オリンピックは大丈夫なのか? 1
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オリンピックは大丈夫なのか?13


磯崎新さんまでが反対の意を唱えている新国立競技場建設ですが、
いったい何が問題なのか、ここで再度整理しておきましょう。

この問題は非常に多岐にわたっており、戦後の日本の公共建設だけでなく、政治経済、文学歴史、科学技術、社会環境、芸能スポーツ、広告デザイン、ノンセクションと、かつての「クイズグランプリ」も真っ青なくらい難しい問題なのです。


この問題をちゃんと解かないと、解いたうえで計画を却下させないと、100万円の賞金にヨーロッパ旅行どころか、3000億円以上の借金と毎年数十億円のムダ金出費なのです。

まず問題点を時系列で、過去、現在、未来と考えてみます。

過去の問題
1.国立競技場の陸上および球技場としての機能の問題
2.国立競技場の民間コンサート利用時の騒音問題
(元々、上記2点の課題を解決するためだったはずなんです)
外苑再開発に関わるフィクサーの暗躍問題
東京オリンピック誘致にかかわる都知事の予算問題
施設プログラムにかかわる有識者会議の人選問題
コンペルールにかかわる有識者会議の人選問題
コンペ審査にかかわる審査員の人選問題
コンペ審査中における企画者の思惑と規則の問題
コンペ結果後のザハの監修契約と設計プロセスの問題

現在の問題
新国立競技場の工事予算増大の問題
外苑周辺の風致地区・都市計画変更の問題
外苑周辺環境と景観、利用方法の問題
新国立競技場ザハデザインの不可能性の問題
新国立競技場基本設計変更案の法律的違反の問題
建築学会・建築士会・建築家協会の組織意義の問題
新国立競技場の実施設計不可能性の問題
新国立競技場案の陸上および球技場の機能問題
新国立競技場のコンサート利用時の騒音問題
現国立競技場の解体工事談合の問題
周辺地域住民への影響と立ち退き問題
オリンピックおよび建築コンペにおける国際的信用の問題

未来の問題
新国立競技場の建設費増大の問題
新国立競技場の設計変更による設計費用増大の問題
新国立競技場のさらなる改悪変更によるデザイン性の問題
新国立競技場建設時の交通網や周辺への影響問題
新国立競技場の維持・運営費増大の問題
新国立競技場の周辺環境への悪影響の問題
新国立競技場の陸上および球技場の機能問題
新国立競技場のコンサート利用時の騒音問題
2019年ラグビーワールドカップ時の完成遅延問題
2020年オリンピック時の完成遅延問題
オリンピックおよび建築コンペにおける国際的信用の問題
外苑周辺の文化・歴史・環境破壊の問題
外苑周辺における災害時拠点施設としての機能問題
新国立競技場のオリンピック後の維持・管理の問題
新国立競技場のオリンピック後の周辺環境への影響の問題
新国立競技場のオリンピック後の利用方法の問題
上記すべてに関わる財政の問題

このように時系列に並べてみますと、元々は現国立競技場における過去の2つの問題点

1.国立競技場の陸上および球技場としての機能の問題
  
  ・サブトラックがないため正式な陸上の大会が開けない。
  ・スタンドに庇がないため雨天時は観客は大変
  ・スタンドの傾斜と距離がサッカー場には不向き
  ・スタンドの増席と売店・トイレ含めたアメニティ性の向上

2.国立競技場の民間コンサート利用時の騒音問題

  ・騒音が周囲に抜けて苦情が多い
  ・スタンドに庇がないため雨天中止の可能性がある。
  ・スタンドの増席と売店・トイレ含めたアメニティ性の向上
  ・コンサート開・閉場時の混雑の緩和

これを解決しようという計画だったと思うんです。
それが、問題を時系列に並べてみたときに、今現在、そして将来にわたってまったく解決できなくなっていることが分かります。
にもかかわらず、莫大な費用で建設を強行しようとしているのです。

