きみはいい子 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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ラスト30分で救われる。現代の子供達を取り巻く苦悩。


2015年6月27日公開
監督:呉美保
出演:高良健吾・尾野真千子・喜多道枝 他


【賛否両論チェック】
賛:子供を取り巻く様々な問題を正面から取り上げた描写が秀逸。救いのあるストーリーもステキ。
否:学級崩壊していた生徒達が、急に言うことを聞くようになるのは、少し違和感があり、終わり方も結構消化不良。イジメや家庭内暴力のシーンが多いので、嫌いな人には不向き。


ラブシーン・・・基本的にはなし
グロシーン・・・基本的にはなし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・なし



 子どもと上手く向き合えない大人達の姿を描いた群像劇です。主演は高良健吾さん・尾野真千子さん等。


 認知症の気がある老婆・あき子(喜多道枝)の自宅に、
「ウチの生徒が、この辺りのお宅にピンポンダッシュをしまして・・・」
と謝罪に訪れる小学校教師・岡野匡(高良健吾)。赴任1年目の新米教師である彼のクラスは、トラブルの連続。ホームルーム中にトイレに行けず、漏らしてしまった生徒が、教室中の笑われ者になってしまい、怒った母親からクレームの電話をもらってしまいます。結局はベテランの学年主任が電話を代わり、なんとか丸く収まりますが、匡はその学年主任からも、お小言を食らってしまうのでした。ところ変わって、幼稚園児のあやねを抱える、専業主婦の水木雅美(尾野真千子)。夫は単身赴任で家を空けており、あやねの世話は、全て雅美がせざるを得ません。しかし、幼い頃に父親から受けた暴力がトラウマとなり、上手く育児が出来ない雅美は、ついついあやねに辛く当たってしまいます。ママ友達とのランチも、なかなか上手く馴染めずにいましたが、そんな時彼女は、他のママ友達とは一線を画していた二児の母・大宮陽子(池脇千鶴)と、次第に親しくなっていきます。しかしある日、陽子が押していたベビーカーを、
「私も押したい!!」
と言って代わったあやねが、誤って倒しそうになってしまい、激怒した雅美は、帰宅した後にあやねにひどい暴力をふるってしまうのでした。


 一方の匡は、その後も生徒達の指導に悪戦苦闘。
「授業中にどうしてもトイレに行きたくなったら、言って下さい。」
と話したところ、今度はみんなが
「トイレに行きたい!!」
と騒ぎ出し、クラスは学級崩壊寸前になってしまいます。そして匡は、そんなクラスの中で1人、毎日放課後になっても校庭の片隅にたたずんでいる男子生徒に気がつきます。どうやら母親の再婚相手のヒモ男に、
「5時までは家に帰ってくるな。」
と言われている様子。その日は雨だったため、なんとか男の子を説得して家に連れて帰りますが、ヒモ男は匡を威嚇し、男の子を家の中に突き飛ばして、扉を閉めてしまうのでした。一方の雅美の方はというと、陽子とはより親密になっていきますが、夫の帰宅が先送りになってしまい、駄々をこねるあやねに対し、雅美のフラストレーションはたまるばかり。ついつい罵声を浴びせたり、手をあげてしまう日々が続いていました。そんなある日、陽子がついつい冗談で、
「あやねちゃん、ウチの子になっちゃう?」
と聞いた言葉に、雅美はショックを受けてしまいます。それでもあやねは、
「嫌だ!!ママの子がイイ!!」
と健気な様子を見せるのでした。


 またところは変わり、学校の近くに住むあき子には、毎日家の前を掃除している際に、必ず挨拶をしてくれる少年・弘也がいました。弘也は障がいを持っていましたが、その弘也がある日、自宅の鍵をなくしてしまったらしく、家の前で絶叫しているのを見かけたあき子。見かねた彼女は、弘也を自宅に招き入れ、お茶をいれてあげるのでした・・・。


 群像劇で、それぞれの登場人物同士はあまり接点がありませんが、それぞれの風景描写が巧みにリンクしていたりして、自然に繋がっていく様子が見事です。


 内容としては、現代の子供を取り巻く、“イジメ”“学級崩壊”“家庭内暴力”“不登校”“親の再婚相手からの暴力”“障がいを持つ子供の教育”等様々な問題が取り上げられ、浮き彫りにされていくので、否応なしに考えさせられます。その分、正直あまりまとまりがなく感じてしまう部分もありますし、イジメや家庭内暴力なんかの描写が苦手な人は、観ていると虫ずが走るかもしれません。それでも終盤は、希望が垣間見える展開なので、そこはすごくステキだと思います。


 それにしても今の小学校って、男女差別にならないようにと、男子も女子も
「○○さん。」
って呼ばなきゃいけないんですね。方向性として絶対間違っているような気もしますが、
「先生も大変なんだなぁ・・・」
と実感することも出来る作品です(笑)。



【ワンチャン・ポイント】
※黒川芽以さん・・・本作では、高良健吾さん演じる主人公の彼女役。結構今回と同じような役どころが多いようで、「福福荘の福ちゃん」や「ぼくたちの家族」でも、主要人物の妻や彼女役で出演していらっしゃいます。他にも「僕たちは世界を変えることができない。」「ガール」「横道世之介」等々、様々な作品で活躍されていますので、今後も要注目です。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


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