先日のブログで歌舞伎町について触れました。


そしたら、何かと好都合が重なりめでたく、久しぶりの歌舞伎町ツアーが決行出来ました。



 TODAY'S
 
僕の過去と歌舞伎町を添えて



今回は、歌舞伎町をご紹介しながら、あまり触れてこなかったホストとしての僕の過去についてお話させていただければと思います。



【新宿駅・東口から徒歩5分】

魔界と下界の交差点




新宿駅東口から、アルタ前を通りひたすら真っ直ぐ進むとドン・キホーテが見えてきます。


そこにある交差点が「魔界と下界を繋ぐ交差点」になります。

写真では左が魔界(歌舞伎町)、右が下界(新宿駅方面)になります。


ここは「靖国通り」という大通りになり、いくつもある歌舞伎町の入り口としてはメインになります。

よくある赤い歌舞伎町の看板もこちら側ですが、コロナの影響でライトが消されてたので載せませんでした。


また歌舞伎町は大通り2つに挟まれており、反対側は「職安通り」となります。


職安通り沿い(東新宿方面)はホストやキャバ嬢、風俗嬢、その他歌舞伎町の住人が多く住んでいる街でもあります。


余談ですが、お金のあるホストや夜の人間は、職安通りを西新宿方面に進んだエリアのタワーマンションに住んでる事が多いです。


こちらは都庁方面になるので、家賃が東新宿よりグッと高くなります。


ちなみにホストの寮は、基本的に歌舞伎町内か東新宿、または明治通り沿いのマンションにある事が多いです。



【思い出】

僕もこの交差点を通って歌舞伎町ホストになりました。あの日の事は今でもよく覚えています。


人生半ば投げ捨てたような20代始まったばかりの頃ですが、本当にお金に困ってました。


今は一切やらないですが、異常なくらい金遣いの荒い時期で、かなり重度な馬鹿だったとだと自覚してます。


稼いだお金の使い道も知らず、生きた金を使った試しもありませんでした。


また女癖も非常に悪く、当時付き合ってた彼女もいましたが浮気ばかりしていたので別れる事に。


ただ「歌舞伎町でどれくらい自分が通用するか確かめたい。サッサと売れて、サッサと辞めよう。20代前半ならやり直せる」と安易かつ、厨二病を引きずった状態の奴がここでホストを始める為に通った交差点です。


赤信号につかまり、やたらと長く感じました。



「これが歌舞伎町か」



(意外に汚いんだな。

もっとキラキラしてるかと思った。)


時刻は15:00


面接は15:30からでしたが、気合いを入れて前乗りして、軽く散策してから店に行こう。


そう思い、青になった交差点を歩いて渡りました。


面接では、内勤に面接シートとお茶を渡されて記入して待つように言われました。


店の1番端っこの卓で面接シートを書いていると、続々とホストが出勤してきました。


「おはようございます!!!!」


「おう!おはよう!」


地鳴り用な馬鹿でかい声で全員出勤してきます。

軽くカルチャーショックでした。


ホストの出勤時の挨拶は基本大声です。

小さい声の挨拶はやり直しですし、普通にキレられます。


出勤したホストは、各々基本的に色んな卓座り、ご飯を食べたり、化粧をしたり、携帯いじったり、談笑したり、ヘアメイクをしたり、営業したりとそれぞれバラバラです。


体入ホストの僕の事をジロジロ見ながら、

「なんだお前」みたいな感じで軽く威圧してきた事を覚えています。


今、思えば売上たった数万〜数十万程度のクソ雑魚ホストなのですが。


面接が始まり、色々聞かれた中で唯一覚えてる事。

それは

「歌舞伎町でホストやってどれくらい稼ぎたいですか?」


って質問です。


即答で「1000万円です」って答えました。

1000万って言った理由は特にないですが、単純にホストを長く続ける気がなかったのと、月100万稼ぐ✖️12ヶ月で、少しくらい遊んでも手元に1000万は残るだろう的な、実に20代の思考全開の僕です。


「いけますよ」



と一言。

なぜか「了解しました」と意味不明な返答をしてしまいましたが、面接は合格しそのまま体験入店(体入)へ移る事になりました。


歌舞伎町の初回の多さ、客単価、ヘルプのレベル、酒の飲む量、ラッソン金額の高さ、従業員へのプレッシャー、ホストの顔面レベル、ホストの本気度。


全てが刺激となり、この街で闘う事を決め、そのままその店に本入店する事になります。


この交差点の思い出はここまでです。


歌舞伎町ホストへの第一歩となった、ある意味思い出深い交差点でありました。




歌舞伎町の景色と同化するなと教えられた場所

セントラル(ゴジラ通り)




