I様 CB1100F 修理あれこれ(文章多し!!) | moto-JOY Blog
昨年末の作業なんですが・・・・

近所にお住まいのI様からCB1100Fの修理のご相談。

エンジンの始動性が悪い・・・

エンジンかかってもアイドリング不安定でおまけに加速不良・・・

早い話が不調ですね・・・

早速お預かりして原因探求。



セルの回りが悪いですが何とか始動はできますね。

無負荷なら回転は上がるみたいです。

アイドリング不良はキャブの調整で解決できそうな感じ。

百聞は一見にしかず。という事で乗ってみましょう。

試乗の感想は、スローが濃いめで同調が狂っている感じ。

回転の上がりもスムーズではなくいきなり吹け上がります。

さて帰ろうかと思ったところでエンジンストール・・・

いきなり点火カットされた感じで停止。

再始動を試みましたがアフターファイヤー多く始動不可。

感じとしては点火時期がとんでもなく狂っているような症状です・・・

仕方なく愛澤君にレッカー依頼。

さて、停止した時の症状からしておそらく点火系に何かありそう。

プラグで火花をチェックすると一応火は飛んでいます。

ピックアップ、イグナイターはおそらく生きていますね。

点火時期不良ならここからですね~☆

クランクケースカバーの左側にピックアップコイルとガバナーがあります。

パッと見たところ異常はなさそう。

そういえば、I様いわく「スタータークラッチを直してもらった」とのこと。

スタータークラッチはこの奥にありますから修理したなら

ピックアップコイルとガバナーは一度外しているはず・・・

もしかして組み間違いかな?と思い取り外してみたら・・・

ガバナーがあり得ない事に・・・

ガバナーは遠心力を利用してウェイトを動かし

その動きを使ってローターを回転させ点火を進角させています。

あり得ないことなのですが・・・

ウェイトとローターを繋いでいる爪が折れています・・・

写真右にある小さい破片が折れた爪

真ん中がガバナー本体。

左が取り外したローター。

構造上この爪が折れるという事は進角する方向に大きな力がかかった事になります。

爪が折れるほどの遠心力が発生する事は考えづらいです。

では、誰かがローターをプライヤーかなんかで無理矢理進角方向に回したのでしょうか??

初めての事でしたので頭を悩ませてしまいました・・・

が、

すぐに原因は見つかりました・・・

言葉で説明するのは難しいかもですが・・・

ピックアップのベースプレートとピックアップローターが接触していた跡がありました・・・。

この事から推測できることは・・・

ピックアップコイルを取り付けるときにちゃんと芯が出ていないのに

ボルトで固定したか、取り付け時は良かったが点火時期を調整したときに

ベースプレートがずれたのを気がつかずに固定したか・・・

もともとプレートとピックアップローターのクリアランスに余裕がないので

少しずれただけでも接触します。

接触したままクランクが回転すると・・・

ローターはプレートにこすれながら回りますので

進角方向に回転してしまいます・・・

進角しきっていますので始動不良になりますね・・・

低回転の不具合も起きます・・・

ある程度回転があがれば吹ける訳です。

接触したまま走行すれば・・・

進角方向にずっと力がかかり・・・

回転が上がれば上がるほど力は大きくなり・・・

爪が折れる・・・

確かに私が停止した時は直線で上り坂5000rpmほど回転を上げていた時です・・・

とどめを刺したのは私のようですね・・・

一番の原因は以前にスタータークラッチを修理した方の組み付け不良ですが・・・

たまたまCB1100Fのガバナーの中古がありましたので(本当にラッキー!)

お客様にご説明をして納得いただき交換、調整させていただきました☆

無論、純正新品は販売中止です。

キャブも同調を取り直し、スロー調整。

社外マフラーに合わせて少し濃いめにセット☆

さっきまでが嘘だったかのように快調になりました♪♪

でも、相変わらずセルの回転は重いです・・・

バッテリーが中国製だから変えてもいいよ☆と言われていたので

念のため電圧を計ってみると12.5Vあります。

ん?

セルモーターに直接バッテリーを繋いでみても回転が重いです・・・

セルモーター本体がお疲れのようです・・・



早速取り外して分解!

ブラシのカスがたっぷりです・・

洗浄して各部点検です!!

これがブラシとブラシホルダー。

摩耗限度には達していないので洗浄して再使用。

コミュンテーターの溝を清掃。

ここポイントです☆

各部グリスアップして組み立て、セルモーター単体で回転をチェック☆

元気に回るようになりました!!

車体に取り付けチェック!!

OK!!

試乗して十分にエンジンを暖めて再始動!!

OK!!

十分に暖めてからチェックするのはなぜ?

ピストンクリアランスが適正になって冷感時よりも圧縮が上がるからです。

弱ったセルモーターだと圧縮が上がると回らなくなる事があるからです☆

快調になりました~☆

普通にエンジンがかかり普通に走れて開ければ速いです!!


振り返ってみるといろいろな事が見えてきます。

おそらく以前他店でエンジンがかかりづらいという修理依頼で修理をしてもらったのではないでしょうか??

スタータークラッチが滑っていたかは今では解りませんが

まずスタータークラッチを修理したのでしょう・・・

そこでピックアップを組み付け不良・・・

修理に出したはずが余計に悪くなって返ってきたって事ですね・・・

でも始動不良の一番の原因はセルモーターだった・・・

お粗末な話ですが、自分もこういう事がないように故障探求は今までの経験を

フル活用していくつも仮説を立てその仮説を一つずつ潰していき

故障原因を確定できるように精進します☆

他人の振り見て我が振り直せですね!


他店で直せなかった車両、断られた車両の修理、諦める前にご相談ください!

お力になれるかもしれません☆


P.S.

最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

そしてお疲れさまでした!




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