罪の余白 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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本当の正しさとは?暴走する2人の、行き詰まる攻防戦。


2015年10月3日公開
監督:大塚祐吉
出演:内野聖陽・吉本実憂・谷村美月 他


【賛否両論チェック】
賛:次第に暴走する父と、人望を武器に切り抜けようとする少女。2人の火花散る戦いにハラハラさせられる。人間の醜い部分が両者に現れていくのが印象的。
否:真相は最初から提示されているので、謎解きとしての面白さは皆無。決して善人ではない主人公や、悪には染まりきっていないヒロイン等、どっちつかずのキャラクターに、感情移入はなかなかしにくい。


ラブシーン・・・ほんの少しだけあり
グロシーン・・・少しあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気は少し怖いかも



 行動心理学者の主人公が、娘の死の謎を探るうちに、他人の心理を巧みに操る少女に出逢い、翻弄されていきます。主演は内野聖陽さん。


 物語の主人公は、大学で行動心理学を教える安藤聡(内野聖陽)。彼はその日もいつものように大学に着き、講義を行っていました。一方、早くに妻を亡くした安藤には、女子高に通う唯一の家族、娘の加奈がいました。加奈もまたいつものように登校し、友人の木場咲(吉本実憂)と新海真帆(宇野愛海)と仲良く会話。いつもと変わらない日常の始まりでした。ところが次の休み時間、事件が起きてしまいます。3人の中で、1番テストの点が悪かった加奈に対し、罰ゲームを考えていた咲。
「ベランダの手すりの上に5秒間立つのと、クラスメイトの笹川七緒(葵わかな)に嫌がらせをするのと、どっちにしようか?」
という問いかけに対し、加奈は前者を選びます。その後ベランダに出た加奈は、手すりの上に立ちますが、直後にバランスを崩し、加奈は転落してしまうのでした。加奈はすぐさま病院に運ばれ、一報を聞いた安藤と同僚の小沢早苗(谷村美月)も、すぐに駆けつけます。しかし、懸命な手当ての甲斐もむなしく、加奈は帰らぬ人となってしまいます。警察は事故として処理をし始めますが、放心状態の安藤は、大学での講義もままならなくなってしまい、やむなく学部長に辞表を提出します。しかし、慰留された安藤は、結局しばらくの間休職することに。


 一方こちらは、気が気でない咲と真帆。以前は仲が良かった3人でしたが、実は最近は距離が出来ており、咲は加奈によく嫌がらせをするようになっていました。その矢先の今回の事故に、2人はいじめのことがバレないかと、ハラハラしているのでした。しかも2人は、加奈が日記を書いていたということを思い出します。意を決した先は、安藤に探りを入れるべく、
「お別れのご挨拶をしたくて・・・」
と、七緒の名前を語り、安藤の下を訪れます。安藤によると、どうやら日記はまだ見つかっていない様子で、咲はひと安心。ところが、すぐに帰ろうとした咲を安藤は引き留め、
「一緒に娘の部屋を探してほしい。」
と言い出します。
「そういうの、やめた方がイイと思います。」
とさりげなく止めようとする咲でしたが、安藤はやがて加奈のパソコンのパスワードの解除に成功してしまいます。そこに保存されていた日記には、咲と真帆との楽しい思い出から、最近のいじめの日々のことが、事細かく綴られていました。安藤はひどくショックを受けますが、まさか目の前の少女がその張本人とは気がつかず、咲はなんとかその場を逃れるのでした。


 その後、咲と真帆に会うべく、学校の文化祭を訪れた安藤は、本物の七緒に案内され、先日の少女が“咲”だと知り、がく然とします。咲から本当のことを聞き出そうと、校門の前で待ち伏せますが、彼の存在に気がついた咲は、警察に通報。安藤はやってきたパトカーに、連行されてしまいます。その後も、あの手この手で咲や真帆に接触を図る安藤に対し、咲もその人望を武器に、次第に安藤を追いつめていくのでした・・・。


 片や最愛の娘を亡くし、喪失感から次第に暴走していく父親。片や優等生の仮面を被り、自らの夢の実現のために必死にのしあがろうとする少女。およそ相容れない2人が交錯し、静かながらも火花散るバトルが繰り広げられ、ハラハラさせられます。どちらも決して正義や悪の一辺倒ではなく、どちらにも人間的な良い一面と、常軌を逸した醜い一面があって、その対比が非常に印象に残ります。


 ただ、元々は「行動心理学者の父VS他人の心理を操る悪魔」という触れ込みでしたが、主人公が心理学の知識を応用するようなシーンはあまりなく、若干の肩透かし感は否めません。それでもやはりラストのシーンは、さすが心理学者という上手い手を使っていますので、要注目です(笑)。


 ミステリー目当てで観るのは不向きですので、どちらかというと主人公達の心理の変化に深く考えさせられるような、変化球の人間ドラマと言えそうです。



【ワンチャン・ポイント】
※葵わかなさん・・・本作では、クラスで目立たない女子・七緒役。葵さんといえば、何といっても「陽だまりの彼女」での、上野樹里さんの幼少期を演じていらしたのが有名なところですが、他にも村上水軍の財宝を探す「瀬戸内海賊物語」や、新垣結衣さんが教師役を演じた「くちびるに歌を」等にも出演されていらっしゃいます。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>


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