入店してから結果が出るまでの数ヶ月間は

この場所で、ずっとキャッチやビラ配りをしてました。※ビラ配りというのは初回客をゲットして店まで連れて行くこと(今は違法です)


このセントラルは先程紹介した交差点から入ってくる、言わば歌舞伎町の「玄関」のような場所です。


200mくらい?のストレート通りで、入れ替わり立ち替わり激しい街ですが、なぜかこのセントラルにはホストは一軒もありません。


なので、昔はここに他店のホストがずらーーっと並んでいて、通りすがる女の子に片っ端から声をかけまくる場所でもありました。


邪魔なので、よくキレられてました。


完全初対面な女の子に

「ウザイ」「しつこい」「行かない」「行く」「声かけられる待ってたよ」「ナンパすんなよ」「イケメンいるの?」「奢ってよ」「アフターある?」「枕してくれたら行く」「ビラとか売れてないんだね」とか言われまくりましたよ。


なんか昔の会話ってすげーなって思いますねw

なんかホストに対して感情ストレートというかw



そんなやり取りを毎日この場所でしていました。

店の方が混んできたりすると各ホストの携帯が鳴り「初回入ってきたからお前帰ってこい」と言われて店に戻る。

初回が終わればまたビラに出るといった感じです。


ビラを引けなければ容赦なく店に激詰めされる。


そこで、内勤に言われた一言をよく覚えてます。


「お前は歌舞伎町の景色の一部になってる」と。


要は、歌舞伎町のどこにでもいるホストであると。

歌舞伎町の日常の写真の中に、自然に馴染んでるその他大勢の中の1人だという意味です。


売れなくて、悔しくて、情けなくて、理想と違いすぎて、辛くて、でもどうしたらいいかわからなくて、最後は1人泣きながらビラを配ってました。


通り過ぎる人、皆んなに笑われました。


でも、そんな事どうでもいいくらい感情がグチャグチャになってたんだろうなと今は思えます。


いつでも、東口まで行けば帰れる。

5分歩けば下界へ行ける。


けどそれでいいのか?逃げんのか?逃げないならお前何をするの?


と自問自答を繰り返し、閃いた(ひらめいた)必殺奥義。



開きなおる



です。


よくよく考えたら、金ないし俺ってそもそも別に売れてないから守るものないよねって結論になり、半分どうでもよくなっていたのでしょうが、歌舞伎町の景色にだけはなりたくないっていう思いだけは強かったのでそこをモチベーションに開き直って頑張るかってなりました。


ダラダラビラ配りをやるホストが多い中、元気に機敏に大人数に声をかけまくりました。

ブスな女に文句を言われても「お詫びはお店でちゃんとするよハニー」などと相当小っ恥ずかしいキャラになったり。


とにかく景色の一部にならないように考えまくり色々チャレンジしました。


実はそれが、ホストにとって超重要要素である事が分かったのは、もっと後の話です。




マンガのような「逆転劇」

スーパーエースを掴んだパシャ前




パシャというのは歌舞伎町で有名なラブホテルです。実は僕がホストを始めた時にはまだなかったので、パシャ前というのは後から呼ばれる地名になります。(当時はなんて呼ばれてたか不明)


景色になりたくない一心で、日頃色々考えていました。そしてビラ配りをする場所をパシャ前に変える事になります。


セントラルに比べると人通りはかなり少ないですが、実はこの道はホストクラブが沢山入る、歌舞伎町で超有名な三大雑居ビルのうち2つを繋ぐ道なのです。

そのビル名は


「タテハナビル」と「第六トーアビル」です。


歌舞伎町住人に100人聞いたら100人答えられるレベルの有名ホストビルです。


恐らくこのブログを見てくれてる人の中で、「あーはいはいw」って思った人かなり多いハズです。


僕は、このビルとビルの間の道こそ、他店ホストへ行こうとしてる女の子と接触できると考えました。


場所的には、セントラルから遠い、随分と奥の方になります。人は減るが、質は上がるだろうという狙いです。


狙いは成功しました。


ビラがひけるひける!


1時間で3組も初回を引けました。


これはきたぞ。よし、とにかく店に貢献した。

もう内勤にグチグチ言われたくない!


