連載01:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12175575070.html
連載02:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12176233153.html
連載03:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12177304039.html
連載04:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12177861238.html
連載05:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12179682327.html
連載06:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12180173429.html
連載07:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12181179050.html
連載08:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12181631290.html
連載09:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12182100325.html
連載10:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12182683151.html
連載11:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12183541347.html
連載12:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12185531559.html
連載13:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12186263423.html
連載14:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12188160963.html
とうとう15回目となりました築地移転豊洲問題です。
本日のニュースですが
築地市場移転、延期に含み=「総合的に判断」小池都知事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160812-00000168-jij-pol
時事通信 8月12日(金)16時31分配信
東京都の小池百合子知事は12日の定例記者会見で、築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転をめぐり、「都民が新市場から流通する食を安心して食べられるのか、(使い勝手など)働かれている方々の環境がどうなのか、総合的に判断したい」と述べ、延期する可能性に含みを持たせた。
小池氏は16日に新旧市場を視察する予定。
新市場をめぐっては、国への開場申請が8月中に予定されるなど、11月7日の移転に向け準備が進んでいる。一方、土壌の安全性や利便性の確保に問題があるとして、仲卸業者から移転日変更を求める声が上がっている。小池氏は「こういう流れだから仕方がないというのは、あまり理由にならないと思うことも案件によってはある」とも指摘した。
小池氏は会見後、移転慎重派、推進派双方の市場関係者からヒアリングを実施。記者団に「(新市場の)空気中の汚染状況がどうなのか、調査を指示した」と述べた。
TVのニュースにもなりました。
この築地移転問題は、その実態が大きく報道されないまま数年を経過してきておりますが、日刊食料新聞の豊洲担当記者さんによれば、https://twitter.com/nikkan_toyosu
都知事が公に築地市場の業界の人と直接会って話を聞くというのは、実は初めてで、超画期的なことなんだそうです。
築地の豊洲移転を強行した石原慎太郎都知事は築地の方々とは議論してなかったんですね。
そりゃあ、計画がおかしくなるはずですね。
これまで14回にわたり、築地がどういったところなのか、そして豊洲計画が、どうダメなのか概観しておりますと、市場機能にまったく配慮しないで計画したハコに無理矢理、市場をぶち込もうとしているのがよくわかってきました。
なぜ、豊洲がどんどんデタラメになっていったのか?というと
「機能上、平屋であるべきものを高層ビルにしたから」
が結論です。
じゃあ、なぜ高層ビルにしたのか?というと
「敷地が狭いから」です。
なんで、敷地が狭いか?というと
「道路を十文字に通したから」です。
ということなのですが、これは逆で、
この豊洲の埋め立て地が作られてきた経緯を見て、日本の国土開発政策を考えて見れば、道路が後で計画されるはずはないので、
「元々、十文字道路計画があって敷地が狭くて市場が入らない場所に市場を強引に持ってきたから、計画がぶっ壊れた。」
ということが分かります。
以上を原因として、設計を無理矢理進めているため、プランが破綻している。
それはm6区と7区をつなぐ平面導線が全然足りない、というだけでなく
市場の中に上下動を持ち込んでしまったからです。
しかも、その1階から2階や3階へ動く、上下の導線が異様に少ない。
サッカー場が10個分入ろうかというスペースの中に、エレベーターが11基しかない。
11基ってたくさんあるんじゃないの?と、普通のオフィスビルを想定していると、間違いますよ。
築地ではターレが2000台動いているんです。
豊洲のエレベーターの大きさは、けっこうでかいんですが、、
人だけが乗る分には広いんですが、、
ターレが乗るには、厳しい、、
パット見、2台かな、、
しかも、、エレベーター11台といったけど、
卸棟5基で、仲卸棟6基の別々ですから!
どうなんだろう?上の階に上がるターレが約半分の1000台だとしても、、
1000台割る6は
166.6になり、エレベーター1基にターレが2台乗るとして、83台。
エレベーターの前に83台行列している。
果たして、83台もEV前に並んでられるんでしょうか?
orz....
並ばなかった、、
60台くらいしか、、、
じゃあ、しょうがねえ、スロープ使うしかねえ!
