建築エコノミストTwitter mori_arch_econo
以前から気になっていたことに、新世紀エヴァンゲリオンに登場する綾波レイの部屋は
本当にコンクリート打ち放しなのか?というものがありました。
知り合いのアニメマニア、漫画オタクの方々からも
綾波の部屋は殺風景でよい、とか
綾波の部屋みたいになんにも置かないのが理想とか
で、彼らはみな綾波レイの部屋はコンクリート打ち放しと思っているんですね。
私の記憶では鉄板張りのような気もしていたのですが、この休み中に検証してみました。
とすると面白いことがわかったんです。
これは、エヴァンゲリオン第5話で碇シンジが綾波レイの家にセキュリティIDカードを届けに行った場面です。
この赤い部分にコンクリート打ち放しでおなじみの丸いヘッコミがありますよね。
続いて、綾波がシャワーから出てきたシーンです。
ここにも丸いヘッコミがありますね、これはセパ穴といってコンクリート打ち放し建築につきものなので、
きっとみなさんそうコンクリート打ち放しだと判断しているんだと思います。
ところがですね、どうやらこれらの映像を見るかぎりこの内装はコンクリート打ち放しではなさそうなのです。
これはセパ穴が出来る仕組みを考えてみればいいのですが、
専門家でないみなさんはコンクリートのあの丸いヘコミがなぜついているか知らない方も多いと思います。
なんか、ボルトかなんかを留め込んだ後かな、とか鉄筋に関係してるのかな、とか
なんとなく想像されているのではないでしょうか
このセパ穴ができる仕組みはこうです。
「セパ穴」というのは、「セパレーターのプラスティックコーンを外した穴埋め跡」の省略語です。
セパレーターというのは何かというと、コンクリートというのはベニヤの型に流し込んで固める工法ですが、このドロドロした状態のコンクリートをキチっと薄壁状や板状にするのは難しいんです。
例えば壁はベニヤ板を二枚所定の壁厚に離してセットしますが、ただベニヤを並べただけで、その中にドロドロしたコンクリートを流し込んでいくと、最初に入れたところは圧力で膨らんだりはらんだりするのです。そこで、所定の幅以上にベニヤ型がはらまないように内側に引っ張り込む金具と外側から押さえ込む金具を使うのです。
そのベニヤの厚み位置決めをするのが白い円筒形のプラスティックコーン部分なんです。で、後から型から抜けるように円筒形なんですね。
おそらく、このエヴァンゲリオンのアニメーターたちで背景デザインを担当した方々は、セパ穴の成立事由を理解されていなかったんではないか?と思います。
四角のパネルの中心部分にもセパは必要になるんですよ。
ということからわかるように、綾波の部屋の壁面はベニヤの合わせ目の筋と筋にセパ穴がよりすぎている、しかも一番はらみやすいベニヤの中心部分にセパ穴がない、むしろパネルを取り付けるビス位置のように角々にセパ穴が寄っている。
よってこれはコンクリート打ち放しではない。
というのが結論です。
では、なんなの?というと、結果として浮かびあがってくるのは、
おそらく、この綾波レイのクール過ぎるインテリアを構成する内壁面は、ボードです。
そのようなボードがあるのか、というと実はあったんです、マニア向けですが。
これがまたコンクリート打ち放し界の重鎮、コンクリートを知り尽くした男として有名な、
pikayoshi72 こと吉田晃社長率いるニチエー吉田工法 の「ノンクリート打ち放しボード」のB-1だと推測されます。
どうです。ちょっとコンクリートにしか見えませんよね。
このニチエー吉田工法はさまざまな打ち放しコンクリート建築物の高耐久化や事後補修や、メンテナンスの技術開発に取り組んでいらっしゃる会社です。
それだけでなく、著名な打ち放しコンクリート建築の外壁面工事仕上げの失敗なども、ものの見事に一発打ちのごとく復旧してみせる凄い技術の会社なのです。
ネルフもニチエー吉田工法に依頼していたとは、なかなかの建築通ですね。
綾波の部屋は本当に打ち放しなのか?2
