卵子の老化

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2月14日19時30分NHK放送の「クローズアップ現代」では「卵子の老化」をテーマに報道していました。良い啓蒙番組でした。解説者はキャスターの国谷裕子さんと名市大教授の杉浦真弓先生。
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産みたいのに産めない ~卵子老化の衝撃~

「卵子は老化する。35歳を超えると妊娠が難しくなる」。医師の言葉に、不妊クリニックのセミナーに集まった夫婦たちに動揺が走る。今や、不妊治療・検査を行ったことのある夫婦は、6組に1組。女性の社会進出につれ晩婚化が進み、35歳を過ぎて不妊治療を始め、初めて「卵子の老化」を知る人が増えている。平均寿命が80歳を超え、40代の“モテ期”や“美魔女”など、老いすらもコントロールできるようになったかに見える現代。しかし、今も老いを克服できないのが、ヒトの卵子だ。こうした中、若いうちに卵子を凍結し、いつか出産をという未婚女性も現れ、医療現場では、卵子の老化を「止める」研究が進む。しかし、卵子の時を止めれば、問題は解決されるのか?これまで知られてこなかった卵子の老化と、女性達を取り巻く現実を通して、「適齢期に産める社会」に必要なものは何か考える。

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 ブログに書くには重いテーマですが、大事な事なので補足しておきたいと思います。少々厳しい話になってしまいますがご容赦ください。

 卵子の老化、まさにこれが不妊症の最大の原因なのです。しかし学校でもそんなことは教えてくれないし、マスコミも報道しません。報道されるのは、40才過ぎても妊娠した芸能人のおめでた話。その人達もどれほど苦労して妊娠したかについてはあまりクローズアップされませんね。

 一方で、20代前半の芸能人のできちゃった婚騒動。そりゃそうです。20代前半までは通常は避妊する方が難しい時期なのですから。地球規模で人口爆発が危機的状況になってきているのに、文明国はどこの国も少子化に悩み、不妊症の患者さんであふれています。それなのに、食べるものもろくになく、衛生状態も悪い様な国では10代ですでに何人もの子持ちになっていたりするのはどういうわけでしょう。極端に言えば、衛生状況や、栄養状態や、精神状態などが悪くても、若くして避妊せずにいれば妊娠してしまうのです。いきおい、世間の注目も、避妊のことや、性感染症の予防のことなどに向いてしまいます。まあそれも重要なことなのですが。

 精子は精巣で作られています。しかも毎日毎日大量に作り続けられています。まさに無限です。男性機能、つまり勃起力だとか性欲だとかは年齢によって衰えますが、15才の男の子の精子も、80才のおじいさんの精子も、顕微鏡で観察すれば全く区別がつきません。妊娠させる力も変わりません。精子は老化しません。そこが精子と卵子の大きな違いです。

 この話をすると皆さん驚かれるのですが、実は卵子は卵巣で作られていません。卵巣は卵子を作っているのではなく、卵子を保管しているのです。実は卵子はこの世に生まれてから、1個も作られていません。それどころか、毎月毎月大量に無くなっているのです。排卵誘発しようとも、逆にピルなどで排卵を押さえても、どちらも同じように大量に無くなっているのです。もし一生の間ピルを使い続けて一回も排卵しない人がいたとしても、その人も他の人と同じように50才ぐらいで閉経します。たまたま選ばれた1個が排卵し、その他の卵子が消えていく、これが自然な排卵周期。排卵誘発という治療は無くなっていく卵子をすくい上げるというのがそのメカニズムなのです。だから排卵誘発してもしなくても無くなっていく卵子の数は変わらないのです。

 卵子は、その人がまだ胎児だった時代に作られたものなのです。だから20才の人の卵子は20才、40才の人の卵子は40才です。人間の体の細胞は常に新陳代謝し、新しく作り替えられていますが、卵子は作られた時のまま、その卵子が排卵する時が来るまで、卵巣に大事に保管されているのです。その人が生きてきた間に受けた、放射線だとか、化学物質だとかさまざまなものにさらされ続けているのです。

 卵子は日々刻々と数が減り、そして残った卵子も徐々に老化して行きます。ただしどの卵子も同じようなスピードで老化していくわけではありません。40才を過ぎても健康な赤ちゃんをもうける人はたくさんいらっしゃいます。でも45才を過ぎると統計的妊娠率は0%となります。そして残っている卵子の数の目安となるAMHという検査はありますが、残っている卵子の「質」を知る方法はありません。

 だからといって、どんなに無鉄砲な生活をしてもよいということにはなりません。年齢など同じ条件の人を比べれば、健康的な生活の方が良いに決まっています。卵子の老化が防ぐことができないなら、せめてその卵子を良い状態で得ること、そして良い状態で着床できる環境を整えることが大切です。

 精神的肉体的ストレスのない生活、禁煙、規則正しい睡眠、お酒を飲み過ぎない、運動、標準体重あたりへの体重コントロール、葉酸やビタミンなどバランスの取れた食生活などが良いのは言うまでもありません。そして妊娠しにくいのではないかと思ったら、体調や気持ちの上で条件の良いときに、早めに治療を開始すること、それが良いことは言うまでもありません。