こんにちは!
江口先生より昨日の哲学カフェの報告が届きました爆笑
先生の報告書を通してどのような着眼点でご覧になっていらしたのかが分かりますね。
それでは いってみましょ~。



-----8/21 親子哲学カフェ 報告(前篇)-----
 
夏休み企画「親子哲学カフェ」!
今回も、大賑わいでしたね。
乳児を抱いてのファシリテートも、我ながら馴れてきました。
 
今回の素材は『桃太郎』。
まずは絵本の読み聞かせからスタート(大音さん、上手でした)。
読み終わったあと、軽い気持ちで「どうだった? 何か思ったことや疑問に思ったことある?」と訊いてみると、「ハイ!ハイ!ハイ!」・・・
え?そんなに?(-_-;)・・・
脳の準備運動のつもりで軽く質問してみただけなのですが、子どもたちの脳は、すでにエンジンがかかっていたようです。
子どもたちから挙がった疑問は、以下のとおり。
 
■どうして舟を持っていたのか? どこにあったのか? 作ったのか?
■なんで桃から子どもが生まれるのか?
■どうして桃はデカいのか?
■丸かじりして病気にならないのか?
■なんで赤ちゃんなのに中から桃を割れたのか? そんなに馬鹿力だったのか?
■なんでおばあさんは(おばあさんなのに)重い桃を抱えられたのか?
■そもそも、どうして「桃」なのか?
■桃は水に浮くのか?
 →(大)浮くよ。少なくともスイカは浮くよ。
 →(子)中に赤ちゃんが入ってるのに?
 →(大)赤ちゃんは水に浮くよ。
 →(子)そうなの!? へえ!
■どうやって桃の中で養分を手に入れたのか? お母さんとへその緒でつながってないのに。
 →(絵本を確認したところ、へその緒があった・・・)
 →(一同)へその緒、あるじゃん!
 →(子)へその緒を自力で切ったの!?
■どうして「犬」と「猿」と「キジ」なのか。どうして3匹だけ? なんでカラスを仲間にしなかったのか?
 →(大)ただの伝達屋?
 →(大)そういえば、“化け”系がいないね。キツネとかタヌキとか・・・
 →(大)キジって、役に立つのか? キジの仕事ってなんだろう?
 →(子)タカのほうがいいと思う。
 →(大)なるほど、偵察部隊か。
■どうして桃太郎には動物の言葉が解かったのか?
■どうしておばあさんは、そんなすごい(日本一の)きびだんごを作れたのか。凄すぎないか。
■たかが「きびだんご」一つで、どうしてお供になろうと思ったのか?
■桃太郎の世界では、きびだんごはいっぱいあるのに、どうして3匹だけなのか?
 →(子)むしろ人間に与えたほうがよかったと思う。兵士にきびだんごをあげて、殿様の軍勢を使えば、もっと簡単に鬼を征伐できた。
 →(大)きびだんごは、動物用だったんじゃない?
 →(子)それなら、なぜ桃太郎は食ったの!??
■きびだんごなんて、あんまり栄養ないじゃん。きびだんごだけで、何日も旅ができるのか?
 →(大)そもそも、きびだんごって、おいしいのか?
■ご飯を一杯、二杯、三杯・・・って、桃太郎にそんなにたくさんご飯を与えられるということは、このおじいさんとおばあさんは裕福だったのか?
■桃太郎に学問を授けられたということは、このおじいさんとおばあさんは金持ちだったのか? なのに、どうして川で洗濯してたの!?
■お姫様はお金にならないのに、どうして鬼は姫を盗んだのか?
 →(大)嫁がほしかったんじゃない?
 →(子)そうか! でも、桃太郎に奪い返されて、そのあと桃太郎と結婚したなら、姫に夫を選ぶ権利はなかったの!?
 →(大)・・・どういう時代背景なんだろうね。
 →(子)昔は、男のほうが寿命が長かったんだよ! 特に女性は出産時の死亡率が高 かったから。
 →(大)へー。
 
冒頭のわずか十数分で、これだけの疑問・意見が噴出しましたΣ(゚ロ゚;)
この中にある疑問だけでも、十分に哲学対話のきっかけになりそうな問いがいくつもありますが
この中から、今回は、
「どうしてお供は、犬と猿とキジなのか」
という問いに着目して、
 
鬼退治に行く際に、どんな生物でも3匹(3頭)だけお供に連れてゆけるとしたら、何を連れてゆく?
 
