被害者の年齢と死亡慰謝料の関係 | 交通事故弁護士ブログ

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被害者が死亡した場合、慰謝料が発生します。後遺障害慰謝料の場合は、後遺障害の「程度」によって慰謝料が決まりますが、死亡の場合は、「程度」ということはありえないので、誰でも同一のはずです。

ところが、東京地方裁判所の意向を反映する赤い本では、

一家の支柱 2800万円

母親、配偶者 2400万円

その他 20002200万円

となっています。「一家の支柱」など、もう化石化した言葉がいまだに使われていますし、小さな子供などは何十年という人生を奪われているにも関わらず「その他」に分類されてしまっています。この基準は、現在の家族観とはかけ離れており、違和感を覚える方もおられるのではないでしょうか。


特に問題になるのが「その他」です。

赤い本では、「20002200万円」という幅のある基準になっていますが、これは、高齢者の場合は、2000万円未満、子供の場合は、2000万円を超える慰謝料を認めるからだとされています。判例は、従来、子供は慰謝料を高く、高齢者は慰謝料を低く認定していたからです。


ところが、裁判所は、その考え改めたようです。

2014年版の赤い本に記載されている講演では、「『人生を享受している度合い』によって慰謝料に差を付けることに合理性があるかは疑問もあるところです。」、「近時、東京地裁民事27部(民事交通部)で、高齢者であるという理由だけで、2000万円を下回る慰謝料額を認定した判決例は見受けられないようです。」とまとめられています。

ここから、裁判所は、余命が少ないことは、慰謝料を低くする理由にはならないと考えていることがわかります。

後遺障害慰謝料が被害者本人に支払われるのに対し、死亡慰謝料は遺族に支払われます。高齢だからと言って慰謝料を減額するのは、多くのご遺族の方に納得できないでしょう。


ただ、残り少ない人生だったから、慰謝料は少なくて良いという考えは否定されるとしても、80歳の方が交通事故で死亡した場合と、まだ数年しか生きていない子供が将来を奪われた場合とを比較して同列というのはおかしいのも確かですから、子供であるということは慰謝料の増額事由にはなると思います。


裁判例をざっと概観すると、余命年数の違いによって慰謝料の金額に大きな違いはないようです。しかし、若年者の場合に、基準額より数百万円多く認定しているのではないかと思われる例もいくつか認めることができました。

裁判を担当する裁判官からすれば、子供であることを考慮しろといっても、明確な基準がない以上、赤い本基準からは、なかなか踏み出せないのでしょう。ここいらあたりが弁護士の腕の見せ所です。