くらもちふさこさんっておもしろいコマ割りをすると思うんですが、たとえば上のコマ割りなんかもとてもおもしろいです。
主人公が、いまいち本心がわからない「夏目」に海で抱っこされてるシーンなんですが、四つのコマの風景が徐々に変わってますよね。これは、おそらく抱っこされたままゆっくりまわってるんですね。
で、抱っこされている主人公の顔が笑顔からシリアスになっていってます。
で、夏目の顔にはトーンがかかっており、瞳も描かれず、ほんとうに好かれているのか遊ばれているのかわからないようになっています。
ここには少なくとも二重の仕掛けがあって、ひとつは抱っこされている身体が密着した場所でありながらも、抱っこされているあまり視線が交錯し、みている風景がすれちがっていくというひとつめのすれちがい。
それから、マンガ的にコマが主人公だけ分割されることで、主人公が風景のなかから隔離され、身体が密着されながらも、相手の本心がわからないという内面の檻のなかに幽閉されているというマンガ的すれちがいです。
で、このマンガは基本的に、誰が好きかわからない男に翻弄される女の子というマンガです。けれどもそれをこうしたはしゃぐような状況で、大胆なコマ割りを使ってていねいに描く。そんなところにくらもちマンガのひとつのおもしろさがあるようにおもいます。