端に分かれそうな作品ですが、反戦の想いが詰まった作品だと思います。是非この機会にご覧になってみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※黒木華(はる)さん・・・本作では、亡くなった浩二を一途に想い続ける町子役。今まさにノリに乗っている女優さんで、最近の映画では「舟を編む」「シャニダールの花」「銀の匙 Silver Spoon」「繕い裁つ人」「幕が上がる」「ソロモンの偽証」「バケモノの子」等々、多数出演されています。本作の山田洋次監督作品では、「小さいおうち」に出演していらっしゃいますね。


オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>


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