サラマンカ大学創立800周年記念コンサート 「魅惑のスペイン」 | 翡翠のブログ

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サラマンカ大学創立800周年記念コンサート 「魅惑のスペイン」

 

出演:
指揮:ロベルト・フォレス・ヴェセス
ギター:カニサレス Juan Manuel Cañizares
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
能舞:辰巳満次郎
パイプオルガン:鈴木優人

 

プログラム:

ブラームス:大学祝典序曲 作品80
アルベニス:スペイン組曲 作品47より「グラナダ」(管弦楽版)
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲 Concierto de Aranjuez

創作能舞:サラマンカ SALAMANCA ※パイプオルガンと能の共演

 -カバニエス:第二旋法によるティエント

 -メシアン:「キリストの昇天」より第2曲、第3曲

 -J.S.バッハ:ヨハネ受難曲BWV245より第2部第40曲

   「ああ、主よ、あなたの愛らしい天使を」
グラナドス:歌劇「ゴイェスカス」間奏曲
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲

アンコール:アルベニス:セビーリャ(スペイン組曲 作品47より第3曲)

 

ホールの名前にも由来するスペイン・サラマンカ大学の創立800周年を記念して行われる祝賀コンサート。800周年!次男坊に「お母さんがメモ間違えているんじゃないの?」と言われ、チラシを見直しました(よく手帳やカレンダーに書くときに写し間違えるのを知っている次男坊)。サラマンカ大学は1218年にレオン王国のアルフォンソ9世によって設立されたスペイン最古の大学だそう。「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府のころ」「すごい!」と子どもと言いあいました。(実際には、実朝が暗殺され、源氏が3代で絶えてしまい、北条氏が実権をにぎったころ)。カトリック神学・哲学・法学を学ぶ大学だったそうなので、「チェーザレ 破壊の創造者」でチェーザレが過ごした大学のシーンを連想しました。

 

年度初めの忙しい時期だったので、行くのを少し迷ったのですが、アランフェス協奏曲を聞き逃せなくて行くことにしました。

行って良かった、素晴らしい美しい旋律、ハーモニー。特に大好きなアランフェス協奏曲の第2楽章。イングリッシュホルン(コーラングレ)とギターの哀愁を帯びたテーマのメロディ!そしてオケの弦で奏でられるテーマのメロディ、ああ、たまらなかったです。この第2楽章を聴くと、いつも何かを思い出すような、思い出せそうな、不思議な気持ちになります。でもいつも、もう少しのところでそれが思い出せないような、せつない気持ちになります。

 

アランフェスの後のギターのカニサレスさんによるソリスト・アンコール:カニサレス:深淵(ブレリアス)。

フラメンコ・ギターの、熱いリズムの感じられる、とーってもカッコよい曲。フラメンコがとっても観たくなりました。フラメンコダンサーが出演しないのが惜しい。カニサレスさんは顔も渋く、スタイルもすらりと脚が長く、素敵な方でした。

 

休憩後の二部では、もう一つのお楽しみ、創作能舞「サラマンカ能」。

今年の1月の初演時にも拝見して、おお!スゴイ!と感動して観たのですが、今回は舞もオルガン演奏もまた、バージョンアップされているそう。暗闇の中で怒り悩み苦しむ心、誰か灯りをとすがり祈る心、そして灯りの中で歓び安らぐ心が伝わる、前回以上に素晴らしい舞と演奏でした。前回の時と違って、舞台にオケ演奏時の段差があり、狭い分舞いにくかったり危なかったりしないのかなあと思って観ていましたら、それどころか、前半の荒ぶる舞のところで、ダンッダンッと2段飛びされました。石橋のような迫力でした。今日の会場には、サラマンカ大学の関係者の方らしい外国の方もたくさんいらしたのですが、心の現れは謡のセリフがわからなくても伝わると思うので、能舞、楽しんで味わっていただけたのではと思います。

能舞の後は、オケの配置の準備をする間、辰巳満次郎さんと鈴木優人さんのトーク。前回も鈴木さんは演奏会のために帰国されていましたが、今回もまたこのために帰国され、きしめんを食べたとツイートしていらっしゃいました。また、サラマンカ大学800周年にちなんで、800年前の能の面を辰巳さんが持っていらして見せてくださいました。男の鬼の面だそうで迫力あるお顔でした。

 

二部の最後のバレエ音楽「三角帽子」は、サラマンカホールの小さなステージが一杯になるほどの大人数、ハーブあり、ピアノあり、パーカッションも充実の大編成でした。室内管弦楽団も素晴らしいものだと先日知りましたが、一方で大編成のオーケストラもまた聴きごたえあって素晴らしい音。華やかで勇ましくスペインらしい素晴らしい曲でした。

指揮者のロベルト・フォレス・ヴェセスさんはポスター写真で、ごつい方を想像していましたが、少し小柄なキュートな優しい感じの方でした。指揮中のオケへの指示も表情豊かに語り掛けるようでしたし、最後の挨拶とアンコールも、笑顔が素敵でした。

 

スペイン・サラマンカと岐阜との交流は、1991年に岐阜県白川町に工房を構えていたオルガン建造家 辻宏さん(故人)によるサラマンカ大聖堂のパイプオルガン修復から始まったのだそうです。その後、1994年にサラマンカ・ホールが開館し、辻宏さんが修復したパイプオルガンの複製が設置されています。美しい音色、美しい形、今日の演奏でも暗闇に浮かびあがるオルガンは教会にいるかのような美しさでした。

この紹介文を読んで、以前に読んだ那須田淳「星空ロック」を思い出しました。ドイツ皇帝ヴェルヘルム二世の依頼によって、音響学者 田中正平が発明した純正調のパイプオルガン エンハルモニウムに作中で触れていて、読んだ時にその音色を聴いてみたいと思ったのでした。

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今日は、サラマンカ大学と岐阜大学、岐阜薬科大学の三大学による学術連携シンポジウムと基本協定の締結式も開催されたそうです。

 

とても素晴らしい演奏会でしたが、たった一つ残念だったこと、というか私が失敗したこと。今日は演奏会終演後に、「スペイン交流の夕べ」という催しが同時開催されていたのでした。全然、チラシを良く読まずに車で行ってしまいましたが、バル屋台でスペインの軽食おつまみとスペインワインが販売されていました。家人に車で送っていってもらえばよかったなあ。まあ、明日の夜もまた出かける予定があるので、二日続けてはどうかと帰宅して家で食事を用意したのですが、スペインバルのおつまみは美味しいので、今更残念に思っています。