と3カ所あるスロープに向かって走っていったところ、、、
スロープはこんな状況でした。
ヘアピン
ヘアピン
ヘアピン
これ、曲がれんのかなあ、、、
フォークの移動は不可能なんじゃないですかね。
またしても、これですかねえ。
やっちまったのか!
と思いましたが、
安心してください。
ターレという乗り物は、3輪ですから、メーカー資料によれば
キツイカーブでも曲がれるようなんです、、、、が、、、
EVが使えなかったターレが次々やってくると、、
同時に、上から戻りもやってくると、、荷物を満載したターレどおしが、渋滞
渋滞
どうなんだろうか、、
続いて
先日も報道されていた、仲卸さんの狭すぎるブース問題について、
実測写真がありました。
非常にショッキングな映像です。
既に仕切りが作られているようです。
この寸法が出てきてしまっているのは、仲卸のブースであるコマの現状寸法を先に割り出し、プランを展開したからではなく
先に建物のハコを決めて、そのハコを分割していったからです。
建物の「スパン割り」柱と柱の間の寸法のことですが、そこを先に12メートルと決めてしまっていたからではないか?と推察されます。
そもそも、12,000とか、数字がキレイ過ぎる。
そろい過ぎている。
注文建築やデザイナー住宅なんて、こんな末尾が000になんてなっていないです。
築地に限らず、日本の生活空間は、人体寸法を基にした「尺寸モジュール」なんです。
特に茶室とか屋台とか小さなバーカウンターとか、ギリギリの空間を狙う場合にはそうなります。
ちょうど築地と時期を同じくして、外国人観光客の大人気スポット、新宿ゴールデン街のお店も同じです。
なぜなら、家具や家電、まな板、紙、お盆、お皿、コップや道具に至るまで、生活道具はこの尺寸モジュールの近似値でできあがっているからです。
だから、303ミリ、910ミリ、1,820ミリ、3,640ミリ、と倍々されて、
12,000ではなく、14,560とか13,650とかになっていなきゃおかしいんです。
築地の仲卸さんには、1コマと呼ばれる最小ブースでお仕事されてる方もたくさんいらっしゃいます。
むしろ、1コマで商売出来てるということは、何かに特化したスペシャリストだったりするわけです。
たとえば、このカネ十さんは、カジキ専門店だそうです。
築地にもカジキ専門店はここだけ
このお店の寸法は尺寸モジュールの1間、畳の長さ、1820㎜です。
おとなりの尾道さんと、通路側を合わせることで、互いに広々と活用されています。
眼に見えないラインを引くとこうですね。
1コマ空間での寸法がどれくらい違うのか、配置してみました。
同じ面積にしときゃいいだろ?という非常に乱暴な辻褄合わせの設計をしていることがよく分かります。
お茶室やバーなんかでもそうですが、小さな空間はほんの十センチの違いが明暗を分けたりするのですが、
そんな難しい話じゃなくても、自分のデスク周りを見れば、本棚や収納等、10センチ、5センチを削られただけでまったく使えなくなったりしますよね。
逆に、あと10センチあったら劇的に使いやすくなったり、モノが仕舞えたりする。
だから、この豊洲を設計した人間は、市場の設計経験がなかったとか、新人だったからとか、デザインしかわからへんねん、では言い訳になりません。
築地で使っていた、ダンベという冷蔵庫や台や、発泡スチロールまでがうまく置けない、隙間を通り抜けられないということになる。
もう一度、豊洲の全体設計を眺めていると、同じ形状の繰り返しだから、ソフトでコピペコピペでさっさと設計を終わらせてやろう、と考えていたとしか思えませんね。
ちょうど、詰め込み型の賃貸マンションの設計のように、畳の部屋が6畳とか8畳とかを決めてから全体プランを作成するのではなく、先に大きなガラを乱暴に決めて、無理矢理割ったから。
その後、きめ細かい修正を怠ったんではないでしょうか。
12メートルを分割、分割で3メートルになって、それをまた2つに割って、最小ブースとした。
なので、芯々1,500ミリから壁厚分が取られて、モノが置けない1,320とかのデタラメな有効寸法になってしまっているんです。
なぜ、そんなことになっているのか?
