ラブ&ピース | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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シュールなのに、何故か感動的。笑って泣ける世界観!!


2015年6月27日公開
監督:園子温
出演:長谷川博己・麻生久美子・西田敏行 他


【賛否両論チェック】
賛:健気に主人公を想い続ける亀の姿が切なく、感動を誘う。それとは対照的に、成功して変わってしまう主人公の浅ましさも印象的。
否:ストーリーは荒唐無稽なので、現実主義の人には不向き。シュールな笑いも、好みが分かれそう。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・特撮シーンあり
怖シーン・・・雰囲気が少しだけ怖いシーンがあり



 1匹の亀と出逢った主人公が、数奇な運命をたどります。主演は長谷川博己さん。


 主人公・鈴木良一(長谷川博己)は、地味な会社員。昔はスター歌手を目指していましたが、今は会社でも“バカ”扱いされ、イタズラで“廃棄”のステッカーを貼りつけられる始末でした。彼は胃腸が弱く、パニックになるとすぐにトイレに駆け込んでいましたが、そんな彼に胃薬を差し出してくれたのがきっかけで、彼は同僚で同じく地味めな寺島裕子(麻生久美子)に片想いをしていました。そんなうだつが上がらない毎日を過ごした良一はある日、デパートの屋上で売られていた亀に一目惚れをし、買って帰ります。彼は初めて出来た友達に「ピカドン」という名前を付け、それからは毎日片時も離れず、大切にするのでした。ところがしばらくして、同僚達がピカドンの存在に気がついてしまい、良一は会社中の笑い者になってしまいます。またしてもパニックになってしまい、トイレに駆け込んだ良一は、ついついピカドンをトイレに流してしまうのでした。それからというもの、良一は今まで以上にふさぎ込んでしまい、ピカドンを手放したことを後悔する毎日を送るのでした。


 一方、流されたピカドンは下水管を流れに流れ、ふと怪しげな地下空間にたどり着きます。そこにいたのは不思議な老人(西田敏行)と、言葉を話すオモチャ達や動物達。彼らはみな人間達に捨てられ、この“ガラクタ天国”にたどり着き、老人が作る魔法の飴を食べたことで、話せるようになっていました。彼らの催促で、早速ピカドンにも飴を作る老人でしたが、出来た飴を誤ってひっくり返してしまいます。そこで飴が混ざってしまい、ピカドンは“話せるようになる飴”ではなく、“願いが叶う代わりに、巨大化してしまう飴”を食べてしまうのでした。勿論ピカドンの願いは、「良一の夢が叶うこと」。そしてその願いは、次々と実現していくのでした。


 その後の良一の人生は、ガラッと変わっていきます。無理やり連れていかれ、参加させられた「Revolution Q」というバンドの路上ライブで、ピカドンへの想いをつづった歌を披露したところ、彼らのプロデューサーから、
「ピカドン(原爆)のことを歌う、今どきないパンチのある反戦歌だ。」
と勘違いされ、即メンバーにスカウトされます。そしてその後は、バンドを足がかりにソロデビューし、次々とヒット曲を生み出していきます。しかし、そんな良一の夢が実現すればするほど、ピカドンは文字通り“大きく”なっていくのでした・・・。


 その異色でシュールな世界観に、最初こそ面食らいますが、すぐに引き込まれてしまいます。唯一の友を手放し、悲しみに暮れる主人公を、それでも応援し続ける健気な亀の姿に、思わず感動します。そして、そんな亀の願いのお陰とはいざ知らず、夢が叶う度に、次第に性格が変わっていってしまう主人公にもまた、人間の浅ましさを垣間見るような気がします。物に溢れ、大切な物でも動物でも、飽きるとすぐに捨ててしまう現代人への警鐘として意味合いも、多分に含まれています。


 ただ逆に言うと、世界観がシュールなだけに、苦手な人が観るとかなり違和感を覚えてしまうと思います。それくらい、展開や笑いは独特です。


 とはいえ、長谷川博己さんが歌う「ラブ&ピース」は必聴です。是非ご覧になってみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※園子温監督作品との共通項・・・本作では、園子温監督の他の作品とも、多くの共通点があります。主演の長谷川博己さんは、「地獄でなぜ悪い」にも、映画バカ役として登場。同じ「地獄でなぜ悪い」には、本作でロボットのオモチャ「PC-300」の声を演じている星野源さんも出演されています。そして劇中で良一が歌っている「全力歯ぎしりレッツゴー!」は、「地獄でなぜ悪い」で幼い頃の二階堂ふみさんがCMで歌っています。他にも、会社の同僚役の深水元基さんは「新宿スワン」に、電車内の女子高生役の真野恵里菜さんは、7月公開の「リアル鬼ごっこ」に、人形を捨てた少女の母親役の神楽坂恵さんは、なんと「ヒミズ」「希望の国」「地獄でなぜ悪い」と、3作品に出ていらっしゃいます。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>


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