Sun, August 04, 2013

Ohio Penitentiary 511 Ensemble "hard Luck Soul"

テーマ:ジャズ
$灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし
Ohio Penitentiary 511 Ensemble "hard Luck Soul"

アレイスター・クロウリーなみに常人の何倍ものドラッグを喰らいこみ、酩酊状態で意識を失いながらも何とか録音を終えたというチャーリー・パーカーの伝説のラバーマン・セッションを思い出せば何となく想像はつくのだが、ジャズと刑務所は親和性が高い。

適当に思い出すだけでも、ヤク欲しさに強盗を働くようなやばいひとながら、末期がんに侵されてから、なおその演奏の輝きを増すというちょっと普通ではない天才のスタン・ゲッツや、30代から50代までの約30年間を麻薬のために刑務所と病院で過ごしながらも60前になって唐突に復活し、ビバップ・モンスターとして数多の録音を残したフランク・モーガン、かのマイルスやエバンスだって相当にはまっていたとかいうし、例のアート・ペッパーも麻薬で長いブランクがあいてるわで、とにもかくにもジャズメンというのは麻薬が大好きなのである。

となると、刑務所のなかにバンドを組めるくらいジャズメンがいてもおかしくないのだが、そんな刑務所ジャズの最高傑作として長いこと語り継がれてきた作品が、このオハイオ州立刑務所のジャズバンド、Ohio Penitentiary 511 Ensembleなのだ。

ノースカロライナにて"The Outer Limits"なるどこかで聞いたような名前のバンドを率いていたレイナード・バーサが、親友のソニー・ロリンズの甥っ子と仲良くムショ入りするところからこの話ははじまる。ちなみに彼らがなぜ刑務所に入ることになったかは明らかになっていないし、刑務所バンドを続ける上でいろいろな苦難があったというのだが、それも詳しくは書かれていない。

内容はファンク、スピリチュアル、ジャズ・ロックを呑み込んだ、一聴、驚愕のジャズ。たまたま刑務所を訪問していたオハイオ州立大学ののバンドが彼らのあまりの熱気と力量に驚き、録音の手はずを整えたというくらいだから、中身のすごさも想像がつく。

ギターとパーカッション、ピアノが延々と繰り返す快感のリフに乗せ、ローガン・ロリンズとバーサのソロがバシバシと決まりまくる一曲目で完全にヤラれると、捨て曲なしの30分をあっという間に過ごすことになる。

不思議とローカルで活動しているバンドには共通する雰囲気があり、そのよい意味での泥臭さや熱気、思い切った編曲、構成などになぜだかやたらと魅力を感じてしまう。念頭に置いているのは、The Frank Derrick Total ExperienceやHorace Tapscott with the Pan-Afrikan Peoples Arkestraなんだが、わかるひとなら頷いてくれるに違いない。

この刑務所バンドの録音は残念ながらこれのみで、全曲のアレンジを担当したロリンズもつまらないトラブルでギャングに射殺され、もはやこの世にはいない。なんとも伝説には事欠かない一枚である。

しかしさまざまなエピソードを抜きにして、刑務所のなかで溜め込んだ鬱憤をはらさんというのか、これは本当に素晴らしくグルーヴ感に満ちた演奏である。聴いたら間違いなく元気になり、ひとにお勧めしたくなる。ジャケ裏のメンバーたちのいかにも囚人然とした悪い顔も必見である。

★★★★☆





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