MTBI  東京高裁平成22年9月9日判決以降の実務その2 | 交通事故弁護士ブログ

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MTBI  東京高裁平成22年9月9日判決以降の実務その1からお読みください

裁判所が高次脳機能障害の認定基準として重視するのは、意識障害です。画像所見がなくても、意識障害があれば、前後の状況から、結構、高次脳機能障害を認めてくれます。しかし、意識障害がないと、以下の判例のごとく一刀両断です。

[判例]

東京高裁平成22年9月9日判決以降の判例を紹介します。

1、東京高裁判決平成22年11月24日自動車保険ジャーナル1837号

1審東京地裁 平成22年4月23日判決


原告らが救急搬送されたA病院の診療録には、本件事故の現場に出動した救急隊による検査では原告らの意識レベルはいずれも「清明」であった




2、大阪地裁判決平成23年2月25日自動車保険ジャーナル1858号 「意識は清明」との記載がある。



3、東京地裁判決平成23年3月24日自動車保険ジャーナル1851号


原告は、本件事故直後、いったん降車して原告車両が前車に玉突き衝突をしていないことを確認した上、原告車両を歩道脇の車線に移動して、110番通報をし、また、付近のコンビニエンスストアで被告乙山の運転免許証をコピーした。原告は、警察官が臨場して実況見分を終えるまでの間、気を失いそうに感じていたことなどから、警察官と話をした上、原告車両内で安静にしていたが、

これらが終了した後、とりあえず予定されていた商談に赴いた。





4、、名古屋地裁判決平成23年5月13日自動車保険ジャーナル1853号


B病院に搬送されたが、意識は清明であった。



5、最高裁判決平成23年10月25日自動車保険ジャーナル1862号
B病院の戊田五郎医師作成の診断書によれば、控訴人の初診時の意識障害はなかったとされていることが認められる



6、東京高裁判決平成23年8月30日自動車保険ジャーナル1856号
E病院の診療録には、控訴人一郎が同病院に搬送された際の意識状態に係る記載はない上、搬送途中の救急車の天井が見えたことや搬送途中の国道の曲がり角の状況を覚えているとの供述もしていることなどによれば、当時、控訴人一郎に意識障害はなかったと認められる



7、 東京地裁判決平成24年4月26日自動車保険ジャーナル1877号
本件各事故の直後の診療録を精査しても、原告が本件各事故の直後にそのような意識障害を訴えていたような形跡はないのみならず、かえって、前記認定のとおり、本件各事故の直後には、警察官、乗客及び相手方運転手と適切に対応していたことが認められるから、意識障害がある旨の原告の上記供述は採用できない。したがって、本件各事故により意識障害が存在したものとはいえない。



[対策]

正常な状態に戻った際、周囲の方から事情を聞くなどして、事故直後のご自身の意識状態を記録化してください。事故直後に一時的な記憶障害(意識喪失、自分が何をしているか、どこにいるかわからないなどの見当識を失った状態)や錯乱状態に陥ったなどがあった場合、意識障害の内容や時間を、主治医に伝えたり、メモに残すなどしておきましょう。



もっとも、同時に、高次脳機能障害の症状を記録化しておく必要もあります。

麻痺・しびれ、神経因性膀胱、味覚・嗅覚脱失、視覚・知覚障害、嚥下障害などの身体性症状や、 記憶・感銘力、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下、多弁、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想などの高次脳の機能障害にがあれば、その旨を主治医に必ず訴えて、カルテ等に残しておかなければなりません。




なお、最近の裁判所は、画像所見を、以前ほど、極端には重視しませんが、それでも、画像所見がないよりは、あったほうが、はるかに有利です。ただし、その画像所見はMRIかCTでかねればなりません。MTBIを生じた場合、局所的な脳の血流の障害が生じ、PET、SPECT等の脳の血流を捉える検査で、脳血流障害が捉えられることがあります。これらの異常検査結果は、脳に損傷があったことを示す証拠として、医学的には認識されています。しかし、裁判所は、現在のところ、障害残像画像についてもMRI及びCTのみを信用し、それ以外は、画像所見としては認めていません。医学的には、MR拡散テンソル画像,FA-SPM,PET,SPECTでの数値低下等の異常があった場合についても,相手にしていません。