心機一転新しい生活が始まる。恭太との思い出の品は家に置いてきた。ケジメも兼ねて。
仕事も忙しく、恭太の存在も忘れかけていた。
この日も残業。会社のエントランスを出た時半年ぶりに恭太の姿をみた。
「えっ?何?」
「あっ!いや・・・。その許してもらいたくて」
「無理。」
「何したら許してもらえるの?」
「自分で考えたら?」
本当は嬉しかった。許しかった。でもここで許してしまうと同じ事の繰り返しになると思った。それに今は・・・。
『今仕事終わったよ』
『お疲れ様。ご飯どうしよっか』
メールの相手は中学の先輩、和真。飲み会でたまたま会ってその流れで、時々遊んでいる。
『毎日お疲れ様。今日来る?」
『先輩。部屋には行かないって行ってるでしょ?』
『分った』
付き合ってはいない。みんなには別れたと言っているが、アンナの中では恭太とは別れていない。距離を置いているだけ。
ただ、和真との曖昧な関係をはっきりさせないといけないと思っている。いつも和真の優しさに甘えてしまう。