独裁者と小さな孫 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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因果応報と呼ぶには悲しすぎる。健気な瞳に映る、本当の世界。


2015年12月12日公開
監督:モフセン・マフマルバフ
出演:ミシャ・ゴミアシュビリ
ダチ・オルウェラシュビリ 他


【賛否両論チェック】
賛:自らの圧政のせいで、どこへ行っても憎しみと嫌悪の眼差ししか向けられない大統領と、そんな彼に寄り添い続ける孫息子の姿が、とても切なくて印象に残る。
否:展開はかなり単調で、ストーリーも後半はかなり淡々と進むので、気をつけないと眠くなりそう。終わり方もかなりの消化不良で、賛否が分かれるか。


ラブシーン・・・少しあり
グロシーン・・・殺害シーンあり
アクションシーン・・・ほんの少しだけあり
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも



 クーデターによって、突如その座を奪われた独裁者とその孫の、たった2人の逃亡劇を描いた作品です。


 物語の舞台は、とある名もなき独裁国家。独裁者として君臨している大統領(モフセン・マフマルバフ)は、まだ幼い孫息子(ダチ・オルウェラシュビリ)の遊び相手をしていました。大統領は、その力を孫に教えるため、
「街の灯りを全て消すことも出来る。」
と言い出すと、関係部署に電話をかけます。その後、彼が
「電気を消せ。」
と言うと、街中が停電状態に。面白がった孫は、
「僕もやりたい。」
と言い出し、2人は街の電気を点けさせたり消させたりして遊びます。ところが何回目かの消灯後、また電気を点けさせようとしたところ、急に電気が点かなくなってしまいます、不審に思う大統領でしたが、やがて電話の向こうから聞こえてきたのは、激しい銃声。そして街のいたるところで、爆発が起こります。圧政に耐えかねた国民が、一斉に蜂起した瞬間でした。


 翌朝、大統領は妻と孫、そして孫の歳の離れた2人の姉を連れ、空港へと向かいます。空港では、大統領の腹心の部下である元帥とその部下達が、旅客機を用意していました。
「もう体制は、1時間も持たない。」
という妻の忠告を聞きながらも、彼は家族を国外へと逃がそうとします。しかし、まだ幼くて事態が分かっていない孫は、
「(幼馴染みの)マリアや(沢山の)オモチャを置いていくなら、行きたくない!!」
と、ダダをこね始めます。結局、孫は大統領と共に残ることになり、妻と姉2人は、無事に国外へと出発するのでした。


 その後大統領と孫は、空港からリムジンで宮殿へと戻ろうとしますが、反政府軍の勢いは予想外に拡大しており、車両は暴徒と治安維持部隊の衝突の最前線に、巻き込まれてしまいます。車両の行く先を変え、なんとか逃げようとする大統領達でしたが、護衛はすぐに逃走。そこで2人は、秘書と運転手と共に、空港へと舞い戻ります。ところが、大統領の傲慢ぶりに苦しんでいたのは、国民だけではありませんでした。空港では、先ほど笑顔で出迎えてくれたはずの元帥達が、ライフルを手に待ち構えていました。やむなくリムジンで空港を後にする大統領達でしたが、秘書は元帥に撃たれてまもなく死亡し、運転手も隙を見て逃げ出してしまいます。こうして、懸賞金のかかるお尋ね者となった大統領と、何も分からない孫との、決死の逃避行が始まるのでしたが・・・。


 それまで自分が行ってきた数々に非道な行いによって、どこへ行っても命を狙われ、正体を知る者には協力を拒まれてしまう。勿論因果応報といってしまえばそれまでのはずなんですが、栄華を極めてきた大統領が、泥と恥辱にまみれていく姿は、非常に悲しく孤独に映ります。


 また、そんな大統領に健気に寄り添い、訳も分からぬままに共に旅を続ける孫息子の存在が、切なさをより一層際立たせていきます。大統領に、自分達の今の状況が〝ゲーム”だと教えられていた孫が、ある時
「こんなゲーム、もう嫌だ・・・」
とつぶやく姿なんかは、思わず胸が痛みます。


 ただその分、本作の終わり方には賛否両論ありそうなところです。展開も後半に進むにつれて、かなり単調で淡々としていくので、人によっては飽きてしまったり、眠くなってしまうかも知れません。


 何はともあれ、平和のありがたさを改めて痛感させられる、そんな作品に仕上がっています。



【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


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