バンクーバーの朝日 | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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社会をも動かす野球の力。歴史に埋もれた真実の物語。


2014年12月20日公開
監督:石井裕也
出演:妻夫木聡・亀梨和也・勝地涼 他


【賛否両論チェック】
賛:差別や迫害の中でも、決してそれに屈しない姿勢と、彼らに感化されて変わっていく人々の姿が清々しい。
否:野球に興味がないと、結構退屈かも。史実であるが故の終わり方も、好みは分かれそう。


ラブシーン・・・なし
グロシーン・・・なし
アクションシーン・・・基本的にはなし
怖シーン・・・なし


 かつてカナダに実在した日本人野球チームの、知られざる戦いを描いた作品です。主演は妻夫木聡さん。


 物語の舞台は、第二次世界大戦前のカナダ・バンクーバー。この地には、
「3年移住すれば、その後日本で生涯不自由なく暮らせる。」
という話を真に受けて移住してきた日本人達が、厳しい差別にさらされながら、貧しい暮らしを強いられていました。そんな中で作られた日本人野球チーム・バンクーバー朝日。主人公の日系二世・レジー(妻夫木聡)もその一員でしたが、体の大きい白人相手に日本人は全く歯が立たず、バンクーバー朝日は長年最下位に甘んじていました。レジーの妹・エミー(高畑充希)は、数少ない親日派のカナダ人の家で使用人として雇ってもらいながら、大学進学を夢見ていました。また、レジーの父・清二(佐藤浩市)は根っからの白人嫌いで、日雇い労働をしては、酒に溺れる日々を過ごしていました。一方、バンクーバー朝日の面々もそれぞれの仕事をこなしながら、定時になると、
「結構なご身分だね。」
などと嫌味を言われながらも仕事を切り上げ、グラウンドに集合し、練習に明け暮れていました。


 試合は一向に勝てませんでしたが、そんなある日、その後の運命を大きく変える出来事が起こります。レジーの打席で、止めたバットにボールが当たり、サードゴロになったのでした。結果はアウトになりますが、この瞬間、レジーは1つの可能性に気づきます。次の試合で、レジーはセーフティバントを敢行。出塁すると、すかさず盗塁し、牽制がそれる間に、とうとう三塁を陥れてしまいます。その後のファーストゴロで生還したレジーを、チームメイトは呆気に取られた顔で迎え入れるのでした。


 この試合をきっかけに、バンクーバー朝日の雰囲気はガラリと変わります。徹底したバント戦術や盗塁、俊敏な守備に加え、データから相手選手の弱点を突いていく“頭脳野球(ブレイン・ボール)”を採り入れた朝日は、快進撃を始めます。その間も、日本人への厳しい迫害は続いていましたが、ひたむきなプレーを続けるバンクーバー朝日に感化されるように、町の雰囲気も少しずつ変わっていき、
「お前達の野球は面白い。」
と声をかけられたり、審判のえこひいきな判定には、白人からも、
「フェアにやれ!!」
と野次が飛ぶようになります。ところが、風向きが少しずつ変わってきた矢先に、レジーが受けた頭部へのデッドボールに激昂したロイ(亀梨和也)が乱闘騒ぎを起こしてしまい、バンクーバー朝日は出場停止処分になってしまうのでした・・・。


 差別や迫害という、かつて実際にあった悲劇を生々しく描きながらも、それに屈することなくひたむきにプレーを続ける主人公達の姿は、観ていて胸にこみ上げるものがあります。そして、そんな彼らのプレーがきっかけとなり、白人の人々の心の壁が少しずつ取り払われていく様子も、感動を呼びます。反面、そうして人々の希望になったバンクーバー朝日にも、〝戦争”という避けられない残酷な現実が迫りくる様も、深く考えさせられるところです。


 野球が好きではないと少し退屈かもしれませんが、実話ベースの感動作です。是非ご覧下さい。


【ワンチャン・ポイント】
※勝地涼さん・・・本作では、チームのナンバー2でお調子者のケイ役。最近では「クローズEXPLODE」での狡猾なキャラクターが印象的です。他にも「コドモ警察」や「遺体 明日への十日間」「北のカナリアたち」などなど、幅広いジャンルの作品で活躍されています。


オススメジャンル&オススメ度・・・<深く考えたい>


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