向日葵の丘 1983年・夏 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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忘れてしまった懐かしさ。時代を越えて紡がれる、“自分なりの生き方”。


2015年8月22日公開
監督:太田隆文
出演:常盤貴子・田中美里・藤田朋子 他


【賛否両論チェック】
賛:80年代と現代が見事に対比されており、昔の日本を知っている世代であれば、共感出来る部分が沢山ありそう。自分の夢を貫いてきた主人公が、最後に辿りつく人々への感謝の想いにも涙。
否:昔の映画の話が多数出てくるので、興味がないとかなり退屈。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・基本的にはなし



 東京で働き続けていた主人公が、忘れていた高校時代の思い出を胸に、故郷へと戻っていくお話です。主演は常盤貴子さん。


 主人公・多香子(常盤貴子)は、東京で映画のシナリオライターをしている女性。しかし仕事はあまり芳しくはなく、やっと決まりかけていた仕事も、先方の都合でキャンセルされることもしばしば。そんなある日、彼女が書いていたブログに、書き込みがありました。それは、かつての高校時代の親友・みどり(田中美里)からのものでした。みどりとは疎遠になっていたため、突然のことに驚く多香子。しかもみどりは重い病気にかかっており、余命いくばくもないとのこと。早速、同じく高校時代の親友・エリカ(藤田朋子)に相談する多香子でしたが、エリカは、
「ウソかもしれない。」
とそっけない様子。そんなエリカはロサンゼルス在住のため、すぐに日本を離れてしまうとのことでした。


 物語は遡り、1983年の田舎町。当時高校3年生だった多香子達にとって、その1年は特別なものになりました。世間の女の子は、“松田聖子派”か“中森明菜派”に分かれていた頃、根っからの映画好きな多香子とみどりは、洋画の女優達に夢中。街にある小さな映画館「かもめ座」に足しげく通い、支配人の梶原(津川雅彦)と、映画談義に花を咲かせていました。そんな2人は、梶原から8ミリカメラをプレゼントされたことをきっかけに、自分達でも映画を作ろうと決意します。


 しかし、前途は多難。文化祭の出し物として映画を撮ることにしたものの、クラス会では同級生達の猛反対に遭い、断念。そこで2人は、学校唯一の「映画研究部」を訪ね、映画を撮る話を持ちかけます。そこにいたのは、部長にして唯一の部員・エリカでした。3人共、映画の好みはバラバラでしたが、作りたいという想いは一致。そこで、3人それぞれの希望を組み込んだ白黒映画を作ることにし、早速各々の準備に取りかかります。かくして、3人だけの自主映画製作が始まるのでした。思わぬ幾多の困難を乗り越え、撮影は進んでいくのでしたが・・・。


 まず、現代と80年代の対比が見事です。昔は電話も黒電話で、高校生達は良い大学を目指す学力主義にさらされ、世間的にも
「映画なんて・・・」
と小馬鹿にするような風潮が描かれています。比べて現代では、片田舎の高校生でさえも皆スマートフォンを持っており、自由な価値観を持って生きている一方、昔にあったような穏やかさはなく、あくせくと生きなければならない様子が、随所に表れています。


 そうした閉鎖的な80年代にあって、現代に通ずるような価値観を捨てずに、一生懸命“映画”という自分達の表現方法を追求しようとする主人公達の姿が、非常に清々しく映ります。そんな彼女達のひたむきさが、やがて街中の大人達をも巻き込み、突き動かしていく様もまた、観ていて勇気をくれるような気がします。そして、ラストで常盤貴子さん演じる現代の多香子が語る、出逢ってきた人々や場所への感謝の言葉にも、感動させられるものがあります。


 映写フィルムの種類の話や、昔の映画の出演者の話など、興味がないと退屈しそうな話はかなり出てきますので、映画好きな大人の皆様に、是非オススメの作品です。



【ワンチャン・ポイント】
※芳根京子さん・・・本作では、高校時代の主人公・多香子役。とても透明感のある方で、最近ではももいろクローバーZ主演の「幕が上がる」で、演劇部の1年生役で出演されているそうです。

 7月からのTBS金曜夜10時の連続ドラマ「表参道高校合唱部!」で、連ドラ初主演が決まっているそうなので、今後その活躍がテレビでも観られそうですね。


※藤井武美さん・・・本作では、高校時代の多香子の親友・みどり役。「Another」「桐島、部活やめるってよ」「悪の教典」等、色々な学園モノの映画に出ていらっしゃるようですね。

 あの「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」等のクァク・ジェヨン監督の最新作「風の色」のヒロインに、1万人のオーディションの中から選ばれたそうなので、そちらも要注目です。


※百川晴香さん・・・本作では、高校時代唯一の映画研究部員だったエリカ役。自身を「ボク」と呼ぶ、一風変わった帰国子女の役が、すごく様になっています。今後もますますの活躍に期待です。

 7月からスタートの「ウルトラマンX」では、天才科学者少女役でレギュラー出演されるそうですよ。


オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>


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