個人的な人に宛てた応援メッセージです
今は大越先生の言葉を少しずつ書いていきます

私たちのところに相談にみえるお母さんたちは、みなさんすでに子どもとの関係の改善に大変な努力と苦労を繰り返されています。
そのご苦労の中で一番といっていいほど多いのが、子どもとの対話の問題です。

一生懸命、親の考え方を話し、世間の常識を説いて、子どもを望ましい方向へ導こうと努力されたことでしょう。
しかし、ほとんどのケースでそれは成功していません。


そして子どもをある時はなだめすかし、ある時は叱り、ある時は責め、ある時は泣き、ある時は哀願してしまう、場合によっては兄弟までもが声を荒げて責め立てる。

しかしこれは、親が自分の土俵に子どもを引っ張り込もうとする行為で、それをしている限り子どもは対話を拒否するでしょう。


逆に、しぶしぶながらも親が自分の土俵を広げ子どもが共感している世界を理解しようと歩み寄ってくれば子どもは心を開くのです。

もちろん大人には、長い間住んできた大人の価値観に基づく世界があるでしょう。それをすべて捨てて、子どもの世界に移住しろと言っているわけではありません。

大人の世界に中心軸を置きながらも、楕円が中心を二つ持つように、子どもの心が住もうとする別の世界にまで、その土俵の輪を広げてくれればいいのです。


子どもの好きなこと、夢中なものに耳を傾けてあげましょう。


「自然に勉強する気になる子の育て方」P14~17より

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本には具体例が書かれてあるのですが、逆にその具体例と違うパターンの場合、わかりにくいと感じて端折りました。


肝心なのは
『親が自分の土俵に子どもを引っ張り込もうとする行為で、それをしている限り子どもは対話を拒否する』
というところです。

ただし、先回書いたように、子どもは親の顔色をうかがっていますので、気分やタイミングによっては子どもから話しかけてくることもあり
「うちは子どもとの会話はできている」と思うかもしれませんが、いつも『肝心な話は出来ていない』のなら、子どもとの距離はあると考えた方がいいでしょう。

そして、プロローグに書いた「価値観」にも通じるのですが、たとえそれが「自分にとって常識的な価値観」であったとしても、子どもがそれに対してNOと言っているのなら、なぜNOなのか、ぜひ深く考え、歩み寄ってもらいたいのです。


私は『楕円が中心を二つ持つように』という言葉に感心しました。円がすべてではない、楕円という優しい形があるんだなと改めて思い知りました。

『土俵を広げられる』のも大人ならでは、親ならではの価値のある行為だと思います。


私自身も、子育てとは、子どもを育てながらも、一人の人間が親になっていく親育ての行為だと痛感しています。


親となって我慢を知り、親となって諦めを知り、親となって喜びも知り、親となって献身というものを知りました。


また土俵が広がると、「懐の深い」人にも自然となっていくのではないでしょうか。


子どもは私に懐の深い人になってもらいたいんだなとポジティブに考え、ぜひ子どもとの距離を縮め、対話を成功させてください。