転移したガンには治療法なし:近藤誠『再発・転移の話をしよう』 | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし
Sat, January 08, 2011

転移したガンには治療法なし:近藤誠『再発・転移の話をしよう』

テーマ:実用・その他
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近藤誠『再発・転移の話をしよう』(三省堂)

患者よ、がんと闘うな (文春文庫)』にて、がん患者に対し多大なる影響を与えた作者が、自身の見解を女性患者たちとの対話で易しく語ってゆく一冊。

かつては治療に対して医者が巨大な権力を行使していた。よくも悪くも唯々諾々と医師にしたがっていたわけである。しかし現在は患者がより主体的にがんと向きあうことが可能になっている。40年ほど前、イヴァン・イリイチは、医者による「専門家支配」が患者という被支配者の能力剥奪、主体性喪失を促し、かえって十全な生を損ねていると喝破した。近藤誠はそういった「社会的医原病」「文化的医原病」蔓延る資本制社会のなかに、四半世紀遅ればせながら巨大な一石を投じたといえるだろう。

治療法の具体的な内容については個々人の判断に任されるだろうが、がんについて自らも能動的に立ち向かおうとするならば「専門家支配」からの脱却は必須である。本書はイラストを多用し、対談の形式をとっているため極めて馴染みやすいものとなっている。がんについて何かしらの関心があるならば、まず本書を手に取ってはいかがだろうか。

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目次
第1部 乳がんの再発・転移

1 がんの一生
『早期発見おめでとうの1センチ』で10億個のがん細胞
がんの誕生
がんの一生から見ると、気づいた時はもう熟年!
大きくなるとがんも成長スピードが落ちる?
あわてなくてもいい

2 あなたは本当にがんだったのか
がんの定義って、そんなにあいまいなの?
本物のがん、偽物のがん、そして『がんもどき』
集団検診は『がんもどき』をたくさん治療してしまう?

3 転移のメカニズム
転移するがん、しないがん、誰にもそれはわからない
転移って、あとから起きるんじゃないの?
転移は原発がんが見つかるずっと前から『ある』
ほっといても転移しないものは転移しないんだ
再発と転移のちがい
『いきなり大きくなるがん』は転移しやすい?
さすらいのがん細胞
基底膜を溶かす能力がないと転移できない
鍵と鍵穴が合わないと転移できない
原発なき転移
転移能力は遺伝子が決めている?
遺伝子を調べれば治療に応用できるか?

4 抗がん剤のメカニズム
微小な転移をたたけるのは抗がん剤だけ
副作用強いほど効いているって本当?
副作用は警告アラームだから、消すとかえって危険
がんも身の内。体が先にまいっては元も子もない
転移には抗がん剤は効かない?
抗がん剤は注射・点滴で一気に。だらだら使ってはだめ
がんという暴走列車を脱線させられるか?
なぜ日本でだけ『飲む抗がん剤』が全盛か?
分子標的薬について

5 放射線のメカニズム
放射線の追加照射は重大な危険を招く
放射線のおまけなんていらないわ
放射線治療したあとで妊娠しても大丈夫?
こちら立てればあちらが立たず
放射線をかけたのに、なぜ乳房に再発するの?
放射線は同じところに2度はかけられない

6 手術のメカニズム
手術をしたのに、なぜ乳房に再発するの?
リンパ節を取らなかったけど大丈夫?
リンパ節は防波堤か、がんの発進基地か?
リンパ節転移があっても必ず転移するわけじゃない
早く手術しないとがんが飛ぶ?
手術の時に転移する危険があるなんて
治療方法がよく変わるのはなぜ?
家族の無念、医者の無念

7 治療後はふつうに生活
ホルモンに関するがんはセックスすると転移する?
抗がん剤治療をしたけど妊娠しても大丈夫?
閉経したけど、がんの成長を抑えるのには有利?
タモキシフェンはいつまで飲んだらいいの?
バランスよく食べて太らないこと
再発・転移の予防はできないの?
免疫力を高めるとがんも元気にしてしまう?
めざす作用は不明、はっきりしているのは副作用
同じものばかり食べると危険?
民間療法も『作用』があるなら『副作用』があるはず

8 検査はどうするか
検査のストレス
転移は自覚症状が出てから対処すればいい
無理して早く見つけてもゴールは同じ
単発の転移なら治療できる
肺転移は症状が出にくい
転移か新しいがんかの区別は難しい
転移しやすい臓器・しにくい臓器
転移の徴候となる痛みってどんな痛み?
『検査の宿命』
『腫瘍のマーカーになってくれたらいいな』という程度
レントゲン検査で放射線を浴びても大丈夫?
検査はしてほしい、だけど検査のデメリットが心配
『何でもない』で済まさないで
診察の間隔はどうしたらいいのか?

9 もし再発・転移したら
乳房に再発・転移したら
肺に転移したら(肺転移)
胸水がたまったら(胸膜転移)
肝臓に転移したら(肝転移)
骨に転移したら(骨転移)
脳に転移したら(脳転移)
腹水がたまったら
痛みはがんの進行度合とは別。がまんしたら損
モルヒネはふつうの鎮痛剤より安全。副作用は便秘
モルヒネはこわい? 中毒になる? 命を縮める?
モルヒネは痛みが取れるまで増量してかまわない
何も効かない苦痛は意識を下げる

10 長生きして楽に死のう
転移とわかったら体力維持を考える
症状が出ても入院しないほうが楽
転移してもすぐ死ぬわけじゃない
余命なんてあてにならない
『まだ何か治療したい』とあきらめきれない時は
患者が民間療法をするのは自由、医者が勧めたら詐欺
亡くなる1週間前まで歩いて外来に来られる
昔はみんな家で亡くなったんだから
『花の下にて吾れ死なん』自宅で迎える静かな死

11 がんで死ぬのは自然、治療で死ぬのは不条理
一か八かの大手術に賭けるのは危険すぎる
効かない抗がん剤治療を続けると命を縮める
大病院では末期に抗がん剤の実験台にされる?
薬の名を聞いて『新薬』なら断ろう
よぶんな点滴で、ベッドの上で溺死する危険もある
末期の『儀式』は拒否すると伝えておこう

12 たかががん、されどがん
がんは老化の一種。細胞は昔、一度転移した?
がんは遺伝子に仕掛けられた時限爆弾
気力には副作用がない!

第2部 他のがんの再発・転移

1 再発・転移の対処法
用語の整理
再治療法の候補
①手術  ②放射線治療 ③抗がん剤治療 ④免疫療法

2 がんの初発部位別、再発・転移のポイント
急性白血病 慢性白血病 悪性リンパ腫
脳腫瘍   頭頸部がん 上咽頭がん  中咽頭がん
舌がん   喉頭がん  下咽頭がん  甲状腺がん
肺がん   食道がん  胃がん    大腸がん
肝臓がん  胆道がん  膵臓がん   腎臓がん
膀胱がん  前立腺がん 子宮頸がん  子宮体がん
卵巣がん  睾丸腫瘍

あとがき
索引
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★★★★☆

$灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし
イヴァン・イリイチ(イリッチ)
脱病院化社会―医療の限界 (晶文社クラシックス)
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