よく聞かれるのです。
築地の実情を見なかったからじゃないですか?と延々と嘯いておりましたが、おそらくこうではないか?というプロセスを考えてみました。
まず、このように分割された敷地だった。
まず、ここでアタマ抱えたと思うんです。
この時点で「この敷地じゃ、築地移転は無理です。まったく違った市場にならざるを得ません。」とキチンとアナウンスすればよかったんですが、
さらに、この分割敷地はそのまま建物に使えません。
周辺が削り取られる。
これで、益々、建築を納めるのがキビシイ敷地になってきます。
しかも!使いにくい敷地の変形部分を除くと、こうなります。
なんか、マグロの解体に似ていますね。
この状況になってくると、道路で分断されていることがいかにダメか、が益々ハッキリしてきます。
ここで、「道路を外してくれないと、市場は成り立ちません!」と注進するべきでした。
もしくは、「道路を地下トンネルにするか、市場全体を2階に持ち上げて人工地盤とさせてください!」と強く強く進言するべきでした。
それもなく、機械的に寸法を決めたんでしょうね。
もっとも大事な構造体の芯線を
なぜ、12メートルなのか?というと、、
建築の世界にも設計の世界にもアンチョコというものがありまして、、
特に、よっぽどのこだわり設計事務所か、実務や技術に超厳しい鬼のような先輩や先生がいない場合、新人教育が十分なされない昨今、
新人から最初の数年はそういったアンチョコや過去図面を写したり引用したりするもんなんです。
これは、業界ではみんな知っている「建築知識」という雑誌の抜粋です。鉄骨構造のスパンの決め方の早見表ですね。
JSCA・(社)日本建築構造技術者協会という日本の建築構造設計技術者の団体HPにも掲載されているものです。
これを見れば分かるように
一番建築工事費が安くなるように、12メートルと決めたことが分かります。
つまり、豊洲の施設は、とにかく、なんでもかんでも、安く安くを優先して設計されているのです。
魚河岸の事情ではないのです。
では、倹約してくれてるんでしたっけ?豊洲のハコモノ。
ところがどっこい、超高級レベルの坪220万円でしたよね。
非常に不思議なところです。
仕様の分かる断面図の詳細も載せておきましょう。
以上
このシリーズいったん15で終わらせて、次は大疑問の豊洲の構造設計について語る、語り尽くす。
連載02:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12176233153.html
連載03:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12177304039.html
連載04:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12177861238.html
連載05:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12179682327.html
連載06:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12180173429.html
連載07:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12181179050.html
連載08:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12181631290.html
連載09:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12182100325.html
連載10:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12182683151.html
連載11:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12183541347.html
連載12:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12185531559.html
連載13:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12186263423.html
連載14:http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12188160963.html
とうとう15回目となりました築地移転豊洲問題です。
本日のニュースですが
築地市場移転、延期に含み=「総合的に判断」小池都知事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160812-00000168-jij-pol
時事通信 8月12日(金)16時31分配信
