「BIUTIFUL ビューティフル」 

Hitomi的評価:88点

ジャンル:ドラマ

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◆ストーリー◆
舞台はスペインのバルセロナ。華やかなイメージの陰には
厳しい現実と日々対峙する人々の暮らしがある。
主人公のウスバルは、躁うつ病の妻と別れ、
2人の幼い子供たちと暮らしていた。
生活は決して幸福 とはいえず、
日々の糧を得るためにあらゆる仕事を請い、
時には非合法な仕事もした。
そんなある日、ウスバルに絶望が訪れる。
"末期がん"の宣告。彼に残さ れた時間は2ヶ月。
家族に打ち明けることもできず、死への恐怖と闘いながら、
ウスバルは愛する子供たちのために、
残りの時間を捧げ、生きようと決意する。
 
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一見絶望的で、それでも温かい映画

映画の冒頭、囁き声での父と娘の会話
なにやら会話の内容がやや違和感を感じる
シーンは雪山へと移り、フクロウの死骸を映す

冒頭から哲学的で、もしやかなりの難解映画かと不安になるも
最後にはそんな不安も嘘のように充分な満足感を得ることができた
よく出来た、いい映画だったと思う


この映画において重要なテーマは
家族への愛と責任、そして道徳観念である

誰の目線に立って観るかによって
物事の善と悪は大きく変わってくる

それは時に道徳観念だけでは測りきれないものであり
だからこそやりきれない気持ちにさせる

この映画では主人公ウスバルを、
観客にわかりやすく善人寄りに描いている

しかしそれ以外の登場人物の持つ
それぞれの正義に注目してみて欲しい

救いようのない物語の中で
力強く描かれた家族愛に
ただただ打ちのめされる事だろう


アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は
「21g」や「バベル」で有名だが
これらの作品よりは随分観やすくなった印象を受けた


それでも2時間半、重々しい映画を見る覚悟と
それなりの集中力が必要だ

かなり人を選ぶ作風だけど
俺は傑作だと思うので是非!!