だから、

槇文彦先生も「世紀の愚挙」、「愚かな行為」と言い切り、

伊東豊雄先生も「何も解決されていない」、「既存施設の再利用なら間に合う」とおっしゃり、

磯崎新先生も「粗大ゴミになる」、「施設巨大化要因のセレモニーを二重橋広場で」とおっしゃっているんですね。

そして、海外で活躍する若い世代の建築家坂茂先生も「神宮の森の環境に配慮するのは当然」、「選んだ側の問題です」と先日インタビューにお答えになっています。

エキサイトニュース「建築界のノーベル賞」が志向する、建築家の大切な使命とは


もう一度、ここで過去の問題を見直してみると
1.2.の根本課題を解決するのではなく、
新たな問題をそれ以降に作り出したことが分かります。
すべて人為的問題なのです。

そして、この問題を生み出した張本人は、
外苑再開発という絵図、そこに乗かってオリンピック誘致と関連付けた東京都知事と、これまた安易にイベント操作に乗った日本を代表する芸術的建築家の安藤忠雄さんなのです。そしてその追従者です。

計画の最初から現在までこの計画に終始一貫して関わっている建築の専門家は安藤忠雄さんただ一人なのです。

まわりの有識者も政治家も建築の素人なのだから、これらのプロセスで発言を求められ、質問にお答えになってきた安藤忠雄さんには、もの凄く重大な責任があるのです。

しかも、外苑再開発のフィクサーと呼ばれた方は既にお亡くなりになっています。元東京都知事の石原慎太郎さんもお辞めになっています。後任の猪瀬直樹氏も徳州会からのお金の問題で辞任されました。

最期に残った安藤忠雄さんはマスコミの取材も、政府の無駄撲滅PTでの会議への呼び出しも用事があるからと断り、海外からのプレスからの取材からも逃げ回っています。
で、あいかわらずご自分の講演会にはせっせと出席し、この問題には答えず、サイン本ばっかり売っています。


その姿を日本中の建築関係者、建築の仕事についたばかりの若者をはじめ建築を学ぶ学生達にも見られています。

このままでは日本の建築家の信用を本当に失ってしまう、
建築界が生み出した問題だからこそ、建築界で解決したい!

その想いで日本を代表する巨匠建築家の3名が立ち上がり、海外からも坂茂さんが声をあげ、建築士会、建築家協会、建築学会、建築士事務所協会が全面支援しているんです。

断言しておきますが、この問題は建築家どおしの争いとか、建てる建てないの二元論ではありません。
戦後の公共施設建設の評価と問題を巡る日本の建築業界のすべてを巻き込んでの自省と自戒。
行政と建築業界の関係まで含めた次世代に向けての建築業界のありよう、そして市民生活と都市環境の維持整備の方向性を占う大問題なのです。

つづきです。

で、文句ばっかり言っててもしょうがないんで
そろそろ解決策をみんなで考えていかなくてはいけません。

槇先生も伊東先生も磯崎先生も、問題のポイントはどこで傾向と対策を生徒たちに教えてくれているんです。

だから、槇先生の無蓋化案や伊東先生の一部改修案、そして磯崎先生の開会式二重橋案というのは、例えばこういう解き方もあるよ。
というヒントなので、
それだけを見て「ここがおかしい」「あそこが未解決」とか言ってるだけではダメで、そう思う人から答案を提出しなさい。

もう一度、根本問題を出します。

設問1:現国立競技場にはサブトラックがないので陸上の大会が開けません、どうにかしてください。


事例:山梨にも栃木にも宮城にもスタジアムにはサブトラックが併設されています。理由は選手の競技準備のためです。


設問2:現国立競技場をサッカーやラグビー等の専用球技場にしようと思います。ピッチまで遠くて、スタンド傾斜がゆるくて見えにくいです。
また雨の日対策でスタンドには庇もつけてほしいです。
どうにかしてください。


事例:ウェンブリースタジアムとの比較


とりあえず、この2つの設問で60点以上を取らないと、次に進めません。

尚、お金はあまりかけたくありません。
同時に、完成を2019年のラグビーワールドカップに合わせてください。

ということで、次の「オリンピックは大丈夫なのか?10」では、槇先生や伊東先生、磯崎先生、大野先生、今川先生たちが提出された改修案を含めた、解決案の検討と検証をしていきたいと思います。


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