僕が男優の仕事をする時に、女性器のどの部分に注意してみているかというと、会陰(perineum)上部です。
膣の入り口(vaginal orifice)と肛門(anus)の間を会陰というのですが、その上部で、膣の入り口に接している箇所で、小陰唇(labium minus、俗名:ビラビラ)と繋がっている部分です。
この部分に皮のゆとりがあるかどうかで、挿入時に裂けやすいかどうかが決まります。
これは、手のひらを見て想像してみるとわかりやすいかもしれません。
親指と人差し指の間には、水かきと呼ばれる皮があります。この皮があるおかげで、親指と人差し指を180°近くまで広げても痛くありません。ですが、他の指の間には、これほどの皮がありませんので、90°も広げたら裂けそうな痛みを感じます。
膣は普段閉じているのですが、男性器が挿入される時に広げられます。その時に、会陰部に皮が充分にないと、広がり引っ張られる力に負けて裂けてしまうのです。裂けた会陰部は見るからに痛そうなのですが、実際にこの痛みによって撮影を中断、場合によっては中止にしなければならないほどの痛みです。
セックスで気持ちよくなっている姿を撮りたいAVなのに、痛めてしまっては本末転倒ですから、会陰部に皮がないタイプの女性器の場合には、いつも以上に慎重な動きになります。
具体的にどう対処していくかというと、まず馬油かワセリンを会陰部に塗って保湿します。乾燥していると裂けやすいので、その対策です。
そして、前戯の段階では、会陰部をマッサージするように回転させながらさすったり、優しく押し伸ばすように触ります。
指を入れるときは、潤滑剤を指と膣の入り口と会陰部に付けてから、会陰部になるべく圧がかからないようにお腹側から沿わせるように潜り込ませていくイメージで挿入していきます。第一関節ぐらいまで入れたら、指先で小さく円を描くように回転させ、膣の入り口を少しずつ広げていきます。この動きだけでも、ほとんどの膣は快感を感じることができるのでしばらく続けて、性感を高めていきます。
太ももからひざにかけてや、手に力が入らずリラックス出来ているようなら第二関節まで押し進め、同様に回転させながら広げていきます。これも大丈夫だったら指の根元まで入れて、また広げていきます。
この流れを、指を二本にして繰り返します。
充分広がって、膣も会陰部もほぐれたら男性器の挿入に移っていきます。挿入の角度は、イメージ的には、お腹側から滑り込ましていく感じで、正面から突き刺していくような動きはしません。とにかく、会陰部にできる限り負担をかけないようにしていくのです。
男性器の挿入時も、膣がほぐれていっているか、男性器の形状に膣全体の形が馴染んできているか、といったことに意識を向け続けます。入れるというよりは、男性器で膣に“触れる”というイメージです。自分の快感だけを堪能するのではなく、膣側の感覚をできる限り感じ取ろうとするのです。
こういった注意をして臨んでも、物理的に広がりには限界がありますので、裂けそうだったら無理をせずに挿入を諦めます。撮影だったら挿入したふりをして演技で誤魔化すこともあるのですが、それは時間的制限があるが故の選択です。一般の方の場合は、何日とか何週間、場合によっては何ヶ月の時間をかけて広げていくのがいいと思います。時間をかけて一緒に取り組むことで、信頼も生まれていきますし、つながれたときの悦びもひとしおです。
会陰部は一度裂けると弱くなって、裂け癖がついてしまうのです。そうするとちょっとした圧で裂けてしまうし、裂けるの恐がり体に力が入り快感に没頭できません。
セックスをして、入り口が痛くなりやすいと思っている方は、自分の性器を鏡で見て、会陰部の皮がどれぐらいあるか確認してください。そして、そこを広げたときにすぐ突っ張ってしまい裂けそうなら、会陰に馬油を塗ってマッサージをする習慣を作ってみてください。これはそんな大袈裟なことではなく、お風呂から出た時やオナニーの時に、会陰部と大陰唇に薄ーく馬油を塗り込み、15秒ぐらい押し伸ばすようにするだけでいいです。
一般的に、女性は他の女性の性器を見る機会がないので、比較することが出来ませんし、会陰部の皮の分量が充分かどうか判断できる男性もそう多くありません。だから、自分で見て、触って、広げて、どれぐらいの圧まで許容できるかを知っておく必要があるのです。
今更ですが、今日の話は、挿入をすることを前提にしています。そこに興味がなかったり、必要性を感じない人にはほとんんど関係のない話です。唯一押さえておいて欲しいのは、保湿しておくことが裂けたり、擦れたりして傷つくことを防ぎますよってことです。
さて次回は、セックスにおける罪悪感や劣等感はどうして生まれるのかを考えていきたいと思います。
(つづく)