「映画の力」EPISODE:大塚恭司監督「映画は人の運命を変える程の可能性を秘めた『体感装置』」 | C2[シーツー]BLOG

C2[シーツー]BLOG

川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
C2[シーツー]の編集・発行人。 毎月30本アベレージで、
年間300本以上を鑑賞。“シネマ・コネクション”を
キーワードに、映画をナビゲート!
▶シーツーWEB版  www.riverbook.com

シーツーWEB版に戻る                 ムビステ!特設サイトに戻る

 

「映画の力」EPISODE:
映画は人の運命を変える程の可能性を秘めた「体感装置」

▶︎「映画の力」エピソードを投稿する→

 

 生まれて初めて観た実写映画は、フェリーニの『道』だった。5歳の時、映画マニアの母親に連れられて映画館で観たのだが、「作り物」だと理解出来ず、その後ずっと「あの3人は本当に死んだのか?」と悩み続け、頭から映像が離れなくなった。当時そんな言葉は無かったが、明かにPTSDであった。

 

 次の衝撃は、学生時代に観た『狂い咲きサンダーロード』だった。同じ学生が作ったという事もショックで、迷う事なく石井聰亙(現・岳龍)監督が主宰するダイナマイトプロに参加した。『シャッフル』『爆裂都市BURST CITY』のスタッフとして働いた後に、思うところあって映画から離れ、テレビ局に就職した。

 

 35年間テレビ番組を作り続け、定年退職の後、昨年映画の世界に戻った。映画デビュー作『東京アディオス』を創るに当たり、映画とテレビの違いを徹底的に考え抜いた。

 

 一言でその違いを言うと、テレビは「情報伝達装置」であり、映画は「体感装置」である。

 

 テレビからは多くの事を学んだが、前述した映画2本のような衝撃に出会う事は無かった。それは、テレビと映画の本来的機能の違いなのである。DVDやBlu-ray、ネット配信を否定するつもりは無いが、映画が本来の力を発揮する唯一の場所は映画館以外には無い。暗闇、大画面、大音響、投射映像、そして一期一会の他者との空間の共有。

 

 映画館が無くなれば、映画は自動的に消滅する。ミニシアターが無くなれば、ローバジェットの映画や自主映画はやはり自動的に消滅する。新しい時代が来ても、映画マニア、映画ファンは、決して忘れてはならない。映画は人の運命を変える程の可能性を秘めた「体感装置」である事を。

 

▶︎「映画の力」エピソードを投稿する→

 

▼大塚恭司監督 初監督作品

東京アディオス2020年3月28日(土)よりシネマスコーレにて公開

公式サイト

 

▶︎「映画の力」エピソードを投稿する→

 

シーツーWEB版に戻る                 ムビステ!特設サイトに戻る