くちびるに歌を | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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「逃げるな。逃げたって、誰も救えない。誰も救ってくれない。」


2015年2月28日公開
監督:三木孝浩
出演:新垣結衣・恒松祐里・木村文乃 他


【賛否両論チェック】
賛:「生きる意味」を見失ってしまった多感な中学生達と、同じように傷ついてきた主人公との、真っ直ぐなぶつかり合いが感動的。作品を彩るステキな音楽にも、自然と涙が出ること請け合い。
否:親に捨てられた少女や、自閉症の兄の世話を続ける弟など、出てくるテーマは結構重いので、あまり軽い気持ちでは観られない。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・なし
怖シーン・・・なし


 アンジェラ・アキさんの名曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を基に生まれた小説の映画化です。主演は新垣結衣さん。


 物語の舞台は、長崎県五島列島の小さな島にある、中五島中学校。4月の新学期を迎え、産休に入った音楽教師の松山ハルコ(木村文乃)に代わり、臨時の教員として柏木ユリ(新垣結衣)が赴任してきます。この学校のOGで、ハルコの同級生でもあるユリでしたが、初日からその表情はどこかすぐれません。しかも成り行きで、ハルコが顧問をしている合唱部の担当もすることになったユリは、あからさまに不機嫌そう。部員への挨拶も、
「適当によろしく。」
と済ませ、部員のナズナ達を呆れさせるのでした。その後も、ユリは合唱部に対して斜に構えた態度を崩しません。元々は“プロの美人ピアニスト”という前評判でしたが、全然ピアノを弾いてくれないばかりか、ユリ目当ての男子部員達の入部をどんどん許可したり、練習に顔を出してもただただ黙って見ているだけなど、その横暴ぶりにナズナ達はカンカン。しかもインターネットでユリのことを調べてみると、コンサートでピアノを弾かずに舞台を立ち去る映像も出てくるなど、彼女達の心はユリから完全に離れてしまうのでした。


 一方、部員達もそれぞれに家庭の事情を抱えていました。ナズナの家は母親が亡くなっており、父親は新しい女と蒸発。そのため、ナズナは祖父母と暮らしていて、そのことは島中に知れ渡っていました。また、新入部員のサトルには自閉症の兄・アキオがおり、港で働くアキオの送り迎えと合唱部との両立に、頭を悩ませていました。そんな中、ようやく少しずつ合唱部の指導をしてくれるようになったユリは、部員達にとある課題を出します。それは、近々出場する合唱コンクールの課題曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の歌詞を理解するために、15年後の自分に宛てた手紙を書くこと。なかなか技術指導をしてくれないユリに不満を抱きながらも、ナズナ達は1人1人この課題に向き合うことになるのでした。


 そんなある日、合唱部の練習で遅くなったサトルが、いつものようにアキオの迎えに行くと、アキオは1人でどこかへ行ってしまっていました。慌ててアキオを探すサトル。幸い、たまたま近くで海を眺めていたユリが見かけて事なきを得ますが、サトルは父親にこっぴどく叱られてしまい、やむなく合唱部を辞めたいとユリに告げます。そしてナズナの下には、失踪した父親から頻繁に電話がかかってくるようになり、ナズナはその面影に苦しみます。一方、勝ち気で傲慢そうに見えるユリにもまた、ピアノが弾けなくなってしまった辛い過去があるのでした。そんな彼女達でしたが、日々ぶつかり合っていくうちに、お互いの心に少しずつ変化が生まれていきます・・・。


 音楽がここまで人を突き動かすことが出来るのかと、思わず感動を覚えます。両親のいないナズナや、自閉症の兄を抱えるサトルなど、中学生にして様々な体験をしてきた少年少女達が、音楽を通して「自分が生きていく意味」を見出していく様子がステキです。そして、最初こそ自分を偽っていたものの、次第にそんな少年少女達に感化され、少しずつ自身の哀しい過去ともしっかりと向き合っていくユリの姿も印象的です。


 ラストのシーンもメチャメチャ感動的ですので、彼女達の澄んだ歌声が魅せてくれる奇跡を、是非とも劇場でご覧下さい。 


【ワンチャン・ポイント】
※葵わかなさん・・・本作では、合唱部の指揮を務めるチナツ役。本作の監督でもある三木孝浩監督作の「陽だまりの彼女」では、上野樹里さんの幼少期を演じていらっしゃいます。他にも「瀬戸内海賊物語」では、本作でも同級生役で共演している柴田杏花さんと共に、財宝探しの大活躍をなさっています(笑)。今後の活躍が楽しみな女優さんですね。


オススメジャンル&オススメ度・・・<感動したい>


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