星城6冠効果とこれから考えたいこと | 楽しく考える男子バレー

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男子バレーボールを中心に、思うこと考えることを楽しく書いていきたいです。

ネガティブな報道の多い男子バレーの世界で、久しぶりに明るい話題ということでしょうか?
かなり盛り上がりましたね。
それを見て、男子バレーに興味を持ってくれる人が増えたらいいなあと思います。
男子バレーでも注目されて人気が出る可能性というものが、子どもたちの競技意欲につながるといいのですが。(笑)

ただ、出てくる記事の内容は同じような話ばかりで、ちょっと物足りない気がします。


史上初連続三冠の星城。男子バレーに光もたらす東京五輪担う逸材たちの魅力とは。
大林素子


大林さんは星城と東亜学園を比べていますが、1983年の「ミラクル東亜」は高校バレーならではの小さくて動き回るチームで、実業団行ったのはセッターの中村さんだけだったのでは?
2007年、2008年のメンバーは、今、プレミアにもいますけれど。


他の人もつぶやいていましたが、この比較は強引すぎませんか?
富松さんのときの東北とか、八子さんのときの深谷とかならまだしも。


エースだけじゃないチームは過去にいくつもありました。

それらと星城がどう違うのか?
読んでもよくわからなかったのですが……


選手がビデオを見て考えて作戦を組み立てる話、これも特別なことじゃないでしょう。

程度の差はあれ、やっているチームはいくつもあると思いますよ。
大林さんの現役時代には考えられないことだったかも知れませんけれど。
選手の自主性を星城だけの特別なことと書くと、バレーが時代遅れのスポーツみたいに思われませんか?
そういう書き方をする人もいますが、たくさんの現場を見た上で書いているのか疑問に思います。


このチームから東京五輪選手が出ることを期待するのはいいのですが、「このチームで東京五輪」というとちょっと違うような……
川口くんが思うのはいいけれど、大林さんはちょっと……
他の高校にも、上の学年にも下にも、楽しみな選手がたくさんいるのですから。


最後に雄物川の鈴木くん、東亜学園の大竹くんの名前が出てきますが、大竹くんウイングスパイカーになるんですか?
中大ではWS余ってるからMBのような気がするのですが。


そんな感じで、大林さんの記事は気持ちが前面に出ている感じですね。
次の田中さんの記事は、より具体的です。


圧巻の星城と総力戦を制した九州文化学園 第66回 春高バレー総括
田中夕子


昨秋の東京国体で、東福岡を主体とする福岡選抜に勝利はしたものの、主導権を握っていたのは相手のほう。
サーブで崩され、攻撃が石川頼みになったことが、苦戦を招いた1つの要因だった。


東京国体を終えてからはサーブレシーブを中心とした守備練習に重きを置いた。


という話は、なるほどと思いました。
東京国体の試合を見ましたが、確かにそのときよりレシーブ力が向上していると思います。
一方で、福岡の攻撃にブロックがついていけなかったこと、その対策が考えられたのかどうかということには触れられていません。


「バックアタックに対しノーブロック」という選択について、見ていて疑問を持った人も多いと思います。
川口くんのコメントを入れてもらえて、スッキリしましたね。
このチームの中心は川口くんなのだと思います。
川口くんのレシーブ力を活かすためにも「ブロック<レシーブ」というチーム。


この記事でというわけではないのですが、圧倒的な高さの差がありながらブロックを重視しないというチーム作りについての解説もどこかで読みたいですね。


ただ、ちょっと残念なのは以下の部分。


相手の思惑を読み、さらにその1枚、2枚上を行く。対戦相手からすれば、為す術がなくなって当然と言っても過言ではない、まさに圧巻、と言うべき強さを最後まで発揮した。


確かに他のチームは星城に勝てなかったのですが、何もできなかったわけではないのです。
1セット先取して、第3セットも魅せてくれた開智のバレー。
直接対決では十分力を発揮できなかったけれど、東福岡も鹿児島商も、通用した攻撃がたくさんありました。
結果的に、星城のサーブと石川くん高い打点と川口くんのディグに負けたとしても。
個人的には各チームの「打倒星城」に向けた取り組みの方に興味がありました。(笑)


そしてまた、最後の一文……


「日の丸をつけて、またこのメンバーで戦いたいです」
最強星城を知る者なら、きっと誰もがその日を心待ちにしている。


この流れだと、そうなりますかねえ。(笑)
それより男子バレー全体の、これからが気になるのですけれど……
私は高校で星城に勝てなかった選手たちの、これからの活躍にも期待していますよ。


中根の言葉を借りるならば、おそらくもう、これほどに成熟した高校生のチームが現れることはないだろう。


とありますが、その背景までは語られていません。
星城スタメンのほとんどがJOCで3位になった愛知チームのスタメンで、武智くんだけJOC愛媛チームで活躍した選手だということは、みんな知っているという前提なのでしょうか?
石川くんと中根くん、神谷くんと山崎くんは、それぞれ中学も一緒なんですね。


星城から学ぶことは何でしょう?
JOCで好成績をあげたチームを丸々引き継ぐこと?
高いレベルの選手を集めて、自主性を持たせること?


もちろんそれは星城に始まったことではなく、これまでも多くのチームが試みたことですけれど、これほど効果があった例はいままでになかったということですね。
そもそも中学のレベルが高い県は非常に限られていますし、JOCスタメンや有望選手を1つのチームに集めることに抵抗があったりします。


せっかく集めても、チームのコンディションが整わず結果を出せないこともあります。
今大会も、主力選手が故障を抱えていたチームが少なくないようです。
そう考えると、星城のすごいところは大会に合わせたコンディショニングにあるのかも知れません。


男女とも中高一貫のバレー強豪校がいくつかありますが、そういった方向が強化としては有効なのでしょうか?
優秀な選手、有望な選手を、早いうちから集めて強化するという考え方がありますが、その利点と欠点は?


高校上位校にはJOCで活躍した選手が多いのですが、大学になるとかなり減りますし、Vリーグとなると……
当然と言えば当然なのでしょうけれど、考えた方がいい問題もあると思います。


高校バレーの現状を考えるとき、大きなウエイトを占めているのは中学バレーのレベルの問題だと考える人は多いと思いますが、それがあまり話題にならないのはなぜでしょう?
星城6冠というこの機会に、中学バレーの強化について活発な議論がされるといいのですが。


中学の全国大会やJOCにも、もっと注目してもらいたいですね。
華やかな春高バレーの陰で、部員不足や顧問の移動で廃部の危機にある中学男子バレー部は多いのですから。
すでに男子バレー部ないところは、さらに多いですし。


だんだん話がそれてきましたが(笑)この機会に、多くの方に考えてもらいたい問題がたくさんあるのだと思います。