源氏物語の女たち 1―夕顔
光源氏は12歳で元服して、左大臣の娘、葵の上を正妻とした。だが年上で、気位も高く、女らしい親しみもなく、睦みあわなかった。
17歳の頃、光源氏はもと皇太子妃であった未亡人、六条の御息所ーみやすどころーの許に通っていた。
その六条に通うある夕方、光源氏は五条に住む乳母が病気だと聞き、乳母子で側仕えの維近と見舞いに訪れる。門の開くのを待つ間、隣の家の垣根に、夕顔が咲き乱れているのに出会う。「なんの花か」と随身を摘み取りにやらすと、美しい女童が白い扇に夕顔の一茎をのせて、「これに置きて参らせよ、枝もなさけなげなめる花を」と、差し出す。
乳母の見舞いの後、帰る途中、夕顔をのせた扇には、女からの歌が添えられていた。
こころあてにそれかとぞ見る白露の 光そへたる夕顔の花
この夕顔の女に光源氏は惹かれ、維近に身元などを調べさせる。最近西院あたりから引っ越してきたくらいしかわからない。しかし夕顔の女が忘れられず、ある夜顔を隠して会いに行く。女は暗くてよく見えないが、女の感じは体つきは細く「たよたよととして」、もの言いも素直で、おおらかなのでいとしく思わせる、可愛い女であった。―あの雨夜の品定めの時、頭中将―左大臣の長男、葵上の兄―が話していた、中流の女で常夏という女ではとないかと光源氏は推測する。
その後、十五夜の夜に泊りがけで出かけ、明くる日の夜「いざ、ただこのわたり近き所に、心安すくて明かさむ」と、急に夕顔と、お付女房の右近を連れて、宮廷管理の六条の広大な邸に移られる。広い屋敷だが庭は草生い茂り、樹木鬱蒼と茂り、気味悪く荒れ果てている。その中の寝殿の一室で二人は過ごすが、明くる日の宵、光源氏が少し寝入っている時、枕上にいと美しい女が夢枕に立ち、「こんな女と寝ているなんて恨めしい」と言っている夢を見る。その時隣に臥していた夕顔の様子がおかしく、苦しんで急に息絶えてしまう。六条御息所の生霊の物の怪-もののけーの仕業であった。
驚き慌てた光源氏は側近の維近を呼ぶ。維近は後は私に任せて、すぐ二条の自宅に帰ることを進める。維近は夕顔を東山に住む知り合いの尼の所へ移して供養する。だが一旦帰った光源氏も夢遊状態で、戻って来た維近に夕顔の様子を尋ね、自分も最後をもう一度見たいと、一緒に東山に向い死人と対面して嘆く。葬儀の指示をして再び二条に戻ると途中、気の動転していた光源氏は、賀茂川堤で落馬する。
かくて帰宅をしたものの、物の怪がついた有様で、帝よりのお使いもしばしばあり、使用人や周囲の者は不審を抱く。連れて来た夕顔の女房、右近より、夕顔はかっての頭の中将の恋人で、女の子玉蔓まで儲けたが、左大臣の母親に脅迫されて西京に立ち退いたが、方角が悪いと聞かされて、五条の仮屋に移ってきたことを光源氏に告げる。
四十九日は盛大に比叡山で行い、僧にも豪華な御布施をなし、一応夕顔への義理を果たしたが、物の怪による発作も加わったので、
有徳な僧に加持祈祷を受けるために、光源氏は北山に向かう。そこでかわいい紫の上と出会う。
瀬戸内寂聴は「男の人は皆夕顔のような、ほっそりして、気が優しくて、かわいい女が好きなようですね」と語る。
阪急四条烏丸駅で下車して、烏丸通を南に高辻通りに出て東に向かうと、夕霧町という町があり、ここに夕霧の故地といって碑が立てられている。物語の人間を実在していたとしているのであろうか。
夕顔 夕顔のお墓?

