ルック・オブ・サイレンス | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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人間の本性の露呈。賛否必至のドキュメント。


2015年7月4日公開
監督:ジョシュア・オッペンハイマー


【賛否両論チェック】
賛:人間の恐ろしさや浅ましさを垣間見る。様々な議論を生みそうなテーマなのも、興味深い。
否:この映画の主張自体も、やや乱暴な理屈か。非常に淡々と進むので、眠くなるかも。グロテスクな話も多数あり。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・グロテスクな話題が多数あり
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし



 かつてインドネシアで起きた虐殺を、被害者側からの視点で捉えたドキュメンタリーです。


 1956年のインドネシア。軍のクーデターにより政権は支配され、従わない人間達は“共産主義者”として虐殺されました。その数は、実に100万人を下らないと言われています。本作では、その虐殺の実行犯達が、当時を事もなげに振り返るインタビューを、虐殺で兄・ラムリを殺されたアティが見つめるところから始まります。


 彼には老いた両親がいましたが、父は老衰から半ば現実が認識出来なくなっており、母がその介護を行っていました。母から虐殺当時の話を聞くアティでしたが、母は未だに虐殺の実行犯達を許せないでいる様子。しかも、虐殺の実行犯達と被害者達は、現在も隣り近所で普通に生活を続けているのでした。アティはメガネの訪問販売を口実に、実行犯達から当時の様子や気持ちについて、詳しく話を聴こうと試みます。


 実行犯達は“英雄”としてもてはやされ、今では裕福な生活をしている者や、政界に進出している者も多く、アティは危険を省みずに突っ込んだ質問を重ねていきます。そんな彼らの口から出るのは、
「私は悪くない。」
「正しいことをした。」
「当時は仕方なかった。」
といった、正当化や責任転嫁の言葉ばかりで、アティは衝撃を受けるのでした・・・。


 命乞いをする者達の首を切ったり体を切断したり、絞め殺したり。そんなむごたらしい話を飄々と語る実行犯達にも驚かされますが、その多数が
「命じられて荷担しただけ。自分は悪くない。」
と開き直っている姿にも、人間の浅ましさを感じてしまいます。ただ逆に言うと、被害者からの視点でしか描かれていないので、自然と
「被害者=善で、加害者=悪。」
という構図になってしまっているのも、少し乱暴な理屈なのかなと思います。


 また、特にBGM等もなく非常に淡々と進むドキュメンタリーなので、気をつけないとかなり眠くなりそうです。


 良くも悪くも、命や社会や正義について、色々と議論のきっかけとなりそうな作品です。



【ワンチャン・ポイント】
※「アクト・オブ・キリング」・・・本作の監督の前回作。今回の題材でもあるインドネシアの大虐殺を取り上げ、当時の様子を克明に聞き出すため、加害者達に、
「ご自身のしたことを題材に、映画を作りませんか?」
と持ちかけます。そして、彼らが当時の様子を自分達で演じ、再現していくうちに、被害者側の視点や気持ちに気がつき、打ちのめされていくというドキュメンタリーです。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


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