10/4読了

 

詳細:

学校の怪談『顔の染み女』を調べていると、別の『開かずの扉の胡蝶さん』の噂が柴山の耳に入る。その部屋で、トルソーを死体に見立てた殺人(?)事件が発生。クラスメイトと柴山が、二重の密室の謎に迫る!

 

感想:

シリーズ最終巻だったのか?まだ続きそうな予感はあるけれど、とりあえず完結したのだと思われる。

 

1作目を読んだ時は少し面白いもののあまりにイライラしてしんどかったけど、最後の3作目はとても心が温かくなり、胸に染みた。

 

改めて、友達っていいなぁ。若いっていいなぁ。

 

私には中学1年生からずっと仲良くしている親友がいる。

 

中高一貫校で、6年間の内、中2と中3以外は同じクラスという奇跡で、クラスが違っても行き帰りは一緒だったし、高校を卒業してからも定期的に会っていて、お互いにお互いの今までをずっと知っている。

 

私は30歳ぐらいまで自分のことを話すのが恥ずかしくて苦手で、辛い事とか悲しい事とか腹が立つ事とか自分の闇を人に話すと涙が出てきちゃってうまく話せないし、恋愛話も含め、家族にも友達にもあんまりそういう話はしないで来た。

 

(だからブログという場所に色々ぶちまけてきたという面も結構ある。)

 

親友もなんだか性質が似てて多分あっちもそんな感じだから、お互い、限界破裂寸前まで耐えてたら漏れ出て、結果たどたどしく話し始めてぽろっと涙を流すみたいな感じでw

 

20代後半に色々あって、今までもっと誰かに話したり相談してくれば良かったとか、自分が死んでしまいそうな程苦しんでいる時、決して引かれたり面倒がられず、黙って見守ってくれたり話を聞いてくれたりしてくれたことが本当に嬉しくて救われて、とても感謝した。

 

それからは少しずつ自分が変わってきたのもあって、話したければ何も気にせず話すようになったし、いつの間にか親友もそんな感じになったし、親友に限らず、心を許せる友達には「ちょっと聞いてよ~」ってな感じで話せるようになって、随分楽になった。

 

かつての自分が、辛ければ辛いほど話すことが出来なかったのって、「自分なんて」の塊で自分の存在意義が全く見つけられず、自尊心が超低いのにも関わらず「助けて」っていう勇気もなく、変に意固地でプライドが高かったからなんだろうなー。

 

今私がこんな風に気楽に生きているのは自分だけの力じゃないなって心から思う。本当にありがとうという気持ちでいっぱい。

 

自分の話なっげぇ~www

 

と言うのも、本作の柴犬こと柴山くんや、柴山くんの後輩の春日さんの思考は、そういう思いを抱えていた頃の自分と重なるような部分があってとっても共感したんだよね。

 

↓これらは全て作中より抜粋した文章なんだけど、確かにこんなことをずーっと考えてたなぁ。こりゃ辛かろう…。過去の自分も今そう思って苦しんでいる人も、まとめて抱きしめたい。(迷惑なやつw)

 

自分には居場所もなく取り柄もない。だからこそ大切な人の力になることも出来ない。

自分は誰かにとってどんな価値があるのだろう。

自分は、自分の大切な人にとってどんな存在なのだろう。

認めてほしい。力になりたい。頼ってほしい。

なんでもするから自分を見てほしい。自分の存在を知ってほしい。

自分の居場所がほしい。価値を知りたい。ここにいてもいい理由を教えてほしい。

 

 

↓あと、過去のとても辛い出来事を引きずって苦しんでいる柴山くんに対しての、マツリカの言葉がとても優しい;;

 

おまえのその渇望は、おまえを成長させてきた。

だから、思い出は呪いにせず、美しい祝福として胸に刻みなさい。

なにも証明する必要はないわ。

おまえは、ここにいる。おまえの価値は、わたしが知っているのだから。

 

 

↓そのマツリカの言葉を受けて、柴山くんはこう思った。

 

なにも証明する必要はない。

過去を悔やんで、過去に囚われて。

自分にだって、生きている意味があるはずなんだと。

身体を折り曲げ、嗚咽を漏らしながら生きる必要なんて、きっとどこにもない。

 

 

本当にその通りだよなぁ。柴山くんは高校生でこのことに気付けて良かったね。

 

それに、独りぼっちだった柴山くんに大切な人がたくさん出来たことが、読者としてとても嬉しかった。

 

このシリーズを通して、個人的にはひとつとつの事件自体は興味深いとか面白いというわけではなかったんだけど、人間模様や人様の成長の過程がすごく良かった。

 

急に劇団四季を絡めちゃうけど、生きる意味とか存在価値が分からなくて苦しい誰かに、この曲を送りたくなった。

 

 

綺麗事に聞こえるかもだけど、実際理屈じゃなくて本当にそうなんじゃないかなーって思う。

 

皆に幸あれ。