4/14鑑賞

 

本作の料理は土井善晴さんが担当されているとのことで、ず~っと気になってて、やっと観られた!

 

私は、おいしそうな食事が出てくる作品は、料理番組・ドラマ・映画・漫画・アニメ・小説・レシピ本、絵、どれも大好き!!!

 

前置きが長くなっちゃうんだけど、そのことについて語りたい。

 

料理番組で言うと「きょうの料理」「きょうの料理ビギナーズ」「キューピー3分クッキング」「くいしん坊!万才」「料理の鉄人」「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」「男子ごはん」などなど、色んな番組を見てきた。

 

もちろん土井さんの「おかずのクッキング」も大好きだった!!

 

子供の頃に見ていた「料理の鉄人」の道場六三郎さん、陳建一さん、 坂井宏行さんをはじめとしたプロの料理人達の、美しく華やかな食材・手捌き・料理・盛り付け・お皿に、とても興奮し憧れた。

 

同時に、小林カツ代さん&ケンタロウさん、土井勝さん&善晴さん、栗原はるみさん&心平さんのような、親子で受け継がれつつ、子が自分流のアレンジを加えたり新たな挑戦をしているような、温かくて馴染みのある料理も、とても食欲をそそられた。

 

いろんなタイプの料理研究家さんがいらっしゃって、皆さんから色んな知識やおいしさを教えて頂いている。

 

その中のひとりである土井善晴さんの、肩肘をはらない、シンプルで、栄養満点で、季節感があって、過不足のない、素晴らしい料理を、心から尊敬していてる。あの独特な喋り方も好き飛び出すハート

 

映画の感想どこー?って感じなので、そろそろ本題に移るw

 

・・・・・・・・・・・・

 

ストーリーは、長野の自然の中でひとり暮らしをしている作家のツトムさんが、四季折々の自然の恵みを育てたり収穫したり料理したり保存食を作ったりしながら、時には人と関わり、時には生き死にと向き合い、日々を生きていくというもの。

 

ツトムさんは、口減らしのために9歳のとき禅寺に奉公に出され、色々な教えや精進料理を学んでいた。

 

そんなツトムさんの言葉にはハッとさせられることが多く、人が生きるって本来はこういうことだよなぁとしみじみ思った。なんというか、全てが繋がっているんだなと感じた。

 

私たちは、土から生まれたものを食べて生き、いずれ死が訪れて土に還っていく。

 

食べることは生きること。生きることはいつか死ぬこと。

 

昨日を生ききって、今日を生きて、翌朝目が覚めたら、明日も生きる。今日を生きるために、体を動かし、食べて、寝る。

 

そのサイクルは、本来すごくシンプルなことなんだよなぁ。

 

そんな生活に出てきた料理も、素材を大切にしつつ丁寧に手を加えた、シンプルでおいしそうな物ばかり。

 

特に竈で焚いて、おひつに移した白ご飯!!それに勝るご馳走ってそうそうないんじゃないかなぁ?なんて思った。

 

そんな料理の数々に土井さんらしさを感じつつ、無骨で大きな手のツトムさんがせっせこしらえている姿が、なんだかすごく良かった。

 

ツトムさんとマチコさんの恋愛模様や、人を弔うことに対しての葛藤は、大人過ぎて今の私にはちょっと難しかったけど、ツトムさんの「おいしいものは好きな人と食べるのが一番!」と言う言葉は染みた。

 

・・・・・・・・・・・・

 

それにしても!二十四節季に添えられた説明がなんだかとっても良くて、四季折々のご飯がとってもおいしそうで、ツトムさんの言葉がとっても良かった!

 

なのに雰囲気でしか記憶に残っていないからw、他人様の記録を参考にさせて頂き、二十四節季(月跨ぎも有)・月・印象に残ったご飯と言葉を残す。

 

立春ー豊年のはじまり2月:

・囲炉裏で焼いた小芋「香りが良い。土の香りだ」

・昨年漬けた白菜

 

啓蟄ー生き物が目覚める2月:

・竈で焚いた白ご飯(飼っている犬のごはんにもなる)

・ほうれん草のおひたし「根っこを洗うのは大変だけど、ここが一番うまいところ」

・むかし善寺で「献立は畑と相談して作る」「食材を自分の手で扱うことが大切だ」と教えられた

 

清明ー万物が春を謳歌する4月:

・刻んだ水芹を混ぜたご飯

・タラの芽を紙にくるんで焚火で蒸し焼きにして、味噌をつけたもの「貧乏人の知恵だ。こんなうめえもの食っていたんだ」

・「生きるとは身体を使うことで、身体を使えば飯も美味い」

・白ご飯、沢庵、とっておきの山椒味噌

 

 小満ー生命が満ち満ちる5月:

・掘りたてのタケノコ煮、山椒乗せ

・「人間は臭いや味見でとんでもない暦の引き出しを開けた。口に入れるものが土から出た以上、心深く暦を経て土地の味が味覚に絡みついている」

 

芒種ー雨露の恵みを受ける6月:

・近所の人から頂いた梅で梅干し作り!かつて和尚さん教わった直伝の方法で、丁寧に仕込む

 

小暑ー梅雨が開け太陽が照る7月:

・赤紫に透き通った梅ジュース

・数十年前、和尚さんとその妻が一緒に漬けた梅「最初は酸っぱかったが、自分の唾で丸く膨らみ甘露のようになった。人が死んでも生き続ける梅干」そしてツトムの涙。

 

立秋ーひぐらしが鳴く8月:

・ツヤツヤのなす、きゅうりのお漬物

 

処暑ー穀物が実る8月下旬:

・精進落とし:胡麻豆腐、夕顔の煮物、なすの味噌和え、茗荷混ぜご飯のおにぎり

 

秋分ー業楽浄土の岸に至る9月:

・家主不在の中、定期的に恋人が糠を混ぜておいた糠漬け

・「死ぬのは嫌だ。どうして嫌なのかを書くことした。」

・「死神と仲良く付き合う」

 

寒露ー大気は冷え、空が澄む10月:

・「禅寺では『全ての執着を捨てろ』と言うから、一度死んでみることにした」

・翌朝目覚め、「死んだはずの僕に朝がくる。明日も明後日も生きたいと思うから生きることが面倒になる。今日一日暮らせばいい」

 

霜降ー秋が深まり霜が降る10月下旬:

・採取したなめこで「今夜はなめこ鍋。おいしいものは好きな人と食べるのが一番」

 

立冬ー木枯らしが吹く11月:

・木枯らしを聞きながら「みなさんさようなら」と床につく

 

冬至ー栄養をとり、無事息災を願う12月下旬:

・大きな白菜を漬け込む

・雪の畑から掘り出した大根も漬け込む

・白ご飯、梅干し、ふろふき大根、大根葉の炒め物

 

・・・・・・・・・・・・

 

こうして書き出してみると、本当に素敵だわ。

 

私は沢田研二さんの全盛期も持ち歌も全く知らないから、あくまで本作のツトムさんを演じた方としてしか見ていなかったんだけど、きっとこの役を沢田研二さんが演じたこと自体にも意味があったんだろうな~と、レビューサイトを読んでいて思った。

 

公式サイトに載っていたこの言葉がとても良い!

喰らうは生きる

食べるは愛する

いっしょのご飯がいちばんうまい

 

なんだか心が満たされる映画だった。