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難しくて美しい。恐ろしい角度から“生きる意味”を問う異色作。


2015年11月14日公開
監督:なかむらたかし
マイケル・アリアス
出演(声):沢城みゆき・上田麗奈 他


【賛否両論チェック】
賛:全てが管理され、皆が同じように生きている社会に、疑問を投げかける内容に考えさせられる。主人公の切ない葛藤も印象に残る。
否:話そのものはかなり難しく、聞いていてよく分からない内容も多い。グロシーンも結構あり。


ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・殺害シーン多数あり
アクションシーン・・・メッチャあり
怖シーン・・・雰囲気は少しだけ怖いかも



 アニメ映画です。超高度医療社会で起きた大量自殺事件と、それを追う監察官を描きます。


 物語の舞台は、高度に進化した医療社会。人類の大半は1つの“生府”に属しており、そこでは生まれながらに「Watch Me」と呼ばれる体内監視システムを埋め込まれ、成人するとそれを生府のサーバーに接続。これによって、全ての人間の健康は一括して管理され、病気や老いといった類は、遠い昔の話となっているのでした。主人公・トァン(声:沢城みゆき)は、WHOの螺旋監察官。元々日本の閉塞的な空気に息苦しさを感じていた彼女は、敢えて戦地での任務を希望し、紛争地域での平和維持活動を行っていました。そんなトァン達の日課は、生府に属さない少数民族・トゥアレグ族と接触し、本来禁止されている酒やタバコをもらうのと引き換えに、医療パッチを横流しすることでした。その日も彼女達は、密かに物々交換を行っていましたが、そこへWHOの無人偵察機が飛来します。慌てて撤収するトァン達でしたが、このままでは悪事がバレてしまうと踏んだトァンは、偵察機が通信許可区域に入る前に、一撃で撃墜してしまうのでした。


 無事に基地へと戻ってきたトァン達でしたが、自室に戻った彼女を待ち構えていたのは、首席監察官のオスカー(声:榊原良子)でした。トァンの行為をとっくに知っていたオスカーでしたが、トァンはどこ吹く風。それもそのはず、オスカーがもし告発をしようものなら、螺旋監察官の公明正大な評価が、地に落ちてしまうからです。やむなくオスカーは、トァンを日本に左遷するのでした。


 かくして、再び息の詰まる国・日本へと帰ってきたトァン。空港で彼女を出迎えたのは、学生時代の同級生・キアン(声:洲崎綾)でした。しかし、その姿を見たトァンは、複雑な心境を隠せません。実は13年前、生府による監視システムを嫌悪するミァハ(声:上田麗奈)という同級生に導かれ、2人はミァハと共に自殺を図ろうとしていたのでした。結果的に亡くなったのはミァハだけで、トァンは一命を取り留め、キアンは実行しなかったために無事でした。久しぶりの再会を喜び、高層ビルのレストランで食事を共にするトァンとキアン。しかしその最中、キアンは突然うわ言のように
「ごめんね・・・ミァハ・・・」
と口走ると、次の瞬間、自らナイフで喉を突き、息絶えてしまうのでした・・・。


 まず、体内監視システムによって人々の健康が管理されているという、奇想天外ですが決して荒唐無稽ではない設定が、斬新でもあり、どこか恐ろしくもあります。食事を摂る度に、コンタクトレンズにカロリーが瞬時に計算されて出てきたり、踏み台を上がろうとすると“段差注意”の警告が出たり。そういったところはあると嬉しい機能だったりするかも知れません(笑)。一方で全てが監視され、人々が皆、均一的で違いのない世界は、そこに相容れない者にとっては、かえって不気味さを醸し出しているようにも感じます。


 主人公が日本を語る際に、
「優しさでじわじわと絞め殺されるような世界。」
と言ったり、
「まがいもののような世界。」
と言ったりするのも、なんとなく頷けてしまうような気がします。そんな中で、自らの存在意義について自問自答していく主人公の葛藤が、切なくも美しく描かれていきます。


 ただお話そのものは、非常に詩的というか専門的というか、難しい言葉が難しい表現で紡がれていくので、とても難解で理解しにくい内容でもあります。


 人間というものの存在意義やあり方について、じっくりと考え直してみたい人には、オススメかも知れません。



【ワンチャン・ポイント】
※今回はお休みです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>D


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