(3) Mirano 06.12.21

ドゥオモ
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←中にも入れる、上にも登れる。

 内部はフィレンツェのドゥオモよりずっと広くて、

 荘重な雰囲気が漂ってます。

 でも、撮影は自由(^^v

 中のステンドグラスがうまく撮れてなかったのが残念。







 ↓至るところに精緻な彫刻。

  ここには写っていませんが

  雨樋の先まで・・・。
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←ドゥオモの上から見た広場。

  フィレンツェのドォオモは階段のみですが、

  こちらはエレベーターもあり。

  階段は4ユーロ、エレベーターは6ユーロでございます。

  屋根の周りをぐるっと歩けて(けっこう歩きます)

  上の画像のような精緻な彫刻も間近で見られて、よかったぁ。



ミラノ スカラ座
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 博物館が併設されていて、公演がないときは劇場内も見られる。

 リハーサル中は、3階あたりの小部屋から

 ガラス越しに舞台と客席を、これこのように。







ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世

---ドゥオモ広場からスカラ広場に抜けるアーケイド街---
mira-ni X'masイルミネーションがまばゆいガレリア。

左奥に見えるX'masツリーのあたりがアーケイド街の中央。

ツリーにはスワロフスキー社製のデコレーションがいっぱいついてました。それから、このツリーの斜め向かいには、世界一シックな?(向かいのプラダやヴィトンのショップと同じ黒が基調の)マクドナルドがありました。


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夜7時頃の、ガレリアとドゥオモ広場の境あたり。

向こうに少ししか見えていませんが、

通りの真ん中にずらっと大きな丸い球が並んでいました。

日本の色とりどりのX’masデコレーションと違って、

ミラノもフィレンツェもローマもほとんど白熱灯のこの色一色。

シンプル&シックであります。




付 ミラノの地図(「るるぶ イタリア」より)
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どの画像もクリックすると大きくなります。

イタリアは二度目なんですが、前回は買い物に精を出していて、ほとんどちゃんと見ていなかった(^o^;)

旅行案内にあるような画像ばかりで恐縮ですが(いえ、もっとヘタですが)、マイアルバムとして・・・・・・。

よろしかったら、ご覧くださいm(_ _)m


(2)Miranoの朝  スフォルツェスコ城


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←寝不足の目にもすっきり青い空。

  スフォルツェスコ城

 は14世紀に建造された城砦。






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←上の画像の左右の端にある塔。

  斜めになってるのは、狙ったんじゃなくて、

  あの、その・・・・・・。




↓火薬発明以前の大砲の弾は、こんな石。

 一発詰めて発射するまで2時間かかったとか、ほんとかな。
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これも狙ったんじゃなくて。

というか、撮った記憶もないんですがヾ(ーー )をい!

でも、気に入ったので・・・(;¬_¬)


付:ミラノの地理が気になる方へ (「るるぶ イタリア」より)
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(1)ジュネーヴ空港 06.12.20  --- イタリア以前ですが --- 



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成田空港です。

スイス航空の飛行機に乗りました。







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 ジュネーヴ空港のX'masイルミネーション。

 もっとキレーだったな。







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 空港内のリンツ は、クリスマスの金色。

 チョコレートがいっそうおいしそう。







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 空港内のKIOSKを覗いてみました。

 書籍の並べ方がすごくすっきり。


 そして・・・・・・。




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 向こうでは、ベストセラーの息が長い?

 『ダ・ヴィンチ・コード』は英・独・仏版がありました。









では、勝手にクイズです(^o^;)

下の真ん中にある白い本のタイトルは『Tokyo Love』。

日本の最近の小説です。

この本の原題は何でしょう?


tokyo love
ヒント

1 若い女性の写真は著者ではありませんが、雰囲気は・・・。

2 ○○賞受賞作です。


答え ↓(白抜きです、反転してください)


