第15回旅・アウトドアのTBテーマは「雪国」。
「雪国」と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?
あなたにとっての「雪国」とその思い出をトラックバックで寄せてください。

ワタクシの「雪国」はこれでござんす。
1956年?、池部良と岸恵子がロケした冬の越後湯沢。

「雪国」
監督:豊田四郎 出演:池部良 岸恵子 八千草薫 田中春男 ('57東宝)134分
日本文学史不朽の名作である川端康成の同名小説を、原作に忠実に映画化した第1作目。昨年知り合った芸者・駒子が忘れられず、島村は雪深い温泉町を再び訪れる。2人の愛は再び激しく燃え上がる。報われぬ仲の男女の愛の哀しさを美しく描く。(ココ


上の画像の右が岸恵子、左が池部良。正真正銘、眉目秀麗、容姿端麗、絶体絶命の美男美女でございます。この画像よりもっと端正でございます。

なんとも品のよいエロティシズムが漂う映画でございます。
「美しい日本の私」の川端さんは、ほんたうは「超すけべな日本の私」であったということを映像で実証するやうな、美しくエロティックな映画であると、ワタクシは思いますです。

ただし、「日本のエロティシズム」でございます。
したがいまして、ご覧になられても、あまりにぎやかに性的興奮はいたしません。情緒纏綿、淫靡なる興奮とでも申しませうか。
さらに、日本的エロティシズムの「表現方法といふもの」に興奮してしまうのではないかと思われます。

「原作に忠実」ですから、あの場面もございます。
再開した駒子(岸恵子)に着流しの島村(池部良)はかう云ひます。
「こいつが一番君を覚えていたよ」
さう云って、島村は駒子に人差し指を突きつけまする。
(こんなことやる男、も、サイテ!と思いません?
それとも、ここまでできる男は、やはりデキル男なのであろうか?
それはともかく、池部良が岸恵子にこうすると、なんかクラクラっときてしまうんです。
うわぁ、すけべ!と、カンドーしてしまうんです)

「これが覚えていてくれたの」
ト、岸恵子があの甘い声で云ふのです。
「右じゃない、こっちだよ」
(ふぅん、川端は左手で・・・あわわ。というようなことを考えてる余裕はない。このシーンを見ているときは。ををををを!とだけ、思う)
「ええ、わかってるわ」
このあたりで、確か岸恵子は池部のその左手を取って頬にあてるかなんかしてたはず。
「ほぅ、冷たい。こんな冷たい髪の毛始めてだ」
ト、云って、島村は、さぁ、どうする???

選択肢を作ろうかと思ったが、ヤメタ。

島村は駒子の日本髪に唇をあて、鬢(びん・耳の上の髪)の毛のひと筋をくわえて、すぅっと唇をすべらせてそのひと筋を日本髪から抜くのでございます。
画面にはなかったと思いますが、そうすると、女の日本髪が鬢のひと筋だけ乱れてしまふわけでございます。与謝野晶子より濃密かつ淫靡かつ繊細な「みだれ髪」でございませう(笑)
 

ちなみにこのシーンの衣装は、上の画像のものではありません(これは、私はイマイチ)。
手描き友禅で竹を描いた肩裾模様の訪問着だったはずでございます。
この映画はモノクロですが、いつのまにか記憶の中で色が付いてしまって、着物が若竹色になっていました。

上の続きではなかったと思いますが、かう云ふ場面もございます。
駒子が丸帯を解きはじめます。シーンが変わると二人はその部屋にいず、わずかに開いた襖の向こうから灯りが漏れている。よく見たら、駒子の解いた帯が襖の間にはさまってる。そいで、その帯がしゅるしゅると、襖の向こうに手繰り寄せられる。
映像で見ると、襖の隙間から漏れる灯りというのは、なんともニッポンでございました。画面は、襖の向かうを暗示するだけでございます。蛇の動きのやうにたぐり寄せられる帯は、なにを暗示しているのでせう(爆)。
なお蛇足ではありますが、丸帯の文様もよかった。不確かですが、「向い鶴」だったかと思います。

まだまだ私の「雪国」名シーンはたくさんあるのですが・・・。
このやうな次第で、「雪国」と言われて想像するのは、スキーでも温泉でもなく、ただこの映画、次にこの小説なのでございました。


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