4/9鑑賞

 

 

北欧映画の気分になって、本作を鑑賞。

 

家も町並みも人もめっちゃオシャレで素敵~おねがいなんだけど、国が違えど人間の本質やタイプというものはあまり変わらないんだなと思った。

 

多分、この映画の舞台が日本で、日本人が演じたとしても、全然違和感ないはず。

 

卵から孵化した何かの「アッリ」は、鳥と怪物と人間を混ぜたような謎の生き物。結構グロテスク。

 

最初は怖がるティンヤだけど、怖い存在ではないと気付いて、お風呂に入れてあげたり餌をあげたり一緒に寝たりする。

 

で、餌をあげるシーンってのがまた強烈で、ティンヤが一度口に入れて咀嚼して飲み込んでから手に吐き出した物をあげるんだけど、その描写が気持ち悪い&かなり痛々しい。

 

また、ティンヤとアッリは繋がっていて、夜中に吠えまくってうるさい犬、新体操の大会の選抜でライバルになった友達などをアッリが察し、犬を残酷にこ〇したり、友達を再起不能な状態になるまでズタズタにしてしまう。

 

思考が繋がっているだけでなく肉体も繋がっていて、ティンヤが傷付けばアッリも痛み、アッリが傷付けばティンヤも痛む。

 

つまりアッリの存在とは、ティンヤの心の闇や、苦しんでいるのに口に出せないことを具現化した存在なのだということ。

 

だからティンヤになついてるし、餌はティンヤが一度飲みこんでから吐き出した汚い吐瀉物だし、最初はグロテスクな見た目だったし、徐々にティンヤの見た目になっていくし。

 

まだ幼いティンヤがどれほどに苦しい思いをしているのかが、ものすごく伝わってきた。

 

その苦しい思いを強いている一番の人物が、ティンヤの母親。

 

幸せで完璧な家族の日常をSNSで発信し、自分が昔やっていた新体操をやらせて結果ばかり求め、浮気をし、浮気しているところをティンヤに見られてしまってからは、平然と「私は恋してるの。大人にはこういうことも必要なの。」と言って、恋人の家に一緒に連れていったり。

 

ティンヤの意思も意志も全く聞こうとせず、有無を言わさず頷かせるばかり。そして承認欲求の塊。体裁だけ整っていればそれでok。家庭なんてとっくに崩壊しているのに、見てみないふりどころか気付いてない。

 

母親が浮気をしているのを知っていても何も言わない父親や、歪んでいる家庭の影響を幼い時から受けてしまったせいなのか我がままで性格の悪い歪んだ弟。

 

ティンヤはどんどん追い込まれていき、それに比例するようにアッリが暴走して、状況が悪くなる一方。しまいには取り返しのつかないとんでもないことが起きてしまう。

 

その後は描かれずにお話は終わるけど、この映画を観た誰もが「きっと取り繕って何事もなかったかのように過ごしていくんだろうな」と思ったはず。

 

ホラーというよりは、人間怖い驚きというお話だった。不快感は残るものの、面白い映画だった。