 金原ひとみ著 『蛇にピアス』



 最初のメールから数日後、また、その女からメールが来た。
< 過日は、ご気分の悪くなりそうなメールを差し上げてしまい、お恥ずかしい限りです。私の言い捨てをきっかけに掲示板では様々な論議があるようですが、TAKA様のお姿を最近、掲示板でお見受けしません、お元気でいらっしゃいますか。こちらは、ご批判を受ける態勢も整いました。メールをいただければ幸いです。>
 今度は、小山玲子と本名が書いてあり、標準語になっていた。これが一番、今、目の前にいる女の雰囲気に近い。
 隆志は、このメールに初めて短い返事をした。
< 過去の発言をお読みいただくと分かるかと思いますが、私の「美学」として、ネット上の発言についてメールなどで論評することは原則として、しないことにしているのです。>
 格闘技はリングの上で。それが隆志の信条だった。同性同士がリング外でやりとりをすれば計略になりやすく、男と女がリング以外のところでやりとりをすれば、格闘技は寝技になりやすい。隆志はそう思っていた。
 それから毎日のようにメールが来たが、女が送ってくる短歌や歌詞に感想を書くほど、親切でも暇でもない。それに、女は返事が欲しいと書きながら、その内容は返事のしようのないもののようにも思えた。しばらくして、一度お目にかかりたい、というメールが届いた。
 返事をせずにいると、その女の知人だという会員の女性からメールが来た。
<moguraさんからTAKAさんへの思いを聞かされた時は、本当に驚きました。彼女はあんな口調ですが、小心?だから、傷心で、焦心です。一度、彼女と会っていただけませんか。>
 一度会えば、女の気が済むかもしれない。相手の気が済まなかったときは、どうなんだと、隆志は自分に尋ねなかった。相手がどんな女であるにせよ、女の妄想に巻き込まれない自信があった。隆志は女に電話番号をメールした。
 そして、いま、目の前にその女がいる。


