いよいよ7月が終わり8月突入です。
先日羽化途中の蝉を発見しました。
身近な小さな生き物に神秘性を感じた一瞬でした。

西東三鬼(さいとうさんき)という俳人がいましてすごい蝉の句をいくつかつくっています。

身に貯へん 全山の 蝉の声           
             自分のものとする「全山の蝉の声」というところがダイナミックで青春な感じでしょう

やわらかき 蝉生まれきて 岩つかむ       
              「やわらかき」ちいさな足がギュっと「岩つかむ」ところになにか自然のすごさを感じます。

この西東三鬼という人は、芭蕉、子規につづく俳句の変革者とも呼ばれている人ですが、大正から昭和初期に大活躍したモダンボーイ、モダンガールなセンスの持ち主でもあります。

で、今日のお題ですが

この大正期というのは日本が明治を経てなんとか列強に伍する国力と国民文化の成長をみて、江戸時代から近代に移行する過程として伝統文化と外来文化が渾然となったグローバルな価値をもちながら、ローカルなエッセンスを引き継いだ多くの優れた芸術が花開いた時期でもあります。日本画では横山大観とか文学では志賀直哉とか武者小路実篤とかがそうでしょう。

当然建築においても日本建築の巨星たちが多くの優れた建築を残しています。
それらの名建築をバックに「男子のすなる野球というものを女子もするなり」
というテーマの女学園アニメが表題の「大正野球娘」です。
オープニングから辰野金吾とか片山東熊とか曽禰 達蔵とかいった明治から大正のわが国を代表する大建築家の作品が登場してくるんですね

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               辰野金吾設計の東京駅(戦災によるドーム消失前の姿です)


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ということで、「大正野球娘」をご覧になるときはバックの建物や町並み、そして教室の壁面や扉、町の商店などに注目していただきたいと思います。江戸の街とモダンな建築が同居する素敵な空間がいっぱい出てきますよ。
今の東京の街よりもずっとずっと文化的な香りがすること請け合いです。