そんな矢先です。


店からの電話が鳴りました。


「ケイト!すぐ店に戻ってこい!場内入った!」

※場内指名(本指名ではないが、長い時間席にいられるお気に入りのしるし)


返答もせず電話を切り、携帯してたリステリンをグッと口に入れグチュグチュしながら、何度も路駐してる車の反射で髪型を確認し、店まで走りました。


トイレでうがいをして


「どこの卓ですか?!」


と、少し目がイカれてる、リステリンくさい奴の登場に内勤も一瞬引いてましたが、


「○卓の左の女の子だよ。ビラくれた人がいいって言ってたから、お前だよなあの子連れてきたの」


と聞かれて確認しました。


確かに自分が引いた初回でした。


2人組の女の子でしたが、場内が入ったのは、僕とちゃんと喋ってくれた女の子ではなく、終始ダルそうにしてた女の子の方でした。


あれれれー?そっちー??


勘違いかなー。

まぁよくあるよね。歌舞伎町って沢山ホストいるから、どっかの店のキャッチの奴と間違えたのかな。


でもそんなのどうでもいいや、とにかくチャンスだ、見逃し三振だけはしないようにしよう。



人間ってのは一瞬でこんなに色々考えられるだなって思いました。



とにかく行こう。


絶対に送りを取るんだ。


送りを取らないと何も始まらないぞ。



「失礼しますケイトです!ご一緒よろしいでしょうか?場内ありがとうございます!お隣失礼しまっっっっっす!!!!!」



と超ハイテンション&緊張&不安&期待で入卓。


すると


「シーン」




あれれれ???

俺卓間違えた?それともあの内勤のミステイク?

つか、一緒に着いたらお前(もう1人のホスト)も何とか言えよ。


の感情を隠しながらキョどっていると


「わー!やっと来てくれたー!」


と黄色い歓声。

もう1人の女の子も「マイちゃんずっと待ってたんだよ!」と。


4秒で酒を作るという妙技を身につけている僕は、即乾杯。


マイちゃんとお話させてもらう事に。


かなり前の話なので、何の会話をしたかまでは覚えていませんが、とにかく頑張りました。


何を話そうというよりかは

「この子は何の話をしたら喜ぶかな?」

「何の話をしたら他のホストと差をつけられるだろう」

って事ばかり考えながら話し続けました。


会話が盛り上がってくると、いつしか


とにかくマイちゃんを楽しませる。

自分のビラで来てくれたんだ。

マジありがとう!!



と感謝の気持ちが強くなっていく感覚がありました。めちゃくちゃ楽しい初回卓でした。


マイちゃん終電の時間の為、予定終了時間通りのチェック。


もちろん送りは僕。

連絡先交換を済ませてエレベーター前まで送ります。


このチャンスを逃すまい。普通じゃダメだ。

このまま普通に帰したら景色だ。


何かないか、何かないか。

思いつかない。どうするどうする。

エレチューか?初回枕か?

ダメだダメだ、それじゃあ景色だ。



エレベーターが閉まる、その前に



「あのさ!今日本当に来てくれてありがとう。

俺、全然売れてなくてへこんでたんだけど、マイちゃんのおかげで救われたわ!感謝してる。


次は俺指名で来てよ!俺は歌舞伎町で1番マイちゃんを幸せに」



ドーーーーン



ドア閉められた。。



はっっっっず


爆笑するもう1人の方の送り。

陰から見てて、笑いを堪えてる内勤。



冷静になる自分


何1人でドラマやってんだ俺。


え、テンション上がっちゃった結果コレ?


俺だけ楽しかったパターン?


なんなんだよこの終わり方!

脈ねーじゃん!!!!


思い上がったなマジで。



ビラの場所変えて、3組も初回が引けた。

そのうち1つで場内。


ここまではよかった。


接客に落ち度があったのか?

そういえば最後らへんあんまり喋ってくれなかったな、、


何か変な事言ったかな


指名してって言ったのがウザかったのかな、、



フルパワーで脳みそを使い、終始緊張感のある接客を続けたせいで、一気に疲労が出てきました。

妙に顔が熱い。これはなんだ



とりあえず、内勤に買い出し行ってきますとウソついて、その辺でタバコでも吸いに行こう。


ビルを出て、路地裏に座り込みタバコに火をつけて、ふーーっと深くタバコを吸って落ち着きつく。


マジで最後なんなんだったんだ。


あー嫌になるぜ。ホストってこんな難しいのか?


そこに一通のメール(当時はまだLINEがなかった)


差出人:マイ



マイ!!!!

マイちゃんだ!!!!


一気に震える手。


〜やっぱホストってすぐ営業かけてくるから嫌い。二度と連絡してこないで〜


的な事言われたら終わったな



メールを開封



マイ「今日はありがとう。終電で帰ってごめんね。

楽しかったよ。声かけてくれてありがとう。メールで言うのもアレなんだけど、、































ケイト君をナンバーワンにしてあげる





次回へ続く