 目の前にいる人と、この人が寄越したメールのギャップが、隆志の中で埋まらない。
 二通目が来たのは、言い捨ての後のメールから一週間ほどしてからだったか。
< ニブイおっちゃんに、教えたる。LONちゃんは、おっちゃんのこと、好き。大事にしたってや。ワテもあれから、二、三日して、おっちゃんの「ネット上の人格」に惚れてたらしいと、気ぃついた。この間見たビデオで、老人が若い男に、「恋を覚ます方法なら、いくらでもあるよ」と言っていた。若い男は「とんでもない」と答えたから、ワテはその答えを聞きそびれたが、聞かなくても、おかげさまでダイジョブだった。ほんま、ひっさしぶりにビックラこいただよ。>
 最後に<ほな、さいなら>と、書いてあった。
 隆志は、LONさんに「好きです」と言われたことがあったが、だからどうだというほどのことでもない。スタッフとして好意をもっているということだ、と思っている。この女性が書き込みを始めてからたった1ヵ月ほどで、LONさんの好意に気付いたのは鋭いといえばいえるのかもしれないが、こんな思い込みの強い、距離のないメールを読んで、隆志は警戒心が先に立った。年上とはいえ独身の自分が、子持ちの女性に「おっちゃん」と呼ばれる筋合はないと、江戸っ子の隆志はむっとしたりもした。いずれにしても、女は自分の感情に気がついて、それを冷ましたというのだから、もう過ぎたことだと、隆志はこの一件にケリをつけた。
 子持ちの主婦でなくとも、どんな女性に対しても、隆志は自分が恋愛感情をもつことはないと思っている。遠い昔の人が、もし、自分をパートナーにしたいという意向を示せば、償いの気持ちもないまぜになった感情とともに喜んで受け入れるだろうが。
 隆志も彼女もまだ互いに独身だった。今も何カ月かに一度、会合で顔をあわせる。もしも時が来れば、あるいは。しかし、そんな可能性が非常に小さいこともわかっていた。こうして自分の人生が過ぎていく、それでよいと隆志は思っていた。
「すみませぇん」
 と、向こうの通路にいるウエイトレスを男が大きな声で呼んだ。玲子はいっそう居心地が悪くなった。夫はウエイトレスやボーイをこんな大きな声で呼んだことはない。もう夫を愛しているわけではないのに、どうして男の大きな声に違和感をもつのだろう。男の声は大きかったが、同席者を恥ずかしくさせるような傍若無人な感じではない。飲み物がほしいが、ウエイトレスが気づかないから、気づくような声をだした。男の声は、それ以上でも以下でもない。それなのに、どうして男の大きな声がこんなに気にかかるのだろう。自分が切望した時間だというのに、玲子はこうして男と出会ったことを後悔しはじめていた。玲子の後悔を男に気づかせてしまうのは失礼なことだと思っていたが、それ以上に玲子は自分の後悔を認めたくなかった。
男の態度は不愉快なものではない。その外見が気になるのは、玲子のほうが外見を気にしすぎるからだ。玲子はそう思った。
 男がコーヒーを注文した後、玲子はテーブルの下から紙袋を取り出し、男の前に置いた。
「これ、どうぞ。バレンタインのチョコレートです。それから」
 と、玲子は、バッグの中から白い袋を取り出した。
「これは、シップ薬。肩が上がらないと、書いていらっしゃったから」
 玲子は、ずっと昔、男友達にプレゼントをあげたときのような陽気な気分になった。男は、どちらの言葉にも「あ、どうも」と、笑顔で答えた。邪気がなく、ちょっとはにかんだ笑顔だったが、男の口元がほころぶたびに欠けた黒い歯が見えて、また、玲子の気持ちが萎えた。デコボコのじゃが芋みたいな男の子も、服装に無頓着すぎる男の子もいたけど、ここまでヒドイ男友達は、いなかった。
 席に掛けるとき、男は革ジャンを脱いだ。青とも緑ともつかないアクリルのハイネックのセーターが現れた。袖口が少し、ほころんでいた。
「今日は、新宿でよかったんでしょうか」
 男は千葉在住だと言っていた。
「ええ、新宿で会議があったので、ちょうどよかったんです」
 目の前にいる男と会議という言葉が、玲子には不釣合いに思えた。会議といえばネクタイを締めた男とスーツを着た女が浮かぶ。男が嘘をついているとは思わないが。
「どんな会議だったんですか」
 立ち入ったことなのかどうか、判断がつかないまま、玲子は尋ねた。
「労働組合の会議です」
 男は短く答えた。男が労働組合で活動をしているのは知っていたが、どこか遠い世界のように思っていた。活動という言葉は、こうして会合に出たり、ビラを配ったりすることを意味するのだ、と、玲子は今まではっきりと想像したことがなかった。玲子にもっと冷静さがあれば、今日、こうして男に会うことはなかっただろう。労働組合などというものは絶滅寸前の組織で、しかも会社員でもないのに労働組合に積極的に関わるのはろくでもない人種だと思っていたからだ。独身時代に勤めていた中程度の規模の会社にも活動家はいたが、玲子は彼らが好きではなかった。マッチョな男と、仕事を怠けたい小ずるい男しか、見たことがなかった。
< しかし、LONさんのレスって、すごいですねぇ。気に入らんオンナにつけるレスのことですよ。大阪弁で、こういうの「底意地が悪い」って言うんです。「言うても変わらん人は、ちょっとやそっとでは変わらへん」と知ってますさかいに、まぁ、のらりくらり気ままにやろかと思ったけど、やめや。ぜぇんぶ、ケツまくるわ。ケツまくってやめや。>
 書き込みの主旨は、男性を装った母親が、受験生の母を掲示板から締め出そうというするのは、どういうわけだ、ということのようだった。
 女は、自分にはレズビアン的傾向があると書いていたが、こんな言い捨ての後、相手の女性をよろしく頼むというメールを送ってくる心理がよくわからなかったし、返事のしようもない内容だったので、そのまま放っておいた。
 隆志は多忙だった。三ヵ月前に学習塾の社員から時間講師になり、今は小さなユニオン(労働組合)設立の準備期間だった。大企業では組合の委員を務めることが出世のひとつのルートだったりするが、隆志が属しているのは中小企業を対象とするユニオンだった。中小の労働組合は細胞分裂を続け、弱小になって力を弱める。団塊世代の学生たちのヘルメットの色がバラエティに富んでいき、その結果、彼らの夢が失墜したように。彼らを仰ぎ見た世代である隆志は、労働組合の分裂とその結果がデジャ・ブのように見えることもあったが、それにもかかわらず、新しいユニオンを設立しようとしていた。現在属しているユニオンと敵対することのない新しいユニオンを設立したかったから、隆志や仲間がどう動けばよいのか、何をどう伝え、あるいは伝えないことが必要なのか。そのためにも、現在属しているユニオンの会議には可能なかぎり出席し、仲間と会合をもっている。週三日の本業以外の日は、ユニオンの事務所に詰めて労働相談を行い、必要であれば中小企業ーーというより個人経営といった規模での労働問題が多かったーーの経営者を相手に交渉にも出向く。そんな隆志の現実の中では、掲示板の出来事は夜更けのコーヒーカップにさざ波が立ったようなものだった。そのカップは隆志が大切にしているものではあったが。

