A「それは突然の物語。突然の事態になすすべなく、焦りや動揺をするしか方法は無く、絶望的だと諦めざるをえないと思うが、解決策は意外と身近な所にあったりする。
そう、少し冷静になれば道が開けてくるのである」
(公衆トイレの個室から)
B「わかったから早く紙をくれ!」
A「おお、すまない。良いポエムが浮かんだものでな」
B「ポエムとかいいから、早く紙をくれっつの!」
A「おお、紙か。紙と言うと、自然に生きる木が我らに教えてくれた生き様─」
B「いいから早くよこせっつの!尻が痒くなってきたから!」
A「尻が痒くなる。それはまさしく尻が─」
B「痒くなってるっつの!そこに紙があるはずだから!」
A「紙!そう紙!紙は我々にとって生活する上で必要な─」
B「お前ふざけてんのか!?」
A「いや、そんなわけでは…」
B「だから早く紙をよこせっつの!いいかげんにしろ!」
A「すまない。本当にすまない。すまないという気持ちは私の心からの─」
B「いいかげんにしろ!外に出たらシバくからな!」
A「ああ、すまない。紙は、紙は洗面台にあるので良いのか?」
B「それだそれ!早く上から投げろ!」
A「上から投げるというのは、オーバーかアンダーか‥私はアンダーが─」
B「オーバーな!上から!上から投げろ!」
A「ああ、わかった。では投げるぞ」
B「早くくれ!」
A「………ああ」
B「ん?おい!どうした?」
A「すまない。私の腕の長さではドアの上の隙間には届かない。そう、それは私と彼女の心の距離のように─」
B「ざけんな!投げればいいんだよ!」
A「ああ、わかった…」
(ゆっくり構える)
…ドン!!
B「…誰がドアにぶつけろと言った!?」
A「違うのか?」
B「上だ!ドアの上の隙間に投げろ!」
A「ああ…ああ…」
(ゆっくり構える)
…ドン!!
B「痛え!!誰が頭上に投げつけろと言った!?」
A「すまない。本当にすまない。すまないという気持ちは私の心からの─」
B「もういいから!早くよこせばいいものを、この大馬鹿は…」
(…ジャー…ガチャッ)
B「………あ」
A「あ………」
B「そ、総理…」
A「君は、国土大臣の…」
B「あ、いや、その…素敵なポエムですね」
A「さ、最近凝っててな…」