東京都の小池百合子知事は12日の定例記者会見で、築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転をめぐり、「都民が新市場から流通する食を安心して食べられるのか、(使い勝手など)働かれている方々の環境がどうなのか、総合的に判断したい」と述べ、延期する可能性に含みを持たせた。
小池氏は16日に新旧市場を視察する予定。
新市場をめぐっては、国への開場申請が8月中に予定されるなど、11月7日の移転に向け準備が進んでいる。一方、土壌の安全性や利便性の確保に問題があるとして、仲卸業者から移転日変更を求める声が上がっている。小池氏は「こういう流れだから仕方がないというのは、あまり理由にならないと思うことも案件によってはある」とも指摘した。
小池氏は会見後、移転慎重派、推進派双方の市場関係者からヒアリングを実施。記者団に「(新市場の)空気中の汚染状況がどうなのか、調査を指示した」と述べた。
TVのニュースにもなりました。
この築地移転問題は、その実態が大きく報道されないまま数年を経過してきておりますが、日刊食料新聞の豊洲担当記者さんによれば、https://twitter.com/nikkan_toyosu
都知事が公に築地市場の業界の人と直接会って話を聞くというのは、実は初めてで、超画期的なことなんだそうです。
築地の豊洲移転を強行した石原慎太郎都知事は築地の方々とは議論してなかったんですね。
そりゃあ、計画がおかしくなるはずですね。
これまで14回にわたり、築地がどういったところなのか、そして豊洲計画が、どうダメなのか概観しておりますと、市場機能にまったく配慮しないで計画したハコに無理矢理、市場をぶち込もうとしているのがよくわかってきました。
なぜ、豊洲がどんどんデタラメになっていったのか?というと
「機能上、平屋であるべきものを高層ビルにしたから」
が結論です。
じゃあ、なぜ高層ビルにしたのか?というと
「敷地が狭いから」です。
なんで、敷地が狭いか?というと
「道路を十文字に通したから」です。
ということなのですが、これは逆で、
この豊洲の埋め立て地が作られてきた経緯を見て、日本の国土開発政策を考えて見れば、道路が後で計画されるはずはないので、
「元々、十文字道路計画があって敷地が狭くて市場が入らない場所に市場を強引に持ってきたから、計画がぶっ壊れた。」
ということが分かります。
以上を原因として、設計を無理矢理進めているため、プランが破綻している。
それはm6区と7区をつなぐ平面導線が全然足りない、というだけでなく
市場の中に上下動を持ち込んでしまったからです。
しかも、その1階から2階や3階へ動く、上下の導線が異様に少ない。
サッカー場が10個分入ろうかというスペースの中に、エレベーターが11基しかない。
11基ってたくさんあるんじゃないの?と、普通のオフィスビルを想定していると、間違いますよ。
築地ではターレが2000台動いているんです。
豊洲のエレベーターの大きさは、けっこうでかいんですが、、
人だけが乗る分には広いんですが、、
ターレが乗るには、厳しい、、
パット見、2台かな、、
しかも、、エレベーター11台といったけど、
卸棟5基で、仲卸棟6基の別々ですから!
どうなんだろう?上の階に上がるターレが約半分の1000台だとしても、、
1000台割る6は
166.6になり、エレベーター1基にターレが2台乗るとして、83台。
エレベーターの前に83台行列している。
果たして、83台もEV前に並んでられるんでしょうか?
orz....
並ばなかった、、
60台くらいしか、、、
じゃあ、しょうがねえ、スロープ使うしかねえ!
と3カ所あるスロープに向かって走っていったところ、、、
スロープはこんな状況でした。
ヘアピン
ヘアピン
ヘアピン
これ、曲がれんのかなあ、、、
フォークの移動は不可能なんじゃないですかね。
またしても、これですかねえ。
やっちまったのか!
と思いましたが、
安心してください。
ターレという乗り物は、3輪ですから、メーカー資料によれば
キツイカーブでも曲がれるようなんです、、、、が、、、
現在の築地はいくつもの抜け道がありますが、それでも、タイミング的に、ちょっとでもターレやフォークが集中すると
こうなります。
こうなります。
EVが使えなかったターレが次々やってくると、、
同時に、上から戻りもやってくると、、
渋滞
どうなんだろうか、、
続いて
先日も報道されていた、仲卸さんの狭すぎるブース問題について、
実測写真がありました。
非常にショッキングな映像です。
既に仕切りが作られているようです。
この寸法が出てきてしまっているのは、仲卸のブースであるコマの現状寸法を先に割り出し、プランを展開したからではなく
先に建物のハコを決めて、そのハコを分割していったからです。
建物の「スパン割り」柱と柱の間の寸法のことですが、そこを先に12メートルと決めてしまっていたからではないか?と推察されます。
そもそも、12,000とか、数字がキレイ過ぎる。
そろい過ぎている。
注文建築やデザイナー住宅なんて、こんな末尾が000になんてなっていないです。
築地に限らず、日本の生活空間は、人体寸法を基にした「尺寸モジュール」なんです。