というテーマで、対話を開始。
「さあ!みんなでホワイトボードに書こう!」と掛け声をかけるやいなや、一斉にホワイトボードに駆け寄る子どもたち。
事前に大音さんから、「子どもはホワイトボードに書くのは好きですよ!」と伺っていたとおり。
(๑•̀ㅂ•́)و☆
 
【子ども】
・さる、ふくろう、オオカミ
・ふくろう、さる、ねこ
・はやぶさ、おおかみ、チンパンジー
・いぬ、ねこ、うさぎ、ちいたあ、うし、とり、はち
・インコ、犬、くま
・犬(ハスキー)、ふくろう(みみずく)、ホワイトタイガー
 
【大人】
・ふくろう、いぬ、すずめばち(多め)
・ぞう、チーター、ふくろう
・へび、トラ、わし
・チーター、ゴリラ、ゾウ
・くま、うさぎ、うま
・ねこ、はしびろこう、伝書(電書)バト
 
それぞれ理由を言ってもらいました。
それらを分類すると、どうやら
 
「逃げる」
「攻める」
「偵察」
「癒し」
 
の4つに分類されることが分かりました。
例えば、「うま」は「逃げる」ときのため。
「ゴリラ」や「ゾウ」、「くま」は、「攻める」ときのため。
「ふくろう」や「はやぶさ」、「へび」は、「偵察」用(注:へびは、大蛇ではなく、細くて機敏なやつ)。
そして、「ねこ」や「うさぎ」は、「癒し」のため。
(戦いは疲れますからね・・・癒しは大事です。)
ついでに鬼のことも癒しちゃおう、ということで、「和睦(わぼく)」というカテゴリーもありました。
ちなみに「伝書バト」は、「通信」用だそうです。
しかし、誰と通信するのか。戦況を伝える相手は、おじいさんとおばあさんしかいません・・・。
なお、「ハシビロコウ」は、子どもであろうと大人であろうと、どんなものでも、その動きを止めてしまう不思議な力があるそうです。鬼の動きも止めるそうです。
w(゚o゚)w
 
お供が決まったところで、次に、
 
一つだけ旅に持っていっていいとしたら、何を持っていくか?
 
と質問。
すると、次のような答えが返ってきました。
 
・米のもち
・すっぱいトマト
・食料
・広い心(やさしさ)
・水
・おかし(ジャガリコ100こ)
・きびだんご
・個室
・ナイフ
・えさ
・刃物
・酒(+ウコン)
 
「広い心」と「個室」は、いずれも大人の回答でした。
「広い心」には、仲間がミスをしても許せるような、そして場合によっては敵のことも許せるような、そんな寛容な心を持ってほしい、という子どもへの願いが込められているようです。
「個室」は、仲間が戦って疲れたときに、一人で休息できる部屋があったほうがいい、という意見でした(ここには、もしかしたらママの気持ちが反映されているのかも? ママだって一人でホッと一息つく時間がほしいのです!)
ちなみに、子どもから「ドラえもん」という回答も出ましたが、今回は、それはなしね、ということで、我慢してもらいました。
現実に存在するものに限定しようぜ(๑•̀ㅂ•́)و☆
 
さて、それらを大まかに分類すると、まず目に付くのが、食べ物」系(口に入れるもの)。
やはり食べ物は大事です。
「水」とか、「もち」とか、「すっぱいトマト」とか、「おかし(ジャガリコ100こ)」とか・・・
 
次に、「武器」系
「ナイフ」、「刃物」など。
鬼退治ですからね・・・
 
そして、もう一つは「環境設定」系(・・・なんと呼べばよいのか分からなかったので、とりあえず、そう呼んでおきました)。
「広い心(やさしさ)」、「個室」、「酒」(+ウコン)などは、これに含まれるように思えます。
つまり、仲間が戦いやすいように、そして、あわよくば敵のことも懐柔して、仲良くなれるように、状況を整えてやるためのアイテム。
物事がうまくゆくように、管理・運営するためのツール。
これを少し難しい言葉で「マネジメント」と言うんだよ、と子どもたちに教えると、せっせとノートにメモしている子がいました。
一つ言葉を覚えて帰りましたね(はたして、いつ使うのか!?)。
 
前半は、ここまで。
続きは、また後ほど~。
 
ところで、今回も、乳児が参加。
お母さま方が、絶えず乳児のことを気にかけてくださって、かわりばんこに赤ちゃんをあやしてくれるのを見て、「母は頼もしい」と思いました。
なにより驚いたのは、乳児がぐずり出すと、小学生の子供たちが駆け寄ってきて、せっせと、かまってくれたこと。
すると、赤ちゃんもニコニコ。自分より大きいお兄ちゃんお姉ちゃんに興味津々。
子ども同士で、すごいな、と思いました。
母たちにとってはアタリマエの光景が、世間では、いかにアタリマエではないことか。
ママ哲に参加して、気づくことの一つです。
 
[後半へ続く]
 
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