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以前から気になっていたことに、新世紀エヴァンゲリオンに登場する綾波レイの部屋は
本当にコンクリート打ち放しなのか?というものがありました。
知り合いのアニメマニア、漫画オタクの方々からも
綾波の部屋は殺風景でよい、とか
綾波の部屋みたいになんにも置かないのが理想とか
で、彼らはみな綾波レイの部屋はコンクリート打ち放しと思っているんですね。
私の記憶では鉄板張りのような気もしていたのですが、この休み中に検証してみました。
とすると面白いことがわかったんです。
これは、エヴァンゲリオン第5話で碇シンジが綾波レイの家にセキュリティIDカードを届けに行った場面です。
この赤い部分にコンクリート打ち放しでおなじみの丸いヘッコミがありますよね。
続いて、綾波がシャワーから出てきたシーンです。
ここにも丸いヘッコミがありますね、これはセパ穴といってコンクリート打ち放し建築につきものなので、
きっとみなさんそうコンクリート打ち放しだと判断しているんだと思います。
ところがですね、どうやらこれらの映像を見るかぎりこの内装はコンクリート打ち放しではなさそうなのです。
これはセパ穴が出来る仕組みを考えてみればいいのですが、
専門家でないみなさんはコンクリートのあの丸いヘコミがなぜついているか知らない方も多いと思います。
なんか、ボルトかなんかを留め込んだ後かな、とか鉄筋に関係してるのかな、とか
なんとなく想像されているのではないでしょうか
このセパ穴ができる仕組みはこうです。
「セパ穴」というのは、「セパレーターのプラスティックコーンを外した穴埋め跡」の省略語です。
セパレーターというのは何かというと、コンクリートというのはベニヤの型に流し込んで固める工法ですが、このドロドロした状態のコンクリートをキチっと薄壁状や板状にするのは難しいんです。
例えば壁はベニヤ板を二枚所定の壁厚に離してセットしますが、ただベニヤを並べただけで、その中にドロドロしたコンクリートを流し込んでいくと、最初に入れたところは圧力で膨らんだりはらんだりするのです。そこで、所定の幅以上にベニヤ型がはらまないように内側に引っ張り込む金具と外側から押さえ込む金具を使うのです。
そのベニヤの厚み位置決めをするのが白い円筒形のプラスティックコーン部分なんです。で、後から型から抜けるように円筒形なんですね。
おそらく、このエヴァンゲリオンのアニメーターたちで背景デザインを担当した方々は、セパ穴の成立事由を理解されていなかったんではないか?と思います。
四角のパネルの中心部分にもセパは必要になるんですよ。
ということからわかるように、綾波の部屋の壁面はベニヤの合わせ目の筋と筋にセパ穴がよりすぎている、しかも一番はらみやすいベニヤの中心部分にセパ穴がない、むしろパネルを取り付けるビス位置のように角々にセパ穴が寄っている。
よってこれはコンクリート打ち放しではない。
というのが結論です。
では、なんなの?というと、結果として浮かびあがってくるのは、
おそらく、この綾波レイのクール過ぎるインテリアを構成する内壁面は、ボードです。
そのようなボードがあるのか、というと実はあったんです、マニア向けですが。
これがまたコンクリート打ち放し界の重鎮、コンクリートを知り尽くした男として有名な、
pikayoshi72 こと吉田晃社長率いるニチエー吉田工法 の「ノンクリート打ち放しボード」のB-1だと推測されます。
どうです。ちょっとコンクリートにしか見えませんよね。
このニチエー吉田工法はさまざまな打ち放しコンクリート建築物の高耐久化や事後補修や、メンテナンスの技術開発に取り組んでいらっしゃる会社です。
それだけでなく、著名な打ち放しコンクリート建築の外壁面工事仕上げの失敗なども、ものの見事に一発打ちのごとく復旧してみせる凄い技術の会社なのです。
ネルフもニチエー吉田工法に依頼していたとは、なかなかの建築通ですね。
綾波の部屋は本当に打ち放しなのか?2
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