ドローン・オブ・ウォー | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

<ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

観たい映画に迷った時は、このムービーナビをご活用下さい。現在公開中の映画の中から、目的や好みに合わせた映画を探せます。

※「声に出して読みたい映画のセリフ in 2018」 4月8日発売♪

これが現代の戦争。その驚愕の実態と、変わらぬ悲惨さ。


2015年10月1日公開
監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク
ブルース・グリーンウッド 他


【賛否両論チェック】
賛:戦場に行かずして戦っている現代の戦争の実態に、心底驚かされる。そして、そんな戦争がもたらす悲惨さや虚しさを、改めて浮き彫りにする展開にも、深く考えさせられる。
否:どうしても単調な任務のシーンが続くので、戦争映画に興味がないと、退屈しそう。必要性に疑問を感じるラブシーンもあり。


ラブシーン・・・結構あり
グロシーン・・・殺害シーン多数あり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・基本的にはなし



 遠く離れた自国から戦地を爆撃する、ドローンによる戦争を描いた実話です。主演はイーサン・ホーク。


 物語は2010年。アメリカ同時多発テロ事件に端を発した、アメリカ軍によるアフガニスタン進攻。その裏では、1万2000キロも離れたラスベガスの基地から無人機を操作し、タリバンに対しミサイル攻撃をしている部隊がありました。その日も無事に任務を終え、
「ここから先は、アメリカ合衆国を離れる。」
という注意書きが貼られたコンテナから出てきた、主人公のトーマス・イーガン少佐(イーサン・ホーク)。彼がその足で自宅に帰ると、そこでは2人の子供達と、最愛の妻・モリーが待っていました。そんな、良き夫であり父親としての顔も持つトーマスは、自国にいながらにして、戦地で敵兵を殺しているという、なんとも複雑な胸中に立たされているのでした。トーマスのいる部隊に配属される新兵は、ほとんどが実際にはあまり空を飛んだことのない者達でした。その中にあって、トーマスは実に6回もアフガニスタンの戦地に行ったことのある、本物の空軍パイロットなのでした。やがて、彼と同じようにパイロットを経験してきた女性兵士・スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)が配属され、トーマスのチームは日々の任務に明け暮れていました。


 トーマス達の主な任務は、偵察と脅威の排除。そんなある日、彼らは上官であるジャック・ジェムズ中佐(ブルース・グリーンウッド)の指揮の下、爆弾の製造工場と思われる建物を爆撃します。ところが、トーマスがミサイルを発射した直後、現場にボールを追いかけてきた子供達が現れます。次の瞬間、子供達の姿は爆風の中に消え、やがてその凄惨な遺体が映し出されるのでした。ジェムズは、
「お前だけのせいじゃない。」
とトーマスを励ましますが、トーマスはその責任を、1人で背負い込んでしまいます。家に帰っても、仕事のことは一切話さず、ただただ塞ぎ込むトーマスを、モリーは心配するのでした。そんな時、モリーはトーマスの退職願を見つけてしまいます。かねてから、実際の戦闘部隊への復帰を望んでいたトーマスは、その願いが叶わなかった時には、今の仕事を辞めようと考えていたのでした。しかし、全く何も話してくれないトーマスに、モリーは激昂。思わずトーマスに辛く当たってしまうのでした。


 しばらく経ったある日、トーマス達はジェムズに呼ばれます。彼によると、CIAからの要請を受け、トーマス達はCIAの特別任務を遂行しろとのこと。しかしそれは、非戦闘員の巻き添えも辞さない、非情な命令の連続でした。“ラングレー”と名乗るCIAの人物からの指示の下、タリバンの主要人物の潜伏先を爆撃したトーマスでしたが、その直後、駆け寄ってくる近隣住民に対し、ラングレーは再度の爆撃を指示。結局トーマスは、民間人を含む多数の命を奪ってしまうのでした。
「これではテロリストと同じだ!!」
と、スアレスは憤慨しますが、他の兵士達は、聞く耳を持ちません。一方のトーマスは、1人塞ぎ込むようになり、やがてその重い感情は、彼の日常生活をも蝕むようになってしまうのでした・・・。


 自分の国で普段の生活をしながら、地球の裏側の戦争に加わっているという現代の戦争の実態に、まず驚かされます。カメラの映像だけで、全く爆音がしない爆撃の描写や、トーマスが悩めるスアレスに話す、
「機が撃墜されても、俺は無傷。今1番危険なのは、帰りの高速道路での運転だ。」
というセリフなんかに、全てが表れていると思います。


 同時に、どんなに形が変わっても、戦争が多数の無関係な人々の命を奪い、関わる者の心を蝕んでいく悲しいものであるという普遍的なテーマにも、しっかりと言及しているのが印象的です。


 軽い気持ちで観られる内容ではありませんが、現代における戦争の悲惨さを改めて考えさせられる、そんな作品です。



【ワンチャン・ポイント】
※ゾーイ・クラヴィッツ・・・本作では、主人公と次第に心を通わせていくスアレス役。「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」でのミュータント役や、「アフター・アース」でのジェイデン・スミス演じる少年の姉役、そして「ダイバージェント」での主人公の友人役等で出演されていらっしゃる方で、最近では「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」で、シャーリーズ・セロン演じるフュリオサによって、イモータン・ジョーから逃がされた女性達の1人を演じられています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


「映画の通信簿2014」発売しました!!
Amazon限定販売ですので、「映画の通信簿2014」で検索下さい♪