めぞん一刻館は今建てられるのか?5 | 建築エコノミスト 森山のブログ

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めぞん一刻館は今建てられるのか?6 最終章


有吉をフォローしたくてTwitterに登録してみたんですが、イマイチ使い方がわからない建築エコノミストの森山です。
mori_arch_econo  これでいろんな人のつぶやきを追っかければいいんでしょうかね。
使い方を教えていただければ幸いです。
私のホームには現状、有吉のコメントしか出て来ません。

続きです。

そもそも、一刻館が建てられたのは戦前ではないでしょうか。
当時は、今のアパート、マンションのように独身者向けの部屋といっても、家賃の徴収や電話の取次ぎなど考えると、一刻館のような下宿と寮の中間みたいな賃貸住宅の方が便利ですし、管理もしやすかったと思われます。

しかし、あの共用部分とそこに配置されている洗面シンクには三個も蛇口が付いているんですよね。
2階だけでもいっぺんに6人歯を磨いたり顔を洗ったりできる容量なんです。
そこから考えてみるに、あの建物は元々何か学校の寮とか官製の寄宿舎みたいなものだったのかもしれません。
つまり一部屋に三人とか四人とか入居していた可能性ですね。
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           ▲一刻館に酷似した戦前に建てられた旧国鉄官舎

それが音無家に維持管理で受け継がれてきたのではないでしょうか。

そういった意味では賃貸物件としては異例の用途変更案件ですね。

現在の賃貸物件というものは、遠隔地に大家がおり、管理は管理会社まかせで、家賃は振り込みで、店子と大家が一度も顔を合わせることなく十数年暮らしているというのも可能になっています。
ですが、一刻館ほどではないにせよ、お隣さんと自然に挨拶を交わせたり、困ったときには助け合ったり、まったく異なったお互いの仕事や境遇の話しなんかを、見たり聞いたりできるような、近隣さんとの関係が作れるような住まい方の方が自然なんではないかと思います。
五代君も受験勉強の邪魔はされていましたが、子持ちの豪快母さん一の瀬さんや、水商売で頑張っているさばさばした朱美さん、四谷さんみたいな不思議な人たちとの交流で人としての巾も広がり成長していきましたよね。

今こんな事業物件を建てるとすると、資産運用を売り物にしている会社からは全くお勧めされないでしょうね。
風呂無しなんてありえない、、家賃も取れませんよと。

この「一刻館」は事業案件としてみれば、普通まったく採算は取れてこないと思うんです。
音無響子さんへの管理人給与が仮に15万円としても、五代くんの家賃が2万1000円で、四谷さんや朱美さんも同等だとすると、2階住人の家賃で6万3000円です。
1階の部屋が広いですから二倍としても一の瀬さんと二階堂君で8万4000円、合わせて14万7000円ですから、音無響子さんの給与と相殺すると3000円のマイナスです。
三鷹は、やはり3号室に入居すべきでしたね、プラス4万2000円でやっと月額3万9000円の利益だったんですから。
三鷹は読みが甘すぎましたね、3号室如何によって音無家にとって損益採算ラインを握っていたのですから。
結局、音無のお父さんにとっては、この一刻館は資産運用どころではなく、慈善事業なんですね。
音無のお父さんは響子さんの卒業高校の理事ですから、やはりこの建物はかつての女子高の寮とか寄宿舎だったのでしょう。

しかし、資産運用的な側面から見れば、一刻館のように水周りが共有の賃貸物件であれば、初期投資での工事費が安くなるのです。

以前、記事でご説明したように、建築工事における設備系が占めるウェイトは非常に大きく、給湯機器、配管や衛生機器だけでなく、防水工事やメンテナンスのためのPS(パイプスペース)、そしてお風呂は非常に重い、満水時には1トン近い荷重になりますが、それを2階部に設置するための構造強度など、結構建物コストが違ってきます。

近くに銭湯があればいいのでしょうけれど、共同シャワー室やお風呂などを、別棟とか1階に設けるかたちにするとかの手もあるでしょう。
賃貸部屋の平均工事金額は1部屋あたり400~600万円と言われておりますが、事業利回りを維持しながら、それを家賃で還元すると想定家賃が通常7万円くらいになってしまう。

それは、建ペイ率も容積率もギリギリまで使うことをお勧めされるため、隣地境界いっぱいで階数も3階建て以上になってRC造の高層化を迫られてしまうからなんです。

そんな常識の中、もっと軽く考えてみる、も少し部屋の設備を簡略化する。
例えばお風呂があるかどうかで、工事費用としては設備系統で一部屋あたり100万円くらいは違ってくるわけですから、家賃を1万円下げることができます。
場合によっては1部屋300万円を切ることも十分可能でしょう、250万円くらいまでいけるかもです。
であるなら、家賃2~3万円でも十分利回りが10%を超えてきます。

今の時代、家賃を下げることが出来れば凄い競争力です。

ここ20年間くらいは基本的にデフレ傾向で、コーヒーや雑誌、ラーメンやカレーなどの値段はほぼ横ばいです。
そんな中、都内でも減り続けているのが家賃2万円代、3万円代の賃貸物件なんです。
20年前の学生も今の学生も仕送りは同じくらいか、減少傾向にあり、バイト代などは下がってきています。

ということは、手に職つける型の徒弟制のプロを目指す人例えば、美容師さんを目指してサロンで朝早くから夜遅くまでがんばっているような若い人、デザイン事務所の見習い、音楽家や美術家を目指す人たち、そんな人たちは、狭くても設備がなくてもかまわないんです。

もっと安い家賃の部屋を探している。
そこそこ清潔で回りの人たちが怖くなければ!

なら、ありえる。一刻館型の賃貸事業。
家賃が安い=ボロボロで壊れそうではなく、家賃が安いのになんかこざっぱりおしゃれな建物なら文句なしでしょう。
そんなときに各室個別玄関型で風呂付き高家賃ではなく、玄関ホールが立派でそこそこ広くて共同水回りの内部屋型の低家賃の物件があったら、結構人気物件になると思うんですよね。

そんなことからも一刻館型の賃貸案件は、今再評価されるべきものかもしれません。
6 最終章に続く


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