9/6読了。

 

 

あらすじ:

サスペンス×ミステリー。私がジャックです――殺人者の〈存在理由〉とは? 末期癌を宣告された医師・岬雄貴は、酒浸りの日々を送っていた。ある日、不良から暴行を受けた岬は、復讐を果たすが、現場には一枚のトランプが――。そのカードは、連続殺人鬼「切り裂きジャック」のものと同じだった。その後、ジャックと岬の奇妙な関係が始まり……。最注目作家、幻のデビュー作!

 

感想:

大好きな知念さんのデビュー作をようやく読んだ。

なるほどこれが知念さんの原点か~と感じる、とても知念さんらしいストーリーだった。

 

視点が交互に変わるもののとても分かりやすく、点と点が繋がっていくワクワク。

 

割と最初の方に犯人像が予想できる犯人視点の分かりやすいシーンがあって、途中で正体が明らかになった時「やっぱりそうだったか!」とすっきりし、どんでん返しはないものの決して物足りなくはなかった。

 

●岬

癌宣告された後の岬の絶望・虚無・恐怖・何かに縋りつきたい・生きる目的と生きた証を見出したい、という苦しみは身につまされた。

 

大切な人と生きる目的を見つけてやっと病気を受け入れることが出来た時、それまでの苦悩から解放され、揺るがない強さを得た岬の姿は泣けた。

 

がっ!!!

岬さん…さすがに19歳の女の子に重たいものを背負わせすぎでは…?

 

挙句、やってしまったらダメでしょ!!!

なーーーにが「大丈夫、優しくする」だよ!色々とそういう問題じゃないんだってばー!

私が岬の親兄弟だったら「そこに座れー!」つって正座させてクドクド説教しちゃう。

 

しかも翌朝の爽やかっぷりよwあたしゃ呆れかえって鼻で笑っちゃったよね本当に。

 

普段炊事は任せてるくせに「今日ぐらいは俺が」とか言っちゃってご機嫌でトースト焼き始めちゃったり、起きてきた沙耶に「シャワー浴びて寝ぐせなおしてこいよ」とか言って大人の余裕をかましちゃってさぁ!なんなんだよ一体!www

 

沙耶は若いから、色々な面で短絡的でも仕方ない部分もある。

でもさ、岬さんはいくらその状況だからっていい歳してんだからさぁ!そこは思いとどまらなきゃいけないでしょうが!!まったくもう!!!

 

って思いながら読んでたけど、結局最後は(´;ω;`)ウッ…となっちゃったよ。岬ぃ(TдT)

 

●ジャック

正義の名のもとに殺人を繰り返していくうちに自分の殺人衝動に気付き、もはや快楽殺人者になり果てた頭脳明晰で沈着冷静なジャック…。

 

でも、彼女を愛していたし、お母さんが存命の間はなんとか殺人衝動を抑え込んでいたことを思うと、父親や彼女の件で歪むようなことがなければ、人が鬼になることなく、もっと別の道を歩んでいたのかもしれない。

 

●真琴

真琴のただただ見守ることしか出来ない愛がかなり切なかった。怖くても、心配でも、辛くても、悲しくても、全てを自分の中でおさめていたのは、岬を愛しているからなんだよね。

 

最後に沙耶と鉢合わせたシーンで、とっても救われた。真琴には幸せになってほしい!

 

 

知念さんの小説って本当に良い。大好き。