特に茶室とか屋台とか小さなバーカウンターとか、ギリギリの空間を狙う場合にはそうなります。
ちょうど築地と時期を同じくして、外国人観光客の大人気スポット、新宿ゴールデン街のお店も同じです。
なぜなら、家具や家電、まな板、紙、お盆、お皿、コップや道具に至るまで、生活道具はこの尺寸モジュールの近似値でできあがっているからです。
だから、303ミリ、910ミリ、1,820ミリ、3,640ミリ、と倍々されて、
12,000ではなく、14,560とか13,650とかになっていなきゃおかしいんです。
築地の仲卸さんには、1コマと呼ばれる最小ブースでお仕事されてる方もたくさんいらっしゃいます。
むしろ、1コマで商売出来てるということは、何かに特化したスペシャリストだったりするわけです。
たとえば、このカネ十さんは、カジキ専門店だそうです。
築地にもカジキ専門店はここだけ
このお店の寸法は尺寸モジュールの1間、畳の長さ、1820㎜です。
おとなりの尾道さんと、通路側を合わせることで、互いに広々と活用されています。
眼に見えないラインを引くとこうですね。
1コマ空間での寸法がどれくらい違うのか、配置してみました。
同じ面積にしときゃいいだろ?という非常に乱暴な辻褄合わせの設計をしていることがよく分かります。
お茶室やバーなんかでもそうですが、小さな空間はほんの十センチの違いが明暗を分けたりするのですが、
そんな難しい話じゃなくても、自分のデスク周りを見れば、本棚や収納等、10センチ、5センチを削られただけでまったく使えなくなったりしますよね。
逆に、あと10センチあったら劇的に使いやすくなったり、モノが仕舞えたりする。
だから、この豊洲を設計した人間は、市場の設計経験がなかったとか、新人だったからとか、デザインしかわからへんねん、では言い訳になりません。
築地で使っていた、ダンベという冷蔵庫や台や、発泡スチロールまでがうまく置けない、隙間を通り抜けられないということになる。
もう一度、豊洲の全体設計を眺めていると、同じ形状の繰り返しだから、ソフトでコピペコピペでさっさと設計を終わらせてやろう、と考えていたとしか思えませんね。
ちょうど、詰め込み型の賃貸マンションの設計のように、畳の部屋が6畳とか8畳とかを決めてから全体プランを作成するのではなく、先に大きなガラを乱暴に決めて、無理矢理割ったから。
その後、きめ細かい修正を怠ったんではないでしょうか。
12メートルを分割、分割で3メートルになって、それをまた2つに割って、最小ブースとした。
なので、芯々1,500ミリから壁厚分が取られて、モノが置けない1,320とかのデタラメな有効寸法になってしまっているんです。
なぜ、そんなことになっているのか?
よく聞かれるのです。
築地の実情を見なかったからじゃないですか?と延々と嘯いておりましたが、おそらくこうではないか?というプロセスを考えてみました。
まず、このように分割された敷地だった。
まず、ここでアタマ抱えたと思うんです。
この時点で「この敷地じゃ、築地移転は無理です。まったく違った市場にならざるを得ません。」とキチンとアナウンスすればよかったんですが、
さらに、この分割敷地はそのまま建物に使えません。
周辺が削り取られる。
これで、益々、建築を納めるのがキビシイ敷地になってきます。
しかも!使いにくい敷地の変形部分を除くと、こうなります。
なんか、マグロの解体に似ていますね。
この状況になってくると、道路で分断されていることがいかにダメか、が益々ハッキリしてきます。
ここで、「道路を外してくれないと、市場は成り立ちません!」と注進するべきでした。
もしくは、「道路を地下トンネルにするか、市場全体を2階に持ち上げて人工地盤とさせてください!」と強く強く進言するべきでした。
それもなく、機械的に寸法を決めたんでしょうね。
もっとも大事な構造体の芯線を
なぜ、12メートルなのか?というと、、
建築の世界にも設計の世界にもアンチョコというものがありまして、、
特に、よっぽどのこだわり設計事務所か、実務や技術に超厳しい鬼のような先輩や先生がいない場合、新人教育が十分なされない昨今、
新人から最初の数年はそういったアンチョコや過去図面を写したり引用したりするもんなんです。
これは、業界ではみんな知っている「建築知識」という雑誌の抜粋です。鉄骨構造のスパンの決め方の早見表ですね。
JSCA・(社)日本建築構造技術者協会という日本の建築構造設計技術者の団体HPにも掲載されているものです。
これを見れば分かるように
一番建築工事費が安くなるように、12メートルと決めたことが分かります。
つまり、豊洲の施設は、とにかく、なんでもかんでも、安く安くを優先して設計されているのです。
魚河岸の事情ではないのです。
では、倹約してくれてるんでしたっけ?豊洲のハコモノ。
ところがどっこい、超高級レベルの坪220万円でしたよね。
非常に不思議なところです。
仕様の分かる断面図の詳細も載せておきましょう。
以上
このシリーズいったん15で終わらせて、次は大疑問の豊洲の構造設計について語る、語り尽くす。