 隆志はこの女から一カ月あまりの間に数十通のメールを受け取っていた。メールであっても手紙であっても、普通は、自分の近況や感情を率直に伝えるものだが、女が隆志に対する好意をストレートに書いていたことは一度もなかった。いや、一度だけそういうことがあった。メールには女が作った短歌や歌詞が載せられていて、その中で女は情熱的な恋をしていた。隆志に向かって書いているのだろうかと思わないでもなかったが、似たようなことは前にもあった。なぜ、会ったこともない男に、女はこうも自分一人で盛り上がれるのか、隆志にはわからない。変わった生き物だと思う。
 会員制掲示板の世話役をしている隆志には、女性会員からのメールもよく届いた。普通、女性の場合は単純な質問から徐々に間合いを詰めてくるものだが、女がこの掲示板の会員であった期間にメールが届いたことはなかった。同性を罵倒して捨てゼリフを残し、以後は一切書き込みをしないと宣言した数時間後に、一通目のメールが届いた。女の入会記録に書かれていた現住所は、東京都杉並区となっていたが、女は掲示板で関西弁を多用していた。このメールにも、えらい、ご迷惑かけました、という侘びの言葉とともに、女が罵倒した年下の女性のことを、よろしゅう頼む、と書いてあった。よろしく頼むといわれても困る。
 争いのもとは、彼女らがともに母親であることに端を発しているようだった。お受験ママ同士のライバル意識というわけではなかった。古いメンバーである若い母親はオヤジを装った言葉づかいで、教育関係のこの掲示板に参加するお受験ママたちを次々に槍玉にあげていた。その非難の言葉は、教師や塾経営者が多いその場所では、よくぞ言った、というムードもなくはない。塾講師をしている隆志自身も個人面談の母親たちには辟易させられることが多いので、ネカマの若い母親の乱暴な言葉にもそれほど違和感がなかった。しかし、受験間近の子どもがいながら受験相談をしたことがない一風変わったこの母親は、若い母親の傍若無人なものいいにキレたのだった。

「ご迷惑をおかけしております」
 笑顔を見せながら、お高く止まった言葉が出て、玲子はほっとした。
「あ、いいえ」
 男の返事には、余裕があった。玲子は男の外見と、余裕のある態度のギャップに違和感を覚えたが、それ以上に玲子を驚かせたのは、男の口元だった。ほころんだ口もとの前歯は、半分ほど欠けていて残った部分が黒ずんでいた。老人ならともかく、四十歳すぎでこんな歯をした男を見たことがない、と、玲子はきっぱり思った。段ボールの家をたたんで、なけなしの金をはたいて、ここに来たといっても冗談には聞こえないような雰囲気だった。
 その男がどんなに貧しそうでも、並んで歩くのをためらうような外見をしていても、席を立って帰ろうと思わなかったが、想像と現実のギャップは居心地の悪さになって、玲子を戸惑わせた。失望や軽い軽蔑の様子を見せては失礼になると、玲子はそれを気遣った。
「moguraです、小山玲子です」
「はじめまして。TAKAです」


 隆志の予想より、その女はきれいだった。もっとも、隆志の想像していた女は、赤い振袖を着て踊る漫才師にかぎりなく近かったから、十人並みなら予想よりずっとマシということになる。
 隆志が世話役をしている会員制の教育系掲示板では、ときどきオフ会を行う。掲示板に書き込むのがオン、反対に実際に出会う親睦会をオフ会という。
二ヵ月ほど前に掲示板に書き込みをはじめたこの女は、オフ会に出席したことはなかったが、ネット歴の長い隆志はオフ会に何度も参加していたから、ネットでのイメージと実際に顔を合わせた印象とでは天と地ほど差があることも知っていた。とくに、女性はそれが甚だしい。いつだったか、いかにも美形を匂わせた書き込みをする女とオフ会で顔をあわせたとき、隆志は、詐欺だ!と思ったことがあった。

 確か、この女は、掲示板にこう書いていた。顔も口も悪い自分を女として見る男はいないが、学生時代は男友達がたくさんいた。そういうつきあいが、ここでまたできるのは、とてもうれしい、と。だから、隆志は女に会うのは気がすすまなかった。会って何を期待するわけではないからこそ、口も顔も悪い子持ちの主婦にわざわざ一対一で会おうとは思わなかった。