家族の肖像

  女はかわいそうだね
  腹を痛め、出口を切り裂いて子を産み
  ひとときも目を離さず、育て続けなくてはならなくて
  べつに、なくてはならない、わけではないけれど


  男はかわいそうだね
  身体のどこかがボロボロに壊れるまで
  首に縄をつけられ、働き続けなくてはならなくて
  べつに、なくてはならない、わけではないけれど


  子供はかわいそうだね
  世界を取り込み、世界につながりを求め
  成長を続けなければならなくて
  なくてはならない、という自覚が芽生えるのは
  ずっとあとのことだけど


  まるでピラミッドのような形をした小宇宙
  それでも家族は幸せそう
  欠落した椅子の足をおぎなうみたいに
  たがいの肩にさりげなくアゴを乗せて支えあい