ふたつの名前を持つ少年 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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ミクロの視点で描かれる、戦争の悲惨な真実。


2015年8月15日公開
監督:ペペ・ダンカート
出演:アンジェイ・カクツ
カミル・カクツ 他


【賛否両論チェック】
賛:“迫害”という凄惨な日々の中でも、手をさしのべてくれる人々の温かさが身に染みる。戦争の持つ負の部分について、深く考えさせられる。
否:歴史の予備知識がないと、退屈してしまうかも。最後の主人公の決断は、日本人の感覚からすると、やや理解しにくい部分もありそう。


ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・傷口のシーンや手術のシーン・用を足すシーンなどがあり
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・雰囲気が怖いシーンが結構あり



 第二次大戦下、ナチスの迫害を生き延びた1人の少年を描いた実話です。


 1942年・冬。一面冬景色の中を歩き続ける1人の少年。殴られながらも農夫の上着を盗み、ドイツ軍の車両から隠れ、飢えや寒さに何度も倒れそうになりながらも、父の言葉を思い起こしながら、吹雪の中を歩き続けます。しかしやがて力尽きてしまった少年は、とある農家の軒下で倒れ込んでしまうのでした。


 少年の本名は、ユダヤ人のスルリック。半年前、ナチス・ドイツの迫害から逃れ、1人森の中に迷い込んでしまったスルリックは、同じように森で隠れて暮らす孤児達と出逢い、森での生活を始めます。同じ境遇の仲間達に囲まれ、貧しくも楽しい日々でしたが、すぐにドイツ兵に見つかってしまい、彼らはバラバラに逃げ惑います。その結果、スルリックはまた独りぼっちになってしまうのでした。こうして彼は、先の農家の軒下へと、辿り着いたのでした。


 農家の主は、家族をドイツ軍に殺されたポーランド人の女性・マグダ。マグダはスルリックの素性を一目で見抜き、献身的に面倒を見ます。しかしすぐに、彼女の家の周囲にもドイツ軍の影が迫るようになり、マグダは
「危なくなったら、いつでも戻っておいで。」
と、スルリックを送り出すのでした。その後スルリックは、ユダヤ人ということを隠し、名前も“ユレク”と変え、親切な農家を転々とします。ところがそんな日々も永くは続かず、ある時彼は狡猾なポーランド人の夫妻に騙され、とうとうドイツ軍の収容所へと突き出されてしまうのでした・・・。


 戦争が生み出す“迫害”という悲劇の現実が、これでもかと描かれます。“ユダヤ人”というだけで暴力を受け、家を追われ、重傷を負っているのに手当てさえしてもらえない。そんな人間の悲しい一面がこれでもかと描かれ、思わずやりきれない気持ちになってしまいます。


 一方で、そんな大勢に流されることなく、困っている者に温かい手をさしのべてくれる一部の人々の素晴らしさにも、思わず感動を覚えます。手術をしてもらえず、病院の廊下に放っておかれていた主人公を、年配の医師が見つけて激怒し、彼を手術室に運び込ませるシーンなんかが、特に印象的です。


 歴史の知識があった方が、より感情移入出来る作品かとは思いますが、戦争の愚かさや悲惨さを痛感させられる、非常に社会派の作品です。



【ワンチャン・ポイント】
※アンジェイ・カクツ&カミル・カクツ・・・本作では、二人一役で主人公の少年を演じていらっしゃいます。双子だそうで、見事に全く違和感がありませんでした。感服です(笑)。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>D


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