『洋燈と喫茶店』





曇り空が心地良いのは

きっと折れた心を

抱えているから




ずっと空見てる

ずっと夢見てる

見てるだけなら

痛みなんかないさ




叶わないことに

慣れたくないけど

叶えることでしか

救われない生き物




悲しいというより

虚しいというより

気持ちに応えたい気持ち

願いはきっと同じでしょう




喫茶店へ行こう

落ち溢れたこれからを

どうして良いか

分からなくて




人でいられて

人でいられない

何にもなれない

不器用さで




無邪気なままで

生きていけない

置いてけぼりの

こんな日は




喫茶店へ行こう

あの懐かしい

洋燈傘の下で





小降りになるまで

雨宿りしよう

コーヒーを飲もう

カップに手を当て

温もろう




店に着いたら

お気に入りの

あの奥席に

座ってみよう




僕の特別に

誰かが居たら




悲しいとは

思うけれど

同じ愛着で

座ってくれるといいな




だって

本当の特別は

誰も触れない

僕しか見えない




ほら

直ぐそこだ

角を曲がれば




模様ガラスで

閉じ込めた

あの懐かしい

眺めの中へ




思いが余りに

強過ぎて

光が余りに

眩し過ぎて




琥珀色の

夢ばかり見る

置いてけぼりの

空の下




洋燈が似合う

こんな日は







(2022.11.24)