白い巨塔 | mori17さんのブログ

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「映画大好きおっさん」の映画関連

今回視聴したのは、1966年の「白い巨塔」で、DVDにて拝見しました。

 

白い巨塔 [DVD]

 

商品説明欄には、「医学界の封建的な人間関係、派閥抗争などを、野望に燃える臨床医師の財前五郎を中心に描く」とあり、医学界の腐敗を暴いた作品となっています。

 

「赤ひげ」の影響でしょうか、お医者さんには人格者像を思い描き、更には技術的に優れているという事も求められます。

 

しかし、人は人ですから皆が皆人格者ではありません。

 

主人公の財前五郎(田宮二郎)は、医術において技術面ではとても優れており、皆に一目置かれる先生(准教授)で全国から患者が集まるほどです。

 

ですが、腕があるが故にかおごりがあり、しかも野望がありすぎて、っていうか、周りの環境である大学病院そのものが権威主義で腕さえあればいいというものではなく算術も必要で、故に純粋に医学を極めるのではなく、如何にその権威の頂点である教授になるかに重点を置いていました。

 

財前は岡山生まれで幼いころに父親を亡くし、シングルマザーの母に育てられ、地元の開業医の先生の手助けもあり関西の浪花大学医学部へ進学、そして卒業後は浪花大学病院で働き、お金持ちの産婦人科医の財前家の娘と結婚し婿入りしました。

 

この結婚した娘もそうですが、義父もものすごく権威主義というか、医者と言うより関西の商売人なのではといったキャラで、この義父がどうしても娘婿である主人公を教授にすべく、ありとあらゆる手を駆使し、しかも主人公に事あるごとに教授、教授とはっぱをかけ、主人公もその気になって成り上がる気満々で話が進んでいきます。

 

さらには主人公の愛人までもがヤバい人で、何が何でも教授にすべく支援を惜しみません。

 

この作品、とにかく出てくる人の7割くらいが欲望丸出しの人たちで、しかも医学関係者か飲み屋関係の人たちばかりが登場するため、人間の欲望とは何なんだろうと考えさせると同時に、医学界って権威主義で封建的な人間関係な上に派閥抗争をしまくっているように描かれます。

 

そのせいか、この作品を観て「仁義なき戦い」を思い出しました。

 

実は、ヤクザ業界と医学業界は全く一緒だったのだと、かなりショックを受ける作品です。

 

先生と言われる職業の人たちにロクな奴がいないと揶揄する時代の作品ですから、まじめに医学界を取材したら医学界がヤバかったのでこんな作品になっちゃったという事みたいです。

 

主人公は岡山出身なので、浪花大学病院にてやや関西のイントネーションでしゃべり、関西人に囲まれてクールに医者としての腕を磨き、上司にへつらいながら権威社会で権威者になるべく成り上がってます。

 

そして主人公とは対比して、権威ではなく倫理観を持って医術を極めるといった医者たちも描かれ、それ以外にも素人で医学界の権威を批判する女性も登場します。

 

但し、その女性とは対比させた欲望丸出しの女性(愛人)も登場し、もうてんやわんやで、医者に行くのが怖くなるほどです。

 

この題名の「白い巨塔」ですが、白は白衣、つまり医者を表し、その権威主義の世界では、その権威を揺るがす案件が発生しても、権威によってその権威は揺るがないといった意味であり、最後の総回診がオチとなっています。

 

この映画のオチですが、私の中で二つの考えがあります。

 

主人公は母親に毎月仕送りをする一面も持っており、裁判や最後に上司からの戒めもあり、心を入れ替えたのではないか?

 

それとも同僚が辞めていく姿から察するに、今まで通り権威主義でおごり続けるのではないか?

 

ラストの総回診と白く大きく絶対に壊れそうにない建物からすると、医学界の権威は守られたという事は分かりますが、主人公が倫理観を取り戻したかどうかまでは分からない終わり方をしました。

 

これはこの作品を観た人それぞれがそれぞれの解釈をできるようにしたのかもしれません。

 

何にせよ、終わってからも観客が楽しめる作りになっています。

 

因みに、冒頭からオープニングにかけての手術シーンは、やけにリアルだなと思っていたら、実際の手術映像だったそうで、見ててヤバかったのはそういう理由だったからのようです。

 

さてさて、今回のMVPですが、①主人公の成り上がりキャラ、②主人公の愛人のヤバさ、⓷主人公の義父の強烈キャラ、と候補がありましたが、②にします。

 

あの愛人の医学エロトークには完敗しました!・・・ではなく、あの愛人の権威や金への執着、そして惚れた男への推しの力が圧倒的で、小川真由美演じるこの愛人には圧倒されっぱなしでした。

 

っていうか、この作品は令和のホワイト社会では敬遠される作風ですが、現実にニュースを見るとこういった内容の案件は山ほどあり、いろんな意味でブラックが蔓延する今こそアンチテーゼな見ごたえあるこういった作品を観るべきで、令和とはそういった時代なのかもしれません。

 

 

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