「赤目四十八瀧心中未遂」(2003.10公開 159分)を、Mと見た。(画像が美しいサイトはココ

【あらすじ】(引用サイトはココ )
車谷長吉の直木賞受賞作『赤目四十八瀧心中未遂』を荒戸源次郎が映画化。
生島与一は人生に絶望し、尼崎に流れ着いた。焼鳥屋の女主人・勢子ねえさんに古いアパートの一室を世話された与一は、そこでひたすらに臓物を捌き、串にモツを刺して暮らしていた。そんな与一の前に、ある日、同じアパートに住む女・綾が現われる。綾に惹かれた与一は、綾によって至福の時を味わう。やがて、綾の“この世の外へ連れてって”というひと言に誘われて死出の旅路へと向かい、赤目四十八瀧を登っていく。
【出演】
寺島しのぶ(綾)大西滝次郎(生島与一) 大楠道代(岸田勢子) 内田裕也(彫眉)


私(原作未読) ★★★★☆ (4と1/2か?)
M(原作既読) ★★★☆☆



【私の感動】
すでに評判の高い、寺島しのぶ。噂に違わずよかった、非常に。
背中の彫りものを見せてからあと、赤目への逃避行を山場にして、映画の後半部分がなんともいえずいい。
この映画のコピーになっている「この世の外へ連れてって」というセリフも、四天王寺の石段に腰掛けて2人が話すシーンも、excellent(いや、fantasticか?)でありました。
惜しむらくは、関西弁のイントネーションがちょっと違ったこと。

やきとり屋のおばちゃん(勢子ねえさん)、最初から、これはうまい!と思った。
いったい誰だ? 大楠道代だった。ああ、そうか・・・、道理で。
いいですよぉ、この女性も。泥水飲んできた中年女の複雑な味がよく出ていて。

どうやら私は女性像がしっかりしていたら、それだけで基本的に満足、評価が俄然高くなるという傾向があるようだ。


【2人の感想】
映画としては、どうか? 
ほとんど鑑賞中はしゃべらないのだが、今回は少ししゃべった。
<トップシーン>
M 文芸作を意識しすぎるな
私 いいじゃない。文芸作なんだから
M 芥川賞じゃないんだよ、直木賞だよ
私 私はいいと思うけど

<子役>
私 この子役、原作にもあったの?
M あった
私 むずかしい役だね。ちょっと浮いてる
<綾と与一の初めてのセックスシーン>
私 すごい、寺島しのぶ。こんな・・・。ここまで・・・。
M すごいって、これだけじゃん
私 ええっ? これは大変なことだよぉ(ポルノ女優じゃないんだから)
<赤目四十八滝の川に灯籠が流れるシーン>
M なんだ、これは。よけいだな
私 わざとらしい
M お金つかってマイナス効果。残念っ!
<赤目からの帰り、近鉄線の中で、突然ヒロインが電車を降りるシーン。オトコ、下駄を履こうとして突っかかってもたもたしているうちに電車の扉が閉まる>
私 こんなとこで、男にこれだけもたもたさせたらダメでしょう
M ヒロインをもっと発車ぎりぎりに降りさせるべきところ
  ちょっと長すぎる。原作ではもっと短い
私 最後で台無しじゃん
<エンド・マークの代わりに「合掌」という文字が出る>
私 な、なんだ、これは
M はい、「合掌」
私 興ざめだよ
<見終えて。映画全体について>
私 映画として、どうだった?
M 原作のほうが、そりゃいい。原作は一人称だからもっと迫力あるし、原作にある自己批評性がない。ストーリーとしては原作に忠実なんだけど。映画としては、あと30分カットできるな。
私 回想シーンで、関係ないヤクザがドラム缶にコンクリート詰めされるシーンあったじゃない?あれも変だったよね。そこだけ急に、つかこうへいか宮藤官九郎風になって。あそこなんかなくていいシーンだと思う。
M (同意の様子)
<時代設定と主人公生島の人物像について>
私 映画の時代設定を阪神大震災の1年後にしてるけど、無理があると思う。こういう青年像は、現代の青年像じゃないと思うけどなぁ。原作では、20-30年前くらい?
M (原作を開いて)1975年くらい
私 そうだよねぇ。その時代の青年像なんじゃない?
M もっと古い時代じゃないか

(追記:ツボヤキさん から、「今現実にこういう青年はいますよ」と教えてもらいました。その同時代申告を聞いてなるほどと思い、私もまた考えました。こういう<心性>をもった人は今、フリーターと呼ばれる人たちの中にいるんじゃないか、と。こういう<心性>をもった男は外側から見れば甲斐性なしの根性なしかもしれないけど、深くを見すぎてイッパイイッパイってゆうか、そういうことなのかもしれないと、やっと思い至ったσ(^_^;)であります。フリーターと呼ばれる人全てがこういう心性をもっているのだろうとも、もちろん思いませんが。)


たくさん重箱の隅をつついてしまったので、ヘンな映画に思われそうですが、いい場面は黙って、しん!とした心持ちで見たのであります。
そういうシーンがようけようけありますことは、最初の★の数でおわかりいただけるかと思います。


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