2/12鑑賞。
めちゃめちゃ面白かった!
何かが起こったであろう始まりのシーン、夫婦間に流れるどこか暗い雰囲気、アダが生まれてからの夫婦の異常な行動、弟が来てから起こる波風、そして唐突に訪れるラスト。ず~~っと不穏な空気が付きまとっている。
とても想像力を掻き立てられる演出になっていて、私はとっても好きな感じだった。
第2章とラストで「あ、そういうことだったのか」とそれまでのあらゆる疑問が解決して、「ということは…?」と新たな好奇心が湧いて、続けて2回観てしまった。
そうすると、散りばめられていたたくさんの伏線や演出に気付くことが出来、なお理解が深まった。
人間は本当にエゴの塊だな。感情と知性の生き物だから人間の習性を非難するということではないんだけど、人間のシステムに組み込まれてしまった他の生き物たち(特に家畜)からしたら、人間はどう見えるんだろう?と考えさせられた。
正直、夫婦(特に妻)の行動は奇妙だし、過激だし、ひどかった。同時に、それほどまでに傷が深いのだと痛々しかった。
アダの本当のお父さん(ラムマン)とお母さん(羊)の気持ちを考えると、あの惨くて理不尽なラストは当然だと思った。そして、そんな夫婦とラムマンに翻弄されるアダが一番可哀そうだと思った。
また、得体の知れない生き物であるラムマンとアダ、動物である母羊に対してそう考える自分は、つくづく人間だなと実感した。
ラストに関して、私はラムマンがマリアに対して激しい怒りを感じていて、子供を取り返すためだけではなく、復讐のために同じ目に合わせたのだと思っている。
マリアの最後の表情の移り変わりもとても想像力を掻き立てられた。パニック、悲しみ、不安からの、何かを察して、何かに気付いて、何か覚悟を決めたような、そんな顔。
アダは、これからどんなことを教わってどんな生き方をするのかな。イングヴァルが教えてくれた帰り方をずっと覚えていて、何かの拍子で帰って来る時があるとしたら、何が目的なのかな。恋しさなのか、懐かしさなのか、怒りなのか。
面白かった!
