海難1890 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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溢れる涙が止まらない。受け継がれる、人と人との思いやり。


2015年12月5日公開
監督:田中光敏
出演:内野聖陽
忽那汐里
ケナン・エジェ 他


【賛否両論チェック】
賛:時代や国を超えて、どこまでもお互いを思いやれる人間の温かさや素晴らしさに、涙が止まらない。ラブシーンやグロシーンもほとんどないので、安心して観られる。
否:上映時間がやや長めで、前半の冒頭はいわば〝凪”の部分なので、少し退屈かも。


ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・手術のシーンがあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・基本的にはなし



 1890年のトルコ船沈没事故と、1985年のイラン邦人救出劇という、日本とトルコの絆を描いた作品です。主演は内野聖陽さん。


 始まりは、1889年のトルコでした。“日本の天皇への答礼”という大役を担い、1隻の船が出航しました。船の名は、“エルトゥールル号”。海軍機関大尉のムスタファ(ケナン・エジェ)も、父と
「必ず帰ってくる。」
という約束を交わし、船に乗ったのでした。当初、部下の船員達とは距離があったムスタファでしたが、長い航海を共にするうちに、次第に打ち解けていきます。特に操機長のベキール(アリジャン・ユジェソイ)とは、最初こそいがみ合っていましたが、徐々に信頼関係を築いていくのでした。翌年、無事に日本に到着し、天皇に謁見したトルコの使節団。船員の間でコレラが発生してしまったため、帰国の予定が延び、船員達は帰国の途につくのを待ち焦がれていました。ようやく日本を離れることとなり、横浜を出港した頃には、既に9月になっていました。それぞれの思いを胸に、船は和歌山沖へと差しかかるのでした。


 一方、紀伊半島の沖合にある大島。地元の医師・田村元貞(内野聖陽)は、とても気さくな人柄で、助手のハル(忽那汐里)と共に、貧しい村人達の治療に無償で当たっていました。運命の9月6日。その夜は大型の台風が迫っていたため、漁師達は漁を切り上げ、遊女達と共に宴を楽しんでいました。すると突然、島中に響き渡る爆発音が轟きます。台風の直撃を受けたエルトゥールル号が座礁し、機関室が爆発した瞬間でした。慌てて海岸に駆けつけた漁師達の目に飛び込んできたのは、打ち上げられた無数のトルコ人達の姿。田村を中心に、村人達はすぐに救助を開始するのでした・・・。


 後半は、1985年のイラン。イラン・イラク戦争の激化により、首都・テヘランは混乱を極めていました。サダム・フセインにより、
「48時間後以降に、イラン上空を飛行する機を無差別爆撃する。」
という声明がなされたため、世界各国は自国民のために救援機を飛ばし、国外退去を急ぎます。ところが日本の航空会社は、
「帰りの安全が保証されなければ、機は飛ばさない。」
と固辞。自衛隊も、当時は国会の承認がなければ救援機を飛ばすことが出来ず、日本人だけが戦火の中に取り残される事態になりつつありました。日本人達の間に絶望感が漂う中、救いの手をさしのべたのは、他ならぬトルコでした・・・。


 個人的には、人の温かさや真心に、こんなに泣いた映画は初めてです(笑)。危険を顧みずに救助に当たり、目の前で助けを求めるトルコの人々のために、不眠不休で介抱を続けた大島の村人達の無償の愛に、まず感動させられます。そして台風が去った後も、漁に出ないと自分達の食糧すら足りないにも関わらず、乗組員達のために遺品を探し続け、見つかった物は1つ1つ綺麗に磨き、繕って返してあげる。亡くなった乗組員達にも、出来る限り1人1人の棺を用意し、丁重に弔う。それでいて、決して見返りを求めない。そんな日本人の温かい心持ちに、涙が止まりません。


 そして時代は流れても、人の温かさがしっかりと受け継がれていき、今度はトルコの人々が日本人のためにと、自分達の命の救出機を譲ってくれる。極限状態にあるにも関わらず、お互いを思いやれる人間の素晴らしさに、もう最後まで涙が溢れてしまいます(笑)。


 お話はやや長めですが、それを感じさせないくらいの感動巨編に仕上がっています。是非大切な人と一緒にご覧になっていただきたい、そんな作品です。



【ワンチャン・ポイント】
※大東俊介さん・・・本作では、漁師達の先頭に立って救助に当たった信太郎役。人気の若手俳優さんで、最近では「逆転裁判」での糸鋸刑事役や、「桜蘭高校ホスト部」での鳳鏡夜役、「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章」での明の同級生役や、「女子ーズ」での主人公に片想いする友人役等が有名なところ。他にも「リアル鬼ごっこ」「HK/変態仮面」「白ゆき姫殺人事件」「TOKYO TRIBE」「ガールズ・ステップ」等々、挙げればキリがありません。これからもそのますますの活躍に、期待大です。


オススメジャンル&オススメ度・・・<泣きたい>


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