2019年WOWOW制作。薬丸岳原作「悪党」を観ました。瀬々敬久監督(「64-ロクヨン」「護られなかった者たちへ」など)のクオリティの高い作品。

驚いたことに瀬々敬久監督は、大分県立高田高校から京都大学文学部哲学科に進学。京大の哲学科は西田幾多郎先生の指導の元「京都学派」と呼ばれる哲学者を数多く輩出しています。ここに進む人は異能の人だと思っています。(文系の大学を無くそうという主張がどういう意味と影響を持つのか考えてみて欲しいと強く思います。)


「悪党」何気なく観始めてしまいました。でも、観進めて行くうちに、後悔の念が湧き上がってきました。辛い、ただひたすらに辛い。感動で泣くこともありましたが、どちらにしてもその背景は重たいとしか言いようがありません。


犯罪加害者の現在を突き止めて報告する探偵事務所に、刑事を辞めて働き始めた佐伯修一(東出昌大)犯罪被害者たちは、大切な家族を理不尽に奪った犯人の現在を知り、復讐して人生を差し出すのか、許すことで前に進むのか…佐伯自身、最愛の姉を3人組にレイプされ殺された過去をもち、苦しんでいます。答えの無い問いに向き合う人々の苦しみの物語ですが、脚本と監督の手腕と東出さんの素晴らしい演技で一流のデテクティブ・ストーリーに仕上がっています。


色々あった東出さんですが、Winnyでの演技などでも評価されていて、結構やるなぁという印象でしたね。いい演技でした。ぜひぜひご覧ください。大事な人を奪われたら、復讐一択くらいの勢いの僕でしたが、少し考えようかと思います。最後の益岡徹さんの涙にやられます。「お前はこれからいっぱいいっぱい幸せになるんだぞ、いいか。」犯罪被害者家族同士の絆が染みるエンディングです。ネタバレしてるかな?でもこのドラマはそこに辿り着く過程こそ大切だと教えてくれると思います。