「映画の力」EPISODE:春山陽子(映像翻訳家)『十二人の怒れる男』 | C2[シーツー]BLOG

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川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
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「映画の力」EPISODE:『十二人の怒れる男』
映画の力は、作品力と劇場空間が合わさってこそ!

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 30年以上映像翻訳の仕事をしてきた中で、数年間ですが大学の非常勤講師をさせていただいたことがあります。若い学生達が相手なので、できるだけ新しい作品を教材として使いました。でもたまに冒険してみようと思い、『十二人の怒れる男』を使ったことがあります。シドニー・ルメット監督、ヘンリー・フォンダ主演、1957年の白黒映画。男しか出てこず、派手なシーンはなし、台詞劇で重いテーマ。色が付いていないというだけでも鑑賞の選択肢から外されるであろう作品です。内心ヒヤヒヤしていました。

 

 その結果は…大当たり!興奮して面白いと言ってきてくれる学生あり、授業では半分くらいしか使わなかったため、あとからDVDで観直したという学生あり。とにかく大好評でした。名作なので面白いのは当たり前です。ただ、授業を行っていたのはスクリーンとプロジェクターがある視聴覚用の教室で、映画館のように暗くして上映することができました。そういった空間ではなく、TVやパソコン、スマホの画面で観たとしたら、魅力が分かってもらえただろうかと思います。

 

 あの時、白黒の古い映画だって面白いんだと気がついた学生は、重いテーマについても若く柔軟な頭で考え、それは人生のどこかに影響を与え彩りを加えたことでしょう。映画の力というものは、作品そのものと劇場の暗くて広い空間が合わさってこそ、最大の力を発揮するのだと思います。

 

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十二人の怒れる男
●1957年製作/96分/アメリカ●監督:シドニー・ルメット●出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コップ、エド・ベグリー、E・G・マーシャル、ジャック